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episode.4

よろしくお願いします



球技大会の一日目が終わった。うちのクラスーーー6組の現時点での順位は2位。順位が各学年ごとに決められ、1学年8クラスであることを考えるとわりといい所につけている、と思う。



「お疲れ様ー!」


「おー!おつかれ!」


「大活躍だったねー祐希」


「そんなことないよ笑。でもみんなの力になれたんだったら良かった」


「もう祐希さまさまだよほんとに笑」


既に放課したが、まだまだ教室にクラスメイトが残っているなか祐希と話していると、視界の右端からぴょこぴょこと揺れるポニーテールが見えた。


「ちょっとー?颯さーん?浮気ってことでよろしい?」


「いやなんでだよ!」


急にどうしたこいつ!


「えーだって私をほっといて他の人と喋ってるしー?」


「紬はメンヘラ系彼女か!・・・っと、ごめん祐希」


祐希を振り返ると、机に腰掛けたまま苦笑いをしていた。


「いやいや全然いいよ笑

それにしても颯と紬って仲良いよねー」


「あ、気付いちゃった?やっぱり私たちは運命の赤い糸で繋がれてるから、ね?」


「違うでしょ紬、中学から一緒ってだけでしょ?」


「むぅー颯、もっとのってくれたっていいじゃないかいいじゃないか」


「そんなこと言ってたら紬ちょーし乗るでしょーが」


「さっすがそーちゃんよく私の事分かってんねーびっくらぶ!」


「はいはいわかったわかった、って、祐希ごめんねこっちででずっと話してて」


また祐希ほっといちゃってた、と申し訳なくなって振り返ると、両手を振って大丈夫だよ、とジェスチャーをしてくれた。


「いいよいいよ、聞くの面白かったし!

あ、じゃあ俺用事あるから帰るねー」


「うん!また明日ねー」


「じゃあねー祐希」


教室を出ていった祐希を見送り、隣にいる紬へ改めて意識を向ける。

紬は祐希の姿が見えなくなるまで元気よく手を振っていた。

前から思ってたけど、やっぱり紬が来ると場が華やかになるよなぁ、ほんとにすごい子だ。とはいえ、話してる中に来られちゃうと話がそれちゃうから話してる相手に申し訳ないんだけど。と、すこし苦笑する。


「一日目お疲れさまー」


紬と私、二人で立っているところに洸太と一織が話しかけてきた。2人ともどこか紅潮した顔をしている。

と、あれ、


「あれー?どしたのそのシール?」


2人の顔を指さして紬が言った。


「あ、これ?さっきそっちで僕達2人が座って話してたら、かほ達ががシールくれたんだよね」


夏帆とは、うちのクラスのダンス部の子だ。明るくて裏表のないい子で、あまり接触は無いが体育などで喋ったりもしている。


「ん、シール貰ってもどうしようか?ってなってたんだけど、かほ達に聞いたら目元とかにシール貼るのはやってるから、やってみたらー?って言われてさ」


確かに今日廊下ですれ違った女子の多くが顔にシールを貼っていた気がする。


「あー、今日みんなつけてるの見かけたわー」


「やっぱり流行ってるのか!」


それにしても、と思う。あの洸太なら顔にキラキラした宝石のようなカットの仕方をしているシールが貼られてるのは分かるけど、


「・・・なんか一織の顔にシール貼ってあるの違和感」


「あーなんかわかる笑」


「『私はそういうのやりませんよ?』って顔してるもんね?」


「確かに笑笑笑笑」


「えまって2人とも私の事そんなふうに思ってたの?」


慌てたように私たち三人の顔を見る一織が面白くて、つい吹き出した。


「いやごめんごめん、なんか、一織、ぷっはは、」


「なんか、一織の茶髪と相まって、あははっ」


うちの学校は髪型が自由なことはもちろん、髪染め・ピアスも自由、服装も私服だ。校風は『自由』である。きっとこの辺りは、偏差値が高くみんなしっかりしてるがゆえの自由さなのだろうと思う。


「そんな私がこれやってたら変だった?」


「いやぁなんかねぇ、うん。とてもいいと思うよ!」


ぐっちょぶと言わんばかりのサムズアップを決めた洸太を一織が小突く。


「あーいいですねいいですね洸太くんはシール似合ってるって言われて。これから毎日顔にシール貼ってくればいいんだよこの野郎!」


…うーん、毎日はさすがに変だわな。


「ちょっ一織、さすがに毎日つけてくるのは変だろ!」


やっぱり一織もそう思ったか笑笑


「いいんでないのー?洸太くんなら?」


「ちょっと一織くんボクをイジるのやめてもらってもいい?!」


なんか二人の掛け合いって安定感あるよなーと思って、右側にいる紬を見る。すると紬も同じことを思っていたみたいで、目が合ってお互い苦笑した。


「えー私もありだと思うよ一織!てか洸太もやればいいのにねー」


「ちょっと紬、あんた入ると話がフィーバータイムしちゃうから」


「そうちゃん、多分そうちゃんが話に入る方が情緒がジェットコースターなるよ」


「あーそれはそう」


「うんうんたしかに」


え、なに一織まで頷いちゃってるの??!

てかなんで私を、イジるところに落ち着く?

もういいや!とりあえず、


「紬!帰ろう!」


「あーそうちゃん逃げたー」


「良くないよー颯」


「もう収集つかん!明日もあるし帰るよ紬!」


「もうわかったよぉ、ちょっとリュックとってくるから待ってて!」


「はいはい、じゃあまたあしたね、洸太、一織」


「じゃーなー」


「明日もがんばろーね」


ばいばい、と手を振って、リュックを取ってきた紬と合流して帰路に着く。私たちは中学が一緒だったので、途中までよく一緒に帰宅している。


「楽しかったねー、今日」


学校の外に出て、2人で肩を並べて歩きながら紬に話を振る。


「ね!初めての行事だったけどワクワクした」


「うんうん」


秋の少し涼しい風が私の頬を撫でていく。まだまだ夏だと思ってたけど、思いの外気温下がってきてるんだなぁ。

そんな風にふわふわとした心地の良い疲れに浸っていた私の心情を知ってか知らずか、紬が声を上げた。


「今日一日でいっこ思ったんだけどさ」


「なしたの?」


「なんか結構待ち時間暇じゃない?って思って」


「たしかにそうかも。間が平気で1時間とか2時間とか空くし、何かゲームとか持ってった方がいいかもね?」


「うーん、それなんだけどさ、勉強してる人とかもちらほらいたよね、」


「たしかにそこもネックなんだよなぁ。てかその人たち偉すぎる」


「それね笑。あ、それならさ、所謂S〇itchとかじゃなくて、カードゲームとかにしとく?トランプとか」


「あーあり!それならそんなにうるさくないだろうし」


「じゃあそうしよっかー。あれ、颯はなんかそういうゲームもってる?」


「私は……UN〇とかならあるかな?でもそれくらいかも」


「おっけおっけ。じゃあトランプとあと他にもう一個くらい私持ってくわ」


「まじ?紬さん天才じゃないですか」


「でしょでしょー?もっと褒めてくれてもイインダヨ?」


「褒めようかとも思ったけどやっぱり辞めた、ちょーしのるなよー?笑」


軽く小突こうとした私の手を紬が素早い動きで回避した。ほんとにこの子運動神経いいな?


「もー颯ちゃん暴力はんたーい!っと、ここでバイバイだね」


「もうここまで来てたのか、早っ!

じゃあ、紬、またあしたね〜」


「うん!明日も頑張ろ!!」


「ばいばーい!」


紬に手を振り、体の向きを変える。


(明日も球技大会かー。とりあえずUN〇と、あとお菓子と……忘れないようにしないとな。それに少し疲れてるからいつもより今日は早めに寝るようにしよう。あー、明日勉強道具持ってくか迷うな。後で紬にでもラインしておこうか。勝っても負けても、どっちでもいいからーーー)





明日も一日、楽しめたらいいな。



読んで頂きありがとうございました。

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