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episode.3

よろしくお願いします



いよいよ球技大会の当日。いつもより少しだけ早く起きてしまった私は、いつものようにスマホを手に取った。ラインのアプリを開いてみると一織からメッセージが来ていた。


『ねぇねぇ1個聞きたいことがあるんだけどさ、今日の服装って何着てけばいいかな?』

『やっぱり学ジャー?』


そういえば何を着ていけばいいんだろう、とふと思う。初めての行事だからどんな流れなのかも知らないんだよなぁ。まあでも普通に考えれば運動出来る服装であれば問題なさそう。


『返信遅くなっちゃったからそんなに意味無いかもしれないけど、運動できる服装であればなんも問題ないと思う。あとクラTは忘れずに!間違ってたらごめん!』


これでよし、と。


学校に持っていく荷物を用意する。お菓子と、カードゲームと・・・勉強道具はさすがにいらないよな?球技大会中くらいは遊びたいし。

準備中にふとスマホのロック画面を見ると、一織からメッセージが届いていた事に気がついた。


『ありがとう!!

今家出たところだから大丈夫!(*´꒳`*)』

なんかこいつ対面とキャラ違くない?


『なら良かった!球技大会頑張ろ!!』


なかなか面白い人に出会ったかもしれないな。



服を着替えてリビングに行く・・・途中でクラTを忘れていたことに気付く。おっと危ない、自分で他の人に言ってたのに忘れたらざまあないな。


「おはよー」

「おはよ、今日は球技大会でしょ?」

「らしいねー」

「颯は何出る予定なの?」

お母さんが朝ごはんの準備をしながら話しかけてきた。この流れだと玉入れの話もしなきゃいけないやつだなぁ。

「私は玉入れとバドだよー。」

「え、颯玉入れ苦手だったじゃん?どしたの急に」

「それがさ、紬にやれーって言われちゃって。後にひけなくてさ」

「そっか、まあ怪我しない範囲で頑張ってね」

「うん、そこそこにやるつもり」


そのまま洗面所に向かい、顔を洗いコンタクト入れる。毎日やっている事だけど、コンタクトを入れるとどこかスイッチが入れ替わったような気分になるんだよな、なんでだろ。

ヘアアイロンを取りだしたところで、手が止まる。あれ今日って球技大会だから、何か髪型変えていったほうがいいかな?でも周りがそんなやってなかった場合、一人バチバチに決めていって浮くの嫌なんだよなぁ。

そんなことを考えながらとりあえずヘアアイロンを髪に通す。ちょっと片側ヘアピンでとめていくくらいするか。それくらいならたいして浮きもしないでしょ。


顔周りの準備を終え、再びリビングに戻り朝ごはんを食べた。

一通りの身支度を終えた私は玄関に行き、靴をはく。

トントン、とつま先を床につき、足の落ち着きを良くする。


「いってきまーす」

「行ってらっしゃい。怪我するんじゃないよー」


母の声を背に受けながら、そのまま駆け出した。

今日はどうやら気温が上がるらしい。空気もどこか夏らしさを感じる。外で動いたら暑いかもな、今日は。




15分ほどして教室に着いた。

「おはよー」

「あ、颯おはよ!」

「おー紬、ヘアアレンジ凝ってるね」

「そうでしょー!?これめっちゃ時間かかったんだから!どう?可愛い?」

「うん、紬にはポニテが似合うね。サイドの編み込みも綺麗だ」

「颯褒められた!えへへー」

やっぱり紬って犬っぽいよな、褒められたら直ぐに喜ぶあたり。

「なんか違うこと考えてません颯さん?」

「いやぁ?なんのことかな?」

「あーあー良くないんだぁ!どうせ『紬って犬っぽいよな』とか思ってたんでしょ?」

なんかこいつ鋭くない?

「んーん?オモッテマセンヨ?」

「うわぜーったい思ってるやつ!良くない!」

ごめんごめん、と謝りながら周りを見渡す。席は自由、って感じなのかな?割とみんな仲良い人と固まって座ってるっぽい。


「ごめんって。ね?お菓子あげるからとりあえず座ろっか」

「颯さん私にはお菓子与えときゃいいと思ってるんですかぁ?良くないなぁ」

「えーじゃあいらないの?これ紬の好きなチョコだけど?」

「・・・いるもん」

「それじゃ座ろっか?紬ちゃん?」

「うわなんか腹立つ!!」

子供扱いするなー!と怒る紬からの拳(もちろん痛くない)で背中を殴られながら空いていそうな席に向かう。

私たち二人が座った席はちょうど洸太や一織たちがいる席のすぐ側だった。


「あー!洸太に一織じゃん!席近い!!」

彼らに気付いた紬は直ぐに声を上げた。ほんとにテンションがジェットコースターだな?

「お、紬に颯じゃーん。僕らの横来る?」

「えーなんかその言い方ナンパっぽい」

「ごめんって!てかそんなつもりしてないからね?!」

「あーこれは手馴れてるやつですねぇ、颯さん?」

「そうだねえ、これは確信犯だ」

「良くないよ、洸太くん?」

「え、なんで一織まで??!僕に味方はいないの?」

「いないねぇ」

「いないなぁ」

「どんまい!」

「みんな・・・ひどいよぉ」


さすがにそろそろ洸太が可哀想になってきたな、と思い私は口を開く。


「まぁまあ、球技大会も始まったばかりだからさ、1回座ろ?」

「そうだね、ここどーぞ」


一織が荷物を避けてくれたスペースに私たち二人は椅子を持ってきて、4人で円を作るように座った。


「あれ、今日はみんななににでるの?」

すっかり立ち直った洸太がみんなに聞いた。

「私は玉入れとバレーかな、たしか」

「あれ、紬結局バレーも出られることになったんだ?」

「ちょっとねぇ、圧をかけまして?」

「違うでしょ、文化運動に土下座したの間違いでしょ?」

「ちょっと颯!なんでそれ言っちゃっうの!」

「だって、ねぇ?嘘は良くないよ?」

「んむむむむむ!!せっかくカッコつけたのに!」

「おいそれ大してカッコついてないぞ?」

「洸太まで!あーあー紬ちゃん拗ねちゃいましたー!良くないよくない」


話が一段落着いたところで、続きを引き継ぐ。


「で?一織は何に出るの?」

「私は一応ドッヂボールかな?確か名簿にのってたはず」

「え、一織ドッヂボールできるの?」

「苦手ではあるけどね?そこまでスパッと言われるのは傷ついちゃうよ?」

「ごめんごめん、やっぱりこの紬さまの運動神経には誰も敵わないからさ?」

「それフォローになってなさそうでなってないこと気がついた方がいいよ?」

「いやどっちにしてもなってないんかい」


「仲良いな君たち」

思わずボソッと呟いてしまった私に、すかさず紬が絡みにきた。

「なーに、颯ちゃんも入りたいって?」

「言ってないよ?!」

「こらこら、つんつんしちゃって!素直になんなさーい?」

「まじで終わり見えないから誰か助けて!」


めっちゃわちゃわちゃしてたけど、こんな調子でこの球技大会大丈夫かな?


お読み頂きありがとうございました

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