誘拐犯は純情の持ち主
前回のあらすじ川柳
茜連れ
蕁麻楓
去ってった
少し落ち着こう。
茜が楓に連れて行かれて、まだそこら辺に居ると思ったら居ない………どう言う事なんだよ。
やばい、茜がどこに居るのかが完全にわからなくなった。
きっと遠くには行ってないだろうが、そもそっも一階か三階のどちらに行ったのかもわからん。
しかし………なぜ茜は抵抗をしないのだろう。
何か理由があるのか、それともただただ面倒臭がっているだけか………。
まあいい。とりあえず探そう。
ただ我武者羅に探していても意味が無い。ある程度検討をつけてから探そう。
さすがに茜でも、校内から出ようとしたら抵抗はするだろう。
それに、人の目がつくところには居ないだろう。
茜はそれなりに有名だから、見かけて気がつかない人はあまり居ない。
それに、茜が有名になるに伴って、いつもそばに居る俺も少々有名になった。
なら、クラスのやつらに見つかったのなら、不思議に思われて俺に連絡が来るだろう。
なら後は、空き教室・屋上・人気の無い階段とかか………。
だめだ。候補が多い。
一階と三階。もしかしたら二階もあり得るが、そんな広範囲&候補多数な状況、一人で探すのは無理がある。
なら、もう一人呼ぼう。
俺は、ポケットから再び携帯を取り出して、履歴から電話をかける。
電話は3コール鳴って、そこでやっと繋がった。
「翌檜。俺だ、正木だ」
『ああ、まあ表示でわかるがな。どうした?』
「単刀直入に言うが、茜が誘拐された。犯人は同じクラスの楓だ。苗字は知らない。探すのを手伝ってほしいんだ」
『なるほどわからん。本当なのかそれ』
まあ………疑いたくなるのはわかる。実際俺も最初は戸惑ったからな。
「事情は見つけた後、部活で説明する。とりあえず今は手伝ってくれ」
『………まあ、わかったが。何も言わんさ。で、俺はどこを探せばいい?』
「とりあえず一階を探してくれ。空き教室とか人目が少ないところとか」
『ああ、わかった。それじゃ』
そう言って、翌檜は電話を切った。
これで、とりあえず俺は三階と屋上を探すだけでよくなった。
一階は翌檜に任せて、俺はさっさと三階へ行こう。
三階へ着いて、俺は空き教室をあらかた回った。
しかし、茜と誘拐犯がもし一階に居なかったら、居場所は屋上でほぼほぼ確定だろう。
それを確認するため、俺は携帯を手にとって翌檜へ電話をかける。
「翌檜、俺だ。とりあえず三階には居なかった。そっちはどうだ?」
『一階には居ないな。とりあえずだいだいは見て回ったけど』
「おう、わかった。後はもういいから部室へ行っててくれ」
『ああ、あんまり遅くなるなよ』
そう言って翌檜は電話を切る。
さて………後は屋上に行ってチェックメイトだ。
俺の予想が正しければ、二人は屋上に居るはずだ。
もし、校内から出ていればその時点で詰み。今日の内で発見することはできないだろう。
だから、
屋上に居てくれることを望む。
そして、俺は勢い良く屋上の扉を開ける。
しかし、そこには人の影すら無かった………。
「………はあ、いなかったな。ダメだ。もう手詰まりだ」
「と、言うとでも思ったか?後ろに居るのはわかってるぞ。誘拐犯さん」
「あれ、ばれてましたか」
俺は後ろを振り向く。
屋上の入り口の上。梯子を登って行けるそこに楓は居た。
すぐ隣には茜が居て、楽しそうにニコニコ微笑んでいる。
この状況楽しんでるの?こっちは探すのにすごい苦労したのに。
「茜てめぇ………何で楽しんでやがんだ」
「いや、誘拐されるのってこんな感じなんだなぁって」
「それで?随分と楽しんでいるみたいじゃないですか?こっちの苦労も知らずに」
まあ、ここで茜を説教しようとしても意味が無い。説教したいのは楓のほうだ。
「それで、誘拐犯。目的は何だ」
「あなたに話す義理はありません」
「はあ………犯人が強気な態度を取るなんて世も末だな」
「わかったらさっさと消えてくれませんか?」
「急に毒舌だなぁ………性格変わりすぎじゃない?二重人格?」
「いいえ。こちらが本当の姿ですよ」
「そうですか………」
驚いた。
いつも周りに振りまいている笑顔は嘘で、こっちの方が本性だったとは………。
まるで俺みたい。
「とりあえず、茜を返せ。もう部活が始まってんだ」
「それでハイどうぞ、って返すとでも思っているんですか?それなら誘拐なんてしませんよ」
「だよな………なら、本当に目的話してくれない?じゃないとただの意味のわからない行動に捉えるよ?」
「そうですねぇ………このままじゃ埒が明かないので、話すとしますか」
コホンと咳をついて、楓は話し出す。
「私、可愛い物を集めるのが趣味なんですよ。だからです」
「うん………うん?」
「だーかーら、可愛い物を集めるのが趣味なので!茜さんをさらったんですよ」
「ああ………理解したわ」
うん、理解した。こいつはヤベェ奴だ。
可愛いものが欲しいからって人さらうとか、頭の螺子五・六本くらいぶっ飛んでんじゃないの?
「それで、どうしたら返してくれる?」
「なら………勝負です!茜さんを賭けて勝負です!」
「嫌だ」
「よし!なら内容は………ってえ?勝負しないんですか?」
「ああ………別に勝負すること自体はどうでもいいが、景品として茜を賭けたくないんだ」
「ま………正木!」
「………あれって、素でやってるんですか?」
「うん、だいたいは素だよ」
茜と楓がヒソヒソと話しているが気にしない。
「それより、本当に返してくれない?」
「なら………なら!どちらが茜さんにふさわしいのか勝負です!」
「ああ、それなら良いよ」
「あ、良いんだ」
「よし!そうと決まればさっそく勝負です!家庭科室に来てください。私は先に行ってます!」
そう言って楓は俺達を置いて家庭科室へと走っていった。
「………部室行くか。茜」
「ええ………うん、まあわかったよ………」
そう言って、俺と茜は文化研究部へと歩いていった。
楓との勝負には目もくれず………。
萩原慎二です!
随分と茜の回?が長引いてる気がしますが、とりあえず気にしないことにしました。
もう一話分、もしくは2話分くらいは使う可能性はあるので、皆さんが楽しめる作品を作れるように努力します!
誤字脱字、感想等も受け付けております。
ブックマークなどしてくれると嬉しいです!
次回予告川柳
勝負して
楓と正木
どちら勝つ?(そもそも勝負は?)




