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集う決意(2)


 そこまで言ってミルヒはフォーゲルを見た。

 彼の方は動じている様子は無かったが、ゆっくりと瞳を閉じる。


「あんたら良い人そうだから言うけど、オレ達はさっき話してた悪魔バケモノに会いに行くんだ。


 あわよくば、聖王様にも会いたいんだがなぁ」


 ミルヒが乾いた笑いをこぼすと、ネージュが興味津々といった様子で目を輝かせた。



「ほう、クスリラで人狩りをしてるという例のバケモノだな。しかし、そんなものに会ってどうするのだ?」


「ああ、オレの故郷をこれ以上破壊にしないようにって頼むんだ。聖王様にもお願いしなきゃなぁ」



 ミルヒがフォーゲルの背中をパシッっと叩いた。彼は目を細めて、どうやら肯定しているらしい。



「ーー悪魔バケモノは聖王のことだろ!」


 クロイツはついに黒い感情に支配されてしまった。

 それが本音と共に漏れてしまうと、皆の視線が一斉に集まる。

 ヘルツが大きな瞳で彼を見上げている。


「聖王様がバケモノなの?」


 ヘルツの純粋な問いにクロイツは答えられなかった。


 今は病の床にいるという噂の聖王。それは悪魔を生み出す悪魔だ。


 そんなものが民を導く王である筈がない。


 そういえば。一度だけ見た、あれは宝石のような瞳をしていたなとクロイツは思った。


 ネージュが腕を組みながら呟く。


「ふむ。信仰深いことで有名な聖民でも、王を蔑む事もあるのだな……」



 何か引っかかるものを感じていたクロイツだったが、ネージュの一言で完全にそちらに気が散ってしまった。



「ーーなんだと。国民全員が、聖徒だとでも思ってるのかっ!? 聖王が何をしているのかお前らは知らないだけだろっ」


 身を乗り出してそう怒鳴り散らすと、ヘルツは驚いて目を見開いた。


 クロイツは家族に普段から穏やかな面しか見せていない。それを露見することは憚られたが、闇に支配された感情が収まらない。


「奴こそが悪魔なんだよ。そんなもんに魂まで売れるか? 俺は無理だね、だから逃げた。悪いかよ!」



 そこでヘルツに手を握られたのでクロイツは、危うく泣き出しそうになってしまった。


 ここで全部吐き出せたらきっと、少しは楽になれる。でもそんなことはできないことをクロイツは痛いほど分かっていた。


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