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episode.9

よろしくお願いします



2組戦の男子ドッヂボールも終盤に差し掛かり、6組はあと2人にボールを当てれば勝利という所まで来ていた。


「がんばれー!」


「あとちょっと!!いけるよー!!!」


6うちのクラスが声援を飛ばすなか、右横の方にいる2組からも声援が聞こえた。うちの学年で有名な『ギャル4人組』がいるからなのかは分からないが、明らかに声のトーンが高い。


「ね、颯ちゃん」


何かに気がついたのか、紬が小声で話しかけてきた。


「どしたー?」


彼女の口元に耳を寄せるようにして、すこししゃがみ込んだ。


「大したことじゃないんだけど、2組の声援、黄色くない?」


紬も思っていたか、と思わず笑ってしまった。


「それ私も思った笑笑笑笑。明らかにトーン違うよね笑笑」


そんなこんなで紬と喋っていると、なんと2組はあと1人までに追い詰められていた。

行けるよー!!と、うちのクラスの応援も2組に負けじと大きくなる。そんな中ーーー


「あっっっ!」


思わず、というように紬が声をあげた。内野にいた、うちのエースであるふるしょーが当てられてしまったのだ。幸い、2組の内野ーー残り1人の内野ーーが当てたことで、2組の内野の人数が変わることはなかったが。


「1本粘ってこー!!!」


せっかくのチャンスを逃さないとばかりに、さらに2組の声援が大きくなった。応援ですら負けてられない、と私も声を張上げる。


「6組ファイトー!」


「負けるなー!まだ行けるよー!!」


ここで逆転されては困るとギアを上げたのか、うちのクラスの動きが更に良くなった。

そんな6組の様子に焦ったのか、2組の外野が投げたボールが軌道をずれ、6組の内野の方に投げ込まれた。

そのボールをすかさず内野の1人が広い、外野にパスした。

2組の体制が整わないまま6組の外野に回されたボールはふるしょーに回されーーー


パシンッッッ


2組の最後の内野を仕留めた。

執行の笛が鳴ると同時に6組皆がコートの方へと駆けていった。


「ないすー!!!」


「まじでふるしょー当てられた時は焦った!」


「これ優勝しちゃうんじゃない?!」


男子の功労を称えながら、皆喜びの声を上げる。これは優勝にいいとこつけてるかな?





「これマジで行けちゃうんじゃない?」


「ねー」


「優勝のトロフィー持ちたい笑笑」


「ね笑笑。みんなで写真撮ろうねー」


もはや優勝するという前提で、教室へと帰っていく。私は皆少し気が早いな、気持ちはわかるけど、と口元を緩めた。



---------------------‐-------------------‐---------------------‐-------------------‐



2組戦が終わり、教室に戻って1時間ほど経った。全クラスの試合が終わり、いよいよ結果発表の時間だ。

今回の結果発表は全て校内放送で行われる。


「行けるかな、、?」


「まあまあ、きっと大丈夫だよ!落ち着いてこ」


不安そうな人も中にはいるが、おおよそ皆落ち着いてそうな様子だ。


『皆さん2日間にわたる球技大会お疲れ様でした。それでは早速、1年生から順位を発表していきたいと思いますーー』


執行委員による放送を、皆固唾を飲んで聞いていた。尚、先程の順位が見られるサイトは、2組戦が終わったあたりで閲覧不可になっているため、私を含めここにいる誰も自分たちの順位を知らない。


『第3位は、103です。』


わあっ、と喜ぶ声が遠くから聞こえたが、うちのクラスは誰も身動ぎせずに固まったままだ。


『第2位は、ーー102です。』


周りを見渡すと、皆ここで呼ばれなくてよかったという安堵と優勝への期待が見えた。


『栄えある一学年総合優勝は、ーーーー』


皆胸の前で手を握りしめていた。かなり緊張している様子だ。まあ、ここまで冷静に観察しているように見えて、私もかなりドキドキしてるんだけど、ね。


『ーー106です!!!』


みんなで椅子から立ち上がって喜んだ。

細々とした執行からの放送が聞き取れないほどの声量で私たちは喜び続けていた。


『優勝・入賞したクラスには、この後執行役員が賞状と景品を渡しに向かいますので、クラスでお待ちください』


景品?!との言葉に皆が顔を輝かせた。なにかな?お菓子とか?という言葉が飛び交う。そんな中、直ぐに執行ーーつまりあっちゃんーーが来た。


「賞状と、景品であるお菓子を持ってきました!」


あっちゃんの言葉に、皆がパチパチと拍手をした。皆、輝かんばかりの笑顔を浮かべている。


「ここは功労者からなにか一言欲しくない?!」


クラスの誰かが言い出すと、自然と視線がふるしょーの元へと向かった。

え、俺?と言わんばかりの顔をうかべるふるしょーに、周りの男子が行けよ行けよ!と背中を押す。

その後押しで、ふるしょーは教壇へと上がった。


「えーっと、何言おうか特に決まってないんですけど」


率直なふるしょーの言葉に、皆笑いだした。和気藹々とした、とてもいい空気だ。

一頻り笑いが収まると、ふるしょーが話し始めた。


「えーっと…今回優勝出来たのは、みんなで力を合わせられたからだと思います!誰か一人でもかけていたら、絶対優勝出来てなかったと思います!みんな本当にありがとう!!!」


パチパチパチパチ、と大きな拍手が湧き上がる。

それはふるしょーが再び話し始めた辺りで徐々に収まって行った。


「それじゃあ最後に………

とったどーーーー!!!!!」


両手で賞状を高くあげるふるしょーの姿に、皆爆笑しながら拍手を送った。そして、ふるしょーが教壇を降りたと同時に担任が教壇へと上がった。


「いやー、ほんとに皆お疲れ様でした」


ありがとうございまーす、とみんなから声が上がった。そのまま、この場はSHRへと変わった。


「いやー、球技大会前に冗談で優勝できるように頑張ってね、とは言ったけど俺もまさか優勝するとは思ってなかったよ笑。皆すごく頑張ってくれたよね、、ほんとに。俺の教員生活で、自分の持ったクラスの中で初めて球技大会優勝したクラスです笑笑。

そんな頑張ってくれたみんなに……………」


そう溜めて、足元の袋を持ち上げてかずあきは…


「アイス買ってきましたー!!」


おおお!!!と皆ザワついた。


「アイスを選ぶ順番決めて欲しいんだけど…列の端と端でジャンケンしてもらおうかな?」


担任の言葉に、絶対勝って!!と教室内で声が飛び交う。降って湧いた新たな戦いに、皆夢中だった。


「うわ負けた!!!」


ジャンケンに負けたグーの手を握りしめながら、悔しそうにふるしょーが叫んだ。


そんな様子を笑ってみながら、みんなが順番にアイスを取りに教壇へと向かった。


「何のアイスにしたー?」


「私いちごのやつー」


「えー、いいなぁ。あ、そうだ写真撮ろうよ!」


「いいねいいね〜」


棒のアイスを片手に、皆で写真を撮りまくる。ほんとに優勝出来て良かったなとこの光景を見て改めて思った。


「クラス写真とろー!」


「いいねー!!!」


「やっぱりふるしょーが真ん中じゃない?」


「そうだね!」


クラスの誰かが言い出した言葉に皆がわらわらと教壇の前に集まった。こうやってすぐ動いてくれるのがうちのクラスのいい所だよな。


「じゃあとりまーす!はいっチーズ!」



「「「いえーーい!!」」」



こうして、1年の秋季球技大会は終わった。

ありがとうございました

書き終わってから、なんで球技大会について書いたんだろうと不思議に思っています

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