episode.8
よろしくお願いします
玄関を出てグラウンドに着いた私たちは、自分たちのクラTを探した。
「あー!みんなもう揃ってる!」
「わ、ほんとだ!いそご!」
みんなのもとに着くと、もう既にアップが始まっているようだった。
「106の玉入れのキャプテンは誰ですか?」
執行の人がこちらに歩いて尋ねてきた。
えーっと、キャプテンって誰にしてたんだろう?
「東堂さんです!」
ずいずいっ、と効果音がつきそうな勢いで紬がこちらに歩いて来て言った。
「え、うそ!」
いつの間にキャプテンにされてた?!
「ほんとだよーん」
「紬まじでやりやがったな!」
いつもの私たちのやり取りが始まりそうになったところでーー
「あのー、すみません、よろしいでしょうか?」
執行の人に話を止められてしまった。紬の方に向いていた体を慌てて戻し、返事をする。
「あ、はい!すみません大丈夫です」
「では102のキャプテンの方とジャンケンをして、紅白どちらにするか決めてください」
「分かりました!」
どこに102のキャプテンがいるかなと探すと、すぐ近くに見つかった。
「それじゃあ、最初はグー、ジャンケンポン!」
相手が出した手はパー、私はチョキだった。おお、ラッキー!幸先いいね!
「みんなじゃんけん勝ったよー!紅と白、どっちがいいー?」
みんながいる方を振り返りながら、周りの喋り声に掻き消されないように大声で言う。
「じゃあ紅で!」
「紅かなー?」
割と紅がいい人が多そうだな?じゃあみんなの希望通りに、っと、
「106は紅でお願いします」
「分かりました。では、両組ともスタンバイしてください」
「「わかりました」」
106の女子が固まっているところに戻り、みんなに声をかけて紅色の籠の近くにに移動した。
「円陣組もう!」
「組もう組もう〜」
「掛け声誰やる?」
「やっぱそこはキャプテンじゃない?笑」
こちらを指さすようにして言った瑠依の言葉につられて、みんなの視線が私に集まった。
「確かにそうだね笑笑。じゃあ颯、よろしく!」
「えぇ、私でほんとに大丈夫?」
もちろん!と頷くみんなに背中を押されて、この試合に勝てますようにと声を張上げる。
「それじゃあ……
6組絶対勝つぞーー!!!」
「「「「おおぉー!!」」」」
私の掛け声に合わせてみんなが右足を踏み出した。昨日も玉入れはやったけど、やっぱりこの時間が一番高揚するな。
「颯ちゃん、へましないでよ?」
「しないよ!てか、玉入れに私を入れたの紬なんだから私が失敗しても紬のせいでしょうが…」
「まぁまあそんな細かいことは仰らずに!あ、はじまるみたいだよー」
『それでは行きます!位置について、よーいスタート!』
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「みんなお疲れ様ー!」
「ありがとう!」
「男子はどうだったー?」
「男子のドッヂボールはこれからだよー」
「あーそっか、まだだったかー」
「そうなんだよねー、まあ勝つから期待しといて…っと、女子見事だったねー」
女子の玉入れ終了後、6組で固まって喋っていた。
「でしょー?まあ私たちにかかれば余裕…ってやつかな?」
ドヤり、なんて効果音が聞こえてきそうな笑みを紬が浮かべると、それにつられて周りの女子がクスリと笑った。
「やー薄々感じてたけど、私たちめっちゃ強くない?」
周りに問いかけた瑠衣の言葉に、皆が頷いた。
「ね、ほんとそれ!てかこれで2組戦は勝利が確定したんだよね?」
「そうだねー、もう心配しなくていいかな」
「最高じゃん!まじアツい」
「ね笑笑。ここまでお膳立てしたんだから、男子も勝って終わってよ〜?笑笑」
「完封勝利してくるから期待してて?笑」
ニヤリと笑って、古田翔太が力こぶを叩いてみせた。バスケ部に所属している彼は、バスケ部らしく引き締まった躰をしている。彼は、うちのクラスの球技大会をひっぱっているメンバーのひとりだ。
「そういえば、2組戦の勝ちが確定したってことは、もしかしたら総合優勝できるかもってこと?」
「あー、どうなんだろう?わりと悪くないとこつけてると思うんだけど…あっちゃん、実際のとこどんな感じ?」
紬の疑問を先程クラスの方に戻ってきていたそのままあっちゃんにぶん投げる。やっぱり蛇の道は蛇でしょ?
「そうだねー、あんま正確な情報じゃないかもしれないけど、ちょっと前に見た感じだと1年の中で2位とかであったはずなんだけど……。あ、現在の順位まとめた執行のサイトあるから見てみて!」
「え、そんなのあったんだすご!」
「あー、でも、、今私サイトのURLわかんないんだよな…。洸太、持ってる?」
「あー、ちょっと待ってね………あったよー。どうすればいい?」
「クラスLINEとかに送って欲しい!それでいいよね?」
「うん!ありがとう!」
洸太が送ってくれたURLを開き、みんなで覗き見るーーー
「わ!!!今2位じゃん!」
思わず、とでも言うように声を上げた一織に続いて、その場にいた皆が口々に声を上げた。
「まじか!え、めっちゃいいとこつけてない?!」
「ね!これもしかして優勝行っちゃう…?」
「わんちゃんあるよね!あれ、だってバドと女子バレーは1度も負けてないよね?ってことはそこ2つは取れるってことでしょ?」
「あれ、成績を得点化して、その獲得点数で順位決まるんだよね、あっちゃん?」
「うん、そうだね。2つの競技取れてるのは結構大きいと思う。」
「たしか加点とかなかったっけ?」
「どうだろう、私はわかんないなーそこらへん」
「そっか〜、でも執行の2人がそういうなら優勝の可能性全然あるね!」
「これは、燃えてきたねー!!!てことは、次のドッヂボールがわりと大事ってこと?!」
「そう、だね…。たしかこのクラス、男子ドッヂがそんなに戦績良くなかったはずだから、できるだけ落とさないって言うのは大事!」
「まじか!頼んだよ、ラドクリフくん!」
近くにいた祐希に声をかけた。するとーーー
「だから俺は祐希だってば!!颯!」
思った通りの反応が帰ってきた。
「………確かに言われてみたらラドクリフかも……」
「ちょっと待って、あつひろまで?!」
「ラドクリフ……って言うと…ハリ〇タ?」
「いえーす、ざっつらいっ!」
「あーそれなら納得かも」
「ね、それな」
「ちょっと待って、一織に洸太まで頷いちゃうの?!」
着々とラドクリフくん普及計画が進んでいく中、男子ドッヂのスタメンが呼ばれた。スタメンの男子たちにつられて、固まっていた6組の輪がほぐれ、イツメンがその場に残った。
「あー、ラドクリフ呼ばれてるよー」
「だからラドクリフじゃないってば!…行ってきます!」
「行ってらっしゃーい」
慌ただしく水筒とバドのラケットバッグをもって祐希がコートの方へと向かった。あれ、ラケットバッグ持っててあげた方が良かったかな?
「いやー、勝って欲しいよね〜」
「ねー、ほんとにそう。総合優勝したい!」
うんうん、と同意を示しながらーーー
「………ってあれ、この試合一織出るんじゃないの?」
「あれ、そういえば一織、1試合入ってるって言ってたよね?」
一織の方を2人でガン見しながら尋ねた。すると一織は私と紬にぶつけられた疑問に目をぱちくりさせてから、ああ、と納得したような声を出した。
「ついさっき、大事な試合だから、ふるしょーとスタメンチェンジしたんだよね」
「あ、だからさっき2人で喋ってたの?」
私の疑問に一織がそうそう、と頷いた。
「……ってことは、1試合も出ないってこと?!それは不公平なんじゃない?」
運動大好きな紬が信じられないとでも言うように大きく首を振った。
そんな紬の様子に、苦笑いを浮かべて一織が答える。
「そうは言ってもねー、私運動そんな得意でないからさ。大事な試合出て足引っ張るのも嫌だからね、まあふるしょーが提案してくれてラッキーかなーって」
「まあ、本人がそう言うなら…?」
結果的に出番がなくなってしまった一織の境遇に納得出来なさそうな様子ではあるが、一応紬は引き下がった。クラスとしては勝ちたいけど、だからといって紬が言うようにクラスメイトの出番まで削ってやっていいものか……。そんな2つの考えがせめぎあい、少し重苦しい空気が漂う。紬はやっぱり納得してなさそうだし、一織もどうすればいいか分からないようで、苦笑い気味だ。さて、これをどうしようかな?
「……あっれー、一織君はスキー上手いって聞いてるんですけど、陸上のスポーツは苦手ってことなんですか〜?笑」
空気を変えるように、わざと煽るような口調を意識して一織にツッコんだ。私の言葉に、若干の安堵を口元に滲ませながら一織は、
「それは別問題ですぅー!」
と、これまでの空気を変えるような明るいトーンで返答してきた。しかも、私が出したサインを完璧な形で打ち返す形で…。こやつ、もしやできる側か?
「どこに違いがあるんだよ!同じくスポーツでしょ?」
「うーーーん、、、なんて言うかねぇ、、スキーって別に頑張らなきゃってこともないから楽だもんなぁ…」
「「「どこがだよ!!!」」」
その場にいた、洸太、瑠衣、紬、あっちゃん、私の声が見事に揃う。今度は逆に、これまでの経緯が全部吹き飛ぶくらいの爆弾発言をしてきた。いや普通にスキー難しいじゃんね!
「えー?いやまあ別に、ふにゃーって滑ればいいだけだよ?」
「……この人は…」
「なんとまあ…」
「ここにも規格外がいたなって感じ?」
「「「はぁぁぁ…」」」
私たち5人が目を合わせてため息をつくのをみて、一織が慌てた。
「なんかすみません!!今後言わないからこれ!」
わたわたとした一織の様子を見て、皆苦笑いをした。
ここら辺が潮時かな?
「まあまあ、この談議はまた今度にして、さ。あ、ドッヂ始まるみたいだよ!」
私の言葉に、皆がドッヂボールの試合場である野球場に向けて走り出した。
お読み頂きありがとうございました。
あれおかしいな…全然話が進まない……




