招かれざる者(5)
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「なぁに、少し生気を分けて貰っただけ。だが、助かった、有り難う」
ネージュは右手をにぎにぎと動かしてそう微笑んだ。
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「私が言う立場ではないが。クロイツは少々過保護ではないかな。ヘルツはしっかりしているし、もうずいぶん大人だ」
それを聞いて気付いた時にはすでに、クロイツは声を張り上げていた。
「関係ないだろ、ヘルツは女の子なんだからよ!」
そう叫ぶと、場の空気が凍り付く。何か変なことを言っただろうかと不思議に思う。
ヘルツがクロイツを見上げている。儚げで本当に可愛い子だ。男としては守って上げなければなるまい。
そう固く決心をしていると、ネージュが凄くいやらしい笑顔で親指を立てる仕草をした。
一体何だというのかとクロイツはイライラとする。
リヒトが何か言いたげに口を開こうとしたが、手を振ってネージュがそれを制した。
「ボクは女の子じゃないよ?」
しかし、その静寂を破ったのはヘルツだ。しかし、この子は何を言い出すのか、とクロイツは思った。
自分が魔人だからとかまた、そういうくだらないことをことを気にしているのかも知れない。
よしよしっと頭を撫でると、ヘルツは嬉しそうに目を閉じた。
「ヘルツよ。いちいち気にすることではない。まぁ、それも良いではないか、はっはっは」
ネージュが豪快に笑うと、「いちいち、こいつは偉そうだ」とクロイツは思った。
続いて、リヒトがしかめっ面でクロイツを見る。彼のことはどうも気にくわない。
「ちょっと、妹たちをみて来る」
何となく居心地が悪くなって、クロイツは扉に向かった。
後ろからヘルツたちの楽しそうな談笑が聞こえる。
仲良くなることは良いことだが、なんだか寂しい気持ちになってしまった。
妹の部屋へ入ると、ベットの上で彼女らはすぅすぅと寝息をたて寝てていた。
窓から外を見ると、天候は回復することなく、小雨だった雨が大粒になって窓を打ち付けている。
ドンドンドンとうるさい音がする。
雷まで鳴っているようだ。
点滅するように一定間隔で、光が明るく部屋を射す。
ドンドンドンと再び音がする。それは雷だと思ったが、どうやら玄関から聞こえていた。
強風で扉が煽られているのかも知れないとクロイツは思った。ルクライヤは高い山々に囲まれた地域で風が強い。時折、こうやって嵐もやってくる。
――ドン。
最後に弱々しく扉の音がすると、もしかしたら強風で扉が飛ぶかも知れないとクロイツは焦り始めた。




