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不変と恋の戦争物語  作者: 萩原慎二
夏の花咲く恋日和
35/41

赤松茜は無邪気な娘

前回のあらすじ川柳

     カラオケで

      牡丹の歌声

         皆悶絶

カラオケ大会が終了して次の日。

その日は部活が休みで、合宿とカラオケ大会の疲れを取ろうとしていた。

そんなときに、運動兵器の茜から電話がかかってきた。


「正木ー。プール行こー」

「断る」

「えー。頼むよー、どうせ暇でしょ?」

「暇だから休んでたいんだよ。頼む、休ませてくれ」

「そんな事言わずにさー。行こうよー」

「いーやーだー」


茜のプールのお誘いに、俺は全力で拒否していた。

ただでさえ、合宿での海水浴や夏祭り。カラオケ大会での牡丹の歌での疲れがあるんだ。

茜との運動など、一番疲れるに違いない。


「むー………本当に、ダメ?」

「ダメだって……そんな言い方で言ってもダメだぞ」


茜は、電話越しでもわかるほど可愛げな言い方でお願いしてきた。

おかげで、一瞬だけ俺の父性センサーが動いたが、すぐに元に戻ったから大丈夫だった。


「ん……ダメなのか………」

「そうか、悪いな。また今度にしよう」

「そっか、ごめんね」


そうして、俺達の電話は終わった。

これで、とりあえず休みが取れる。もう昼も過ぎてるし、特に何もしないで過ごせるだろう。


どうしようもない安堵に包まれて、目を瞑りながら考える。

(あいつ………一回もわかったとか言ってないけど大丈夫かな……)

その不安は、後に俺を苦しめる物へと進化する事を、俺はまだ知らない。



「で、何で家に来た?」

「だってー、私諦めるとか一言も言ってないしー。どうしても正木と遊びたいしー。しょうがないと思いまーす!」

「うん、それはわかってたし、何となく予想はついてたからいいけどさ……聞いてたよね?俺疲れてる。超疲れてるの」

「そんな片言に言われても………」


俺の家の前まで来てしまった茜を、ひとまず家の中に入れて話を聞いていた。

と言うかさ、別に来るのぐらいは予想してたけどさ、電話の後5分ほどで来たよねあなた。家、10分の距離は離れてるのに。

茜………恐ろしい子!!

………いや、本当に恐ろしいからやめてほしい。せめて息切れはしてほしかった。


………ん?待てよ………こいつ、いくら何でもおかしいな。

もう準備をしてすぐに家を出たとしても、5分はおかしい。

だって、茜の家から俺の家までの道の間工事してる所があるから、遠回りしなくちゃならないのに5分………。


「お前まさか、家に向かってる途中でかけてきたな?」

「うん、そうだよ?」

「いやそんな清々しく言われましても………俺が拒否する事ぐらい考えられないの?」

「うん。だって正木、今まで私の誘い断った事はあるけど、行かなかったことはないじゃん」

「……………そうだな」


俺が過去、拒否しながらも茜についていったのは理由がある。

こいつ、一度真面目に死にかけた事があるのだ。

今日みたいな夏の日に、探検とか言って少し遠くに行ったら、崖から落ちそうになった。

かなり高い崖で、落ちたら恐らくは死んでいた。

その日も俺は拒否しながらもついていったから、何とか助けることはできた。


その日から、俺は茜を一人でどこかに行かせるのが嫌になった。

だから、ずっと一緒に行動して、安全を確かめるようになった。


実際、今回も茜を一人だけで行かせるのは不安であった。

けど、高校生にもなってどこまでもついていく。と言うことはあまりしたくないので、行こうとはしなかった。

だけど、こうまで誘われては別だ。


夏のプールとは、イケイケな自分は格好いいと勘違いしている輩がたくさんいるから困る。

こいつ、外見はかなり可愛いから、その標的には良くなる。

そいつらを追い払う為にも、行かなければならない。


「で、お前は泳げる物は持ってきちゃったのか?」

「うん。しっかり持ってきたよ。だから………行こ?」

「………しょうがないな。わかったよ」


仕方がない。と言うふうに茜の誘いを承諾する。

自分でも、自分が面倒臭い性格だと思っている。

正直になって、一人で行かせるのが不安だから、と言えばいいのに。

けど、それを言ったら笑われるような気がしたから、言うのが嫌になった。

だから、本心が伝わらないように隠しながら言う。


「もう………素直じゃ無いよね。昔から」


けど、その隠しは通用したことは無い。

それでも、何度も何度も俺は隠し続ける。

本当に、自分は面倒臭いな。



場所は市民プール。

夏休みの為、そこら中に小学生やその中学生などの学生で溢れかえっている。

………帰りたい。

俺の一人が良いセンサーが反応して、この場所に居るのを危険と察知している。

しかし、俺の腕はその人の集まりへと引っ張られていく。


無邪気に笑いながら俺の手を引く茜は、姿形は違えど、昔と変わらない子供心を持っている。

そんな茜に手を引かれながら、俺はつい微笑んでしまう。

茜は、変わらないなと。


「正木!どれから行く!?」

「焦るな。準備体操はしたから、好きな所に行っていいぞ」

「なら、あそこに行こう?」


ピンと指を指している方向を見ると、そこにはあまり人が居ないスペースがあった。

流石。茜は気が利いているな。

俺が人混みが嫌いなのをわかって、人が居ないところを探してくれる。

なんと気が利いたことか。


「人が居ないからな。楽そうでいいや」

「そう………でしょ?だから、ほら行こう?」

「あぁ、走るなよ?危ないから」

「うん…………バカ………」


一瞬茜に悪口を言われた気がするが、超高性能な俺の耳が聞き流してくれたからよく記憶されなかった。

ひとまず、あまり人が居ない所へ行き、俺達は遊ぶ事にした。


ここは、ちょうど岩陰に隠れるような所なので、あまり人目につかないからのびのびできる。

プカプカ浮きながら、俺は空を見ていた。


「おりゃ!」

「ぶふぁ!」


そこへ、大量の水しぶきが飛んでくる。

飛んできた方向を見ると、そこにはニヤニヤ笑いながらこちらを見つめる茜がいる。


「………やったな?ほれ」

「うわ!?」


仕返しに、軽く水を弾いてやる。

茜は、そんな水しぶきは余裕と思ったのか、回避をせずに勇敢に立ち向かった。

しかし、俺は正確に目を狙ったので、茜は少しふらついている。

しかし、体制を難なく戻して、俺への攻撃を再開する。


「おりゃ!喰らえ!」

「痛ってぇ、やったな………ほれ」


何度も何度も俺と茜の攻防戦が続く。

動きはどんどん激しくなり、それに伴って水しぶきも大きくなっていく。

戦いはヒートアップしていき、お互いの闘志が露わになり始めてきた頃に。


────ホロリ。


「あっ」

「なっ!?お前!ばか!」


茜の体を咄嗟に抱き寄せる。

()()()()()()()、茜の顔を俺の胸へと押し付けてしまう体制になる。

俺の体でガードされ、人々が沢山いる方からは見えはしないだろう。

………まさか、取れるとは。


「茜!お前しっかりつけてなかったのか!?」

「多分………甘かったんだと思う………激しく動いちゃったから落ちちゃって………」


茜は、顔を真っ赤にさせて、詰まりながらも言葉を発する。

その間、キョロキョロと取れてしまった茜の水着を探す。

そして、少し離れた岩場に水着があるのが発見できた。


「見つかった!………けど、結構遠いな………このままの体制で行けるか?」

「うん………多分大丈夫………あ、あまり速く動かないでね?」

「わかってる………ゆっくり………ゆっくり………」


俺と茜は、そのままの体制でソロリソロリと動き出す。

茜のあられもない姿が見えてしまわないように、ゆっくりと動き出す。

その瞬間──


──フニョン


「うわぁぁ!!茜!あんまり動くな!」

「ごごごごめん!でも、あんまり離れると見えちゃいそうで……」

「待って、一回止まろ?じゃないとやばい」


俺と茜は急停止して、少し深呼吸する。

──フニョン


「うわぁ!!あああ茜!?何して──」

「ちょっと………我慢して………これなら動きやすいから………」


そう言って、茜は顔を真っ赤以上の赤に染めながら、体を俺に完全に密着させてきた。

もちろん、そうなっては完璧にあたってしまう。

俺の胸元よりちょい下に、2つの自己主張が激しい物体が。

──やばいやばいやばいやばいやばいやばい。


俺の鼓動が物凄く速くなっている事が容易にわかる。

息も荒くなっていき、目眩が起こりそうになりながらも茜の水着がある場所へと向かう。

その間も、2つの自己主張が激しい物体は当たり続けていた。


もう少しで茜の水着へと手が届きそうになる。

体制も悪くなっていき、茜を固定しながらも水着に手を伸ばす。


「茜、体制キツくないか?………茜?」

「ハァー……ハァー………ハァー…………」


茜は、息を激しく乱しながらこちら俺の胸へと頭を埋める。

その吐息が、酷く痒くてしょうがない。

茜の酷く乱れた吐息を感じながらも、何とか茜の水着を掴む。


「ほら。茜、水着取ったから速くつけろ!」

「ふぇ?………あ!うん、わかった!」


反応が少し遅れながらも、茜は俺の掴んでいた水着をパッと奪い、後ろを向きながらつけていく。

その瞬間で、俺も後ろを向き、茜の姿が確認できないようにする。

顔が酷く熱くなるのを感じながら、茜が水着をつけ終わるのを待つ。


少し時間がかかり、チョンチョンとそっと肩を突かれる。

振り向くと、しっかり水着をつけた茜がそっぽを向きながら立っていた。


「………ご、ごめん」

「いや………俺もごめんな」


俺達は、酷くギクシャクしていた。

お互い、顔を真っ赤に染めながらチラチラと見合い、時にはそっぽを向いていた。

一言。

なんだこれ。

どうも、萩原慎二です。

今回は、茜との少しいやらしい回となりました。

現実では起こり得そうもない展開………それは書くのが非常に楽しいです。

それはさておき、茜とのお話は次回も続きます。

楽しみに待っていただければ嬉しいです!

最近、PV数が1000を超えました。

ベテラン作家からしたら、足元にも及ばない数ですが、ルーキーの私からしたらとても嬉しいです!

これも、皆さんの力があってこその結果です。

皆さんを楽しませれる作品を書けるかは、まだまだ心配ではありますが、自分はこれからも、いつまでも楽しく書いていきます!

どうぞ、これからも暖かい応援、宜しくお願いします!

誤字脱字、感想等も受け付けております。

ブックマークなどしてくれると嬉しいです!

次回予告川柳

    茜はね

     強さと優しさ

       持っている

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