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不変と恋の戦争物語  作者: 萩原慎二
夏の花咲く恋日和
21/41

揺れる水面は幸せの写し鏡

前回のあらすじ川柳

       合宿で

        正木酔いしれ

            今始まる

只今午前10時。俺、石蕗正木はリビングで皆を待っています。

皆はそれぞれの部屋で水着に着替えています。

待っている間、暇なので昼食を作りました。オニギリやソーセージ、卵焼きなどスタンダードな昼食です。

作っている途中で準備を終えた山吹先輩が颯爽と降りてきていました


「石蕗よ、昼食は作り終えたか?」

「はい。簡単なのを作ったんで、後で食べましょう」

「ああ、きっと皆遊んで腹が減るだろう。たくさん作って損はない」


まるで、自分は遊ばないと言っているような感じで山吹先輩は言った。

まぁ……山吹先輩が楽しそうにはしゃいでたら少し、いや。かなり不審に思う。

そんなことを考えていると、山吹先輩に睨まれて心の中で謝りました。なんで考えてることわかるんですかね?全力でごめんなさい。


それからは、準備を終えた皆が2階から降りてきて、早速海へと行くことにした。半分酔っている人に荷物持ちさせる点、皆を悪魔だと確信しました。



透き通るような水面がそこら中に広がっている海。それはまるで宝石のように見えた。

皆、その美しい海を見て圧巻している。

そんなことよりもっと驚いたのはここら一帯はが山吹家が所持するプライベートビーチということ。本当に、この金持ちキャラどうにかならないですか?

そんなことを思いつつも、サラサラと肌触りがいい砂浜があることに感謝している。主に寝心地的な意味で。


「それじゃあー!ストレッチからいきますよー!」

「「「はーい!!」」」


海を見てテンションが上がったのか、早速茜による準備体操が行われていた。

俺と山吹先輩は、ビーチパラソルの下でその光景を微笑ましく見つめている。

俺達は、はしゃぎまわる美少女たちを横目にティータイムをとっている。俺が淹れた紅茶を美味いと言いながら山吹先輩が飲んでくれる。山吹先輩が始めて俺に優しくした瞬間だった。


「皐月ちゃん、いきますよー!!」

「おっしゃ!来なさい!」

「そーれ!!」

「はい!」


後輩sは仲睦まじくビーチバレーを楽しんでいた。

あぁ……心が浄化されるなぁ……尊い……。

おかげで俺の酔はだいぶ回復していた。すっかり良くなった。とは言えないが、それなりに良くはなっている。


「茜ちゃん。私あんまり泳ぐの得意じゃないから教えてくれない?」

「うん!いいよ!」

「ありがとう!」


楓は茜の特別lessonを受けていた。死なないといいな、体が持つか不安になってきた。え?本当に大丈夫?

……まぁ、茜も手加減はしてくれるだろう。俺の時はしてくれないけど。してくれないけど!!


ふと、山吹先輩の方を見ると、山吹先輩は皆を見つめて微笑んでいた。そんな姿はさっきの悪魔のような姿とは裏腹にとても幻想的に見える。


「………何かね?そんなに見つめて」

「あ、いえ。……何か、意外だなぁって思って」

「何がだ?」

「こういう光景を楽しんでるのがですよ。本とか読んでいるかと思いました」

「はぁ……まぁ、たしかに。私はそれがお似合いかもしれないな。想像とは違うが」

「というと?」

「部員が楽しんでるのが嬉しいんだ。今まで味わったことの無い感情が出ている」

「味わったことの無い感情ですか………」


それを聞いてふと思い出す。

山吹先輩が一人だったことを。

俺が文化研究部に入部する前、きっと山吹先輩は一人だったのだろう。俺が来て、茜や楓が来てから部は少しずつ変わっているが。

そんな変化は嫌いではない。俺らしくない。と思うが、俺が嫌いなのは無意味な変化であって意味のある変化は嫌いではない。


「やっはり、山吹先輩がそんなことを思うって意外ですわ」

「……そうなのだろうか。まぁ、私は君が思ってるほどできた人間では無いんだ」

「まぁ………この世に完璧な人間なんて居ませんよ。山吹先輩にも弱点はあります」

「ほぉ?何かね?その弱点とは」


山吹先輩がニヤリと笑う。自覚が無いのか、自覚している上で笑っているのか、俺にはわからない。


牡丹たちの所へ行こうと思い、立ち上がる。


「泳げない事ですかね」

「お前!?いつそれを!?………な、何でもないよ」

「山吹先輩?せっかく海に来たんですから、泳がないともったいないですよ?」

「いや……今日は遠慮しておくよ………」

「はい。わかりました」


意地悪そうに笑う。

山吹先輩が恥ずかしさで赤面するなど、初めて見たのではないだろうか。今までの赤面とは違う、可愛さがそこにあった。

体調もだいぶ治ってきたので、いそいそと皆のいる所へと向かう。


「正木さん!もう大丈夫なんですか?」

「ああ、かなり良くなった。もう遊べるよ」

「じゃあ、正木VS私と牡丹で勝負するわよ!」

「おう。俺に勝とうなど1年早いわ」

「意外と現実的な年数なんですね……」


俺VS後輩sのビーチバレー勝負が始まろうとしていた。

ルールは山吹先輩に反則とみなされなければ何をしてもよい。負けた方は罰ゲームである。勝てる気がしない。

絶対反則もセーフにしちゃうだろ、あの人。


「じゃあ、正木さんが負けたら明日の買い物の荷物持ちになってもらいますよ!」

「待て、牡丹。それは決定事項だから他にするんだ」

「えー?じゃあ………今日一日メイド姿で過ごすで!」

「はは!良いわねそれ!可愛くしてあげるわ」

「ようし、じゃあ俺が勝ったらお前ら二人とも猫耳と犬耳な!服は私服でいいけど」


ついに始まってしまったビーチバレー勝負。

負けた方が辱めを受けるのは確定。後は勝敗を決定するだけだ。

反則にされないように、普通にサーブして普通に遊ぶ。

運動では茜の地獄の特訓を受けている俺の方が圧倒的に有利。点差はどんどん開いていく。


「よし、これで決めてやる」

「大変です!皐月ちゃん!負けそうですよ!!」

「ど、動じないで牡丹!一旦もちつきましょう」

「お前が落ち着け……っと!」


普通にサーブをする。

何故かもちをつこうとしている皐月を狙って打ったから、あたふたして簡単にボールを落としてしまう。


「よし!俺の勝ちだな」

「ぐぬぬ……だ、だけど!今猫耳とか持っていないなら、逃げるが勝ちです!皐月ちゃん、逃げましょう!」

「ええ、どうせ別荘にあるだろうから、全力で逃げるわよ!」

「残念ながらあるんだよなぁ……こんなこともあろうかと」

「「ひえぇぇぇ!!な、何で!?」」


次は、罰ゲームから逃げる後輩sを捕まえることになった。

猫耳と犬耳を握りしめ、牡丹と皐月を追いかける。

運動で俺に勝てるのは茜と翌檜だけだ!残念!あっさり捕まえました!

猫耳&犬耳を付けた水着美少女………うーん……何ていうか、これ有料ですか?


癒やされていると、グゥと後輩sの腹がなる。

太陽はもうてっぺんに来ており、予想するにだいたい12時だろう。


「そろそろご飯食べるか?」

「はい!お腹ペコペコです!」

「茜たちは呼ばなくていいの?」

「いや、今呼ぶよ……茜!楓!昼にするぞ!」

「「はーい」」


皆で山吹先輩が待つパラソルへと行く。

話が聞こえていたのか、山吹先輩はもう昼食の準備を終えており、皆が来るのを待っていたという雰囲気だ。


「さぁ、しっかり食べるがいい」

「何で山吹先輩が誇らしそうな顔してんですかね」

「気にするな」

「はい……」


怖かった!凄い怖かった!何か恐怖すら生ぬるい恐怖を植え付けられた気がする。

しかも、俺にしか向けられていない威嚇のようなものだから余計たちが悪い。


皆、大きく広げられた弁当を突っついている。

茜の事を考えていっぱい作ってきてよかった。さっきから物凄いスピードで食べている。

海で遊んでたからか、皆いつもより見てわかるほど多く食べている。少食の後輩sもたくさん食べてくれた。

うれしい。正木嬉しいよ。


「やっぱり正木さんは料理うまいですね」

「んー……て言っても、誰でも作れるようなやつだけどな」

「それでこのクオリティは凄いわ……どんな風に料理してるのか今日見させてもらうわ」

「ああ、そのまま手伝ってくれ」

「ええ、私の料理スキル。見せてあげるわ」


フフンと皐月が胸を張る。その姿だと強調された胸が本当に主張激しいからやめてほしい。ご勘弁。

………冷静に考えれば、今の俺の状況って他の男子達からしたら至高の空間じゃないのか?

まぁ、この美少女達が個性的過ぎなければもっと最高なのだろうけど。


……まぁ、彼女達はこれでいいのだろう。この、一般的に見て『おかしい』と言われるような娘たちはこの性格が一番いい。

俺のお気に入りでもあるし。

『個性』はその人の『特徴』だ。そしてそれが『良さ』でもある。

なら、個性全開の彼女達は『良さ』の塊なのだろう。

そして、今の俺の状況は最高、至福、至高の状況である。



冷静だけど焦れば可愛い山吹先輩だって。

元気で健康的な兵器の茜だって。

ほんわかしてるのに物騒な事ばっかり言う楓だって。

気遣いができる天使の様な牡丹だって。

素直になれなくて毒舌になる皐月だって。

隠しきれていない本性を隠そうとしている俺だって。



『個性』の集合体。つまり、『良さ』の集合体なのだろう。

だから、今の状況は幸せと言える。

今しか体験できない。取り返しのつかないこの空間が、

変わらず、このままでいてくれるのが、何よりよ『幸せ』だ。

きっと……きっと先程の別荘で聞こえた漣は………

『幸せ』を運んできて、そのまま漂流させていったのだろう。

いつ流されるかわからない危なげな漂流物を。

後書きstory

『楓の本当の気持ち』

私、蕁麻楓は、たった今茜ちゃんの特別lessonを受けている。

あまり泳ぐのが上手では無い私に、茜ちゃんは優しく教えてくれる。

私の手を引っ張り、せっせと歩いてくれる。

嬉しい。その一言に尽きる。

笑いながら手を引っ張る茜ちゃん。

楽しそうにビーチバレーをしている正木と牡丹ちゃんたち。

泳げないからパラソルの下で微笑んでいる梓ちゃん。

泳げないのを知ってるのは正木だけじゃないんだぞ?

昔からそう。

梓ちゃんは完璧で、完全で、完成された人間だと思うのに。

いつもどこかで抜けている。

それは天然とかウッカリとかの域ではない。

神から与えられた、どうしようもない穴。

………その穴を埋めるのは、もう私の役目ではない。彼の役目だ。

世代交代は少し寂しい。そんな感情が浮かび上がってくる。

そして同時に。

子を見送る母のような感情が浮かぶ。

けど、私は負けないよ。

私だって、参加者なんだから。

牡丹ちゃんや皐月ちゃん。茜ちゃんも。

けど、梓ちゃんはまだ気づいていない。

本当の、本物の気持ちに。

ハリボテの気持ちを作って理解しようとしている。理解させようとしている。

なら、手助けしたって良いのだろう。

まぁ、負けないけど。


萩原慎二です。

合宿はちなみに、3泊4日です。

その四日間を、小刻みに書いていこうと思っております。

楽しみにしてくれれば嬉しいです。

誤字脱字、感想等も受け付けております。

ブックマークなどしてくれると嬉しいです。

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