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不変と恋の戦争物語  作者: 萩原慎二
夏の花咲く恋日和
28/41

神に願うは楓の願い

前回のあらすじ川柳

     出会いはね

       時折唐突

        それがいい

虎杖葵と出会った次の日。

俺はまたまた寝坊していました。

8時過ぎ。人によっては寝坊ではないと言える時間だが、早起きな文化研究部の皆にとっては寝坊である。

今日は誰に起こされるのだろうか。それが少し楽しみでいた。

今日は昨日より頭が冴えているので、昨日のような失態を犯す事は無いだろう。


カチャリとドアが開かれて、やってきた人は無言のまま入ってきている。

そして俺の近くへ来て。


「正木ー!!起きれー!!」

「ぐはぁ!!」


思いっきり殴ってきた。

起こしに来たのは茜で、俺のことを殴ることで無理矢理起こそうとしたらしい。


「ケホ………カハ………お前な……いきなり殴んなよ……」

「起きない正木も正木だよ。皆待ってるよ。早く起きなさい」

「おう………わかった」


のそのそと立ち上がり、リビングに向かって歩き出す。

楽しそうに談笑している声が聞こえてきて、美味しそうな朝ご飯の匂いが漂っている。


「あっ!正木。遅いよ。もう朝ご飯作っちゃったよ」

「あぁ、すまんな楓。寝過ごしちゃった」

「正木さんは夜ふかししてるから朝起きられないんじゃないんですか?」

「んー………そうなのかなぁ」


リビングにはもう皆集まっていて、それぞれがもう朝ご飯を食べている。

取り敢えず保温されているお湯を注いでコーヒーを作る。

一口飲むだけで頭がしっかり冴えて、口の中に広がる苦味が眠気を紛らわせる。


今日は夏祭り当日。

つまりは楓と山吹先輩の仲を戻す日だ。

成功するかどうか何て俺にもわからない。

だけど、今日の結果で明日の楓と山吹先輩の。関係が変わる。

それは悪い方か、それともいい方か。誰にもわからない。

なら、俺は成功を願うことしかできないだろう。


「ところで、今日は夏祭りの時間まで何するんですか?」

「ああ、そのことだが、近場の神社に行こうと思っている」

「神社って………夏祭りの会場とは別ですか?」

「ああ。私の父の知り合いが巫女をしている神社だ。知名度はそこそこだが、今日はきっと人がすくないだろうからな。観光でもしてこようかとな」

「へえ。いいですね、神社。好きですよ」


近場の神社か………。

そこで、俺は昨日の事をふと思い出す。

確か、葵も巫女服を着ていたような気がするな。

結局どこの神社の娘なのか聞いていないし、そもそもどこらへんからあの海岸に来たのかすら聞いていない。

まぁ、ウチの高校受験するって言ってたからいつか見学会で来るだろう。


しかしなぁ……神社に行くのはいつぶりだろうか。

今年の初詣は行ってないし、何ならいつ行ったのかもう忘れたレベル。

中学の頃の修学旅行で見た記憶もあるが、本当に見たかは覚えていない。曖昧な記憶だ。

ここは、神様にお願いでもしてみるか。

無事、楓と山吹先輩が仲直りできるように。



別荘の扉の鍵を締めて、俺達は山吹先輩が言う神社『虎杖神社』に行くことにした。

うん。絶対に葵の居る神社だね。名前聞いた瞬間ぱっと閃いたよ。

けど、葵が居るとは限らない。

受験生とはいえ、まだ追い込みをかける時では無い。思春期の乙女なら、友達と過ごしたって不思議ではない。


「山吹先輩。夏祭りって何時くらいに行くんですか?」

「ん?………大体5時くらいに行って、晩ご飯を食べて、花火を見るって感じかな」

「はい。わかりました………なら。昼ご飯どうすっかな……」

「夏祭りで色々食べるだろうから、少なめの方がいいかな」

「そうか………なら、炒飯でも作るか」


昼ご飯を決めたり、皆で話しながら歩いていると、いつの間にかもう神社の前についていた。


「ここだな。時間的に何人か人は居るかもしれないから、あまり迷惑にならないようにな」

「はーい!正木。どっちが速く登れるか勝負しようぜ!」

「迷惑行為すんなって言ってんだろ。嫌だ」

「ちぇー………」


茜がブーブーとふてくされる。

それを気にせず、皆は階段を登って神社の境内へと向かう。

少し長めの階段を上り、境内へとつくと、二人の巫女がちょうど掃除をしていた。


「あ、おはようございまーす。……あら、あずちゃんじゃない」

「おはよう、華。皆で観光に来たよ」

「おはようございます……って。正木じゃない!」

「おお、おはよう。葵」


俺と葵がやり取りすると、皆は目を丸くしてこちらを見る。


「何故、君が葵を知っているんだ?」

「昨日の夜。外出たときに会ったんですよ」

「あら。じゃああなたが葵の背中を押してくれた人かしら?」

「あ、はい。志望校の事とかならちょっとは聞きました。……えーっと……」

「あら、ごめんなさいね。私は虎杖華(いたどりはな)葵の母です」


華、と名乗る者は、どうやら葵の母親のようだ。

確かに、ところどころ顔立ちが似ているところがある。


「でも、観光って程ウチの神社大きくないんだけどね……」

「そんなことないさ。最近旅行雑誌とかに載るようになってきてるじゃないか」

「これも、葵ちゃんの可愛さのおかげかしらね♪」

「ち、ちょっとお母さん!冗談やめてよ!」


そう言いながら、華さんは葵の頭を撫で回す。

それを見て、茜が口を開いた。


「葵ちゃん。昨日正木に撫でられたりしなかった?正木、誰でも撫でようとする癖があるから」

「ああ、だからあんなに気持ちがいいんですね!とっても良かったです!おかげで受験もがんばれそう!」

「………正木、お前はまた手を出したのか……」

「またって、俺誰にでもした覚え無いですよ!」

「正木さん……浮気は許しませんよ?」

「牡丹さん?少し怖いですよ?」


牡丹が得体の知れないオーラを出しているが、今は感じ取らなかったことにしよう。


「娘から聞いたのですが、あの志望理由を芽生えさせたのはあなたでしたか……」

「ご、ごめんなさい………まさかこんなことになるとは思ってなくて………」

「いえ、やる気がでたなら良いんです。けど………あんな理由で入ったあとが不安で……」

「………まぁ、理由がどうでも、行きたいなら俺らには止める権利は無いですよ」


あんな理由。と言われて少しムッときたのか、俺は少し威圧的に答えてしまう。

それを聞いて華さんは驚いたような顔をした後、すぐに微笑みかける。


「あなたが居る高校なら、安心ですかね。……娘を守ってやってくださいよ?」

「………まぁ、俺がまいた種でもあるので。わかってますよ」

「………しかし、葵がウチの高校へと来るなら、皆の後輩になるんだな。まぁ、私はその時はいないが」

「え?……皆って、今居る皆ですか?」

「ああ、私達は皆、楼陽高校の生徒だよ」


そう言うと、葵は目を丸くして興奮しだす。


「凄いです!先輩さんがこんなに居るんなんて………皆さん、同じ部活なんですか?」

「うん!文化研究部ってところだよ!」

「まぁ、名前詐欺ではあるけどな」

「………ん?あれ?今正木が一人って事は……男子って一人だけ?」

「いや、もう一人翌檜ってやつが居るが、今はある理由で休んでる」


それを聞いて、葵はとてもワクワクしたような顔で喋りだす。


「わっぱリ私……楼陽高校に絶対入りたいです!頑張ります!」

「おう。頑張れ。なら、勉強頑張んないとな」

「はい!がんばります!」



雑談はこれほどにして、俺達は早速本堂へと向かって、賽銭箱の前へと立った。

皆、それぞれがお金を入れて、お願いをしだす。

俺は十円を入れて、お願いをする。


楓と山吹先輩の仲直りがうまく行きますように………

後、葵が楼陽高校に受かりますように………


2つの願いだから、十円÷2で五円五円になって叶うだろう。

ご縁がありますように。



皆、お願いを終えて境内を出ようとしていた。


「また、いつか来てくださいね」

「ああ、機会があったらまた来るよ」

「バイバイ。正木。他の皆さんも」

「ああ、受験勉強。頑張れよ」


そう言って俺達は神社を出て、別荘へと帰っていった。

牡丹と皐月は終始ふてっていたが、しょうがないな。

……後で撫でてやろうかな?

後書きstory

『虎杖華の困惑』

「ただいま………」

「おかえりなさい」

葵が帰ってきた。

ご飯を食べた後、葵は暗い顔をして飛び出して行ったから心配だった。

しかし、今は決心したような顔をしている。

どうやら決まったのかな?

「お母さん……私ね!」

「やっぱり楼陽高校受けることにしたよ!」

「………そう………そう決めたなら、口は出さないわ……けど、どうしてもそこじゃないといけない理由、あるの?」

「うん………さっき決まったよ」

そして、葵はポッと顔を赤く染めて、言った。

「さっきね!ある人に頭を撫でてもらったんだけど!それが気持ちよくて……その人が楼陽生だからまた撫でてほしくて!」

「………………はい?」

「そう思ったら!勉強しなきゃ!」

そう言って、葵はドタドタと走り出して部屋に籠もった。

…………。

…………。

…………へ?



はい。萩原慎二です。

3日目の朝を迎えて、そろそろ夏祭り、そして、合宿ももう少しで終わりです。

そして、それに加えて『春恋編』のお話の書き足しを行います!

割り込み投稿や、書き足しを行うことにしました。

是非、これからも応援してくれれば幸いです!

誤字脱字、感想等も受け付けております。

ブックマークなどしてくれると嬉しいです!

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