水着と愛と探索者
前回のあらすじ川柳
今年もね
波乱の夏が
やって来た
夏休みが始まった一日目
俺、石蕗正木は布団の中でうたた寝していた。
あぁ………布団が温くて気持ちがいい………。
こんな俺を優しく包み込んでくれる。そんな布団が大好きで仕方がない。
何か大事な事を忘れている気がするけど、まぁ良いだろう。
何分かウトウトしていると、枕元のスマホがブルルと鳴る。
なんだょ………俺の眠りを妨げるやつは誰だぁ………。
『石蕗よ、女子5人を待たせるとはいい度胸だな。後輩たちがどうなってもいいならそのまま寝てるがいい』
あ……完全に忘れていた。
今日は文化研究部合宿の為の買い出しの日だったな。
というか後輩たちどんなことになってんの?
それよりも今の俺の状況をわかっている山吹先輩が怖いのでさっさと準備をしよう。
「正木さん、遅いですね………」
「女5人を待たせるなんて最低ね………」
「どうせ寝てるよ………幼馴染のカンってやつさ」
その頃、文化研究部の女子5人は駅前の公園で神妙な雰囲気になっていた。
せっかくのお出かけなのに、肝心の俺が居ないから。
まぁ、すぐそこに居るんですけどね。
何か出づらくてずっとここに居た。
しかし、このままここに居ても埓があかないので出ることにした。
「石蕗、速くそこから出てきて遅れた言い訳を言え」
「だから何で俺の状況を知ってるんですか?怖いですよ……」
「え!?正木さんいつから居たんですか?」
「あんた!遅れてんだから速く来なさいよ!」
「す、すまん………」
最近、本当に山吹先輩の事が怖い。
俺の状況が常に監視されている感じがして気味が悪い。
でも、今回の件は俺が悪いので何も反論ができない。
「すみません、寝過ごしました………」
「まぁ、それは予想していたから別にいい。何か罰を与えるから」
「サラッと言いましたけど、あんまり無理なのはやめてくださいね」
「じゃあ死刑にしよう!」
「楓さん、怖いですよ………」
楓のことは置いといて、一体どんな罰を受けるのだろう。
もともとの集合時間は午前10時。それに対して俺がついた時間は10時半。最低30分は遅れていることになる。
「まぁ、荷物持ちくらいでいいんじゃない?」
「ああ、それが妥当だろう」
「あ、結構甘めな罰で良かった……」
「もっときつくしてもいいんだぞ?」
「勘弁してください……」
俺の大罪に反して女子達は意外と優しかった。山吹先輩以外。
後輩sや楓もしっかりと了承するあたり、この罰で決定で良いだろう。余計なことを言えば罰が増えそうなのでやめておく。
「今更だけど、万が一男が俺だけだったとして、皆の親は許してくれんのか?」
「私は今更だめって言われないよ?」
「私の家も良いだろうと言っていたぞ?」
「家は心配はしてたけど正木なら大丈夫だって」
「私は……前の事もあって正木さん信頼されてますので……」
「家も別に問題無いって」
親御さんから信頼されてるのは嬉しいが、できれば否定してじゃあ翌檜も探そう。となればよかったのに。
でもよくよく考えて見つかったとしてもどうせ断るだろうから結果オーライか。
牡丹の前の事とは、多分牡丹と皐月の喧嘩のときに家へ送ったことだろう。あの時は何とか弁明して何も無かったことを証明できてよかった。
「じゃあ、時間も勿体ないから行くぞ」
「今日はどんな感じで買い物するんですか?」
「全員水着の新調と、その他で宿泊グッズを買うとのことだ」
「そうですか………まぁ、どう回るかはお任せするんで、自由にしてください」
「当たり前だ。君に決定権など無い」
「そうですか………」
まぁ、遅れて来た俺に決定権が無いのは当たり前。あってほしいのは人権だけだ。
それが無かったら本気で泣くわ。
この人だったら平気で無くしてきそうだから本気で恐怖を覚えている。
「まぁ、とりあえず行きましょうか」
「ああ、そうだな。時間が勿体ない」
「正木〜私の水着選んでよ〜」
「断る。なぜなら俺はその場に居ないからな」
「強制連行だから覚悟しろよ?石蕗」
「ですよね………」
そうして俺達はお馴染みショッピングモールへとついた。
かなりの広さのここは、丁度夏だからか海についての広告などがたくさんあった。
その中に一つ、気になる広告があった。
「あ、山吹先輩。あの広告………」
「ん?何だ?………おお、ここにまで広告が貼ってあるのか」
「あ!私達が行くお祭りの広告ですね!」
「ここまで貼ってるとは………そこまで人気なんですかね?」
「まぁ、旅行雑誌に載るくらいだからなぁ」
「マジすか」
俺達が見つめる先には俺達が合宿の3日目に行くお祭りのポスターがあった。
ここからはかなり離れたところでのお祭りなのに、ここまでポスターを貼るとはかなり有名な祭りなのだろう。
そんなお祭りはだいたい人が多そうだから俺は別荘で待機していたいのだが、きっと強制連行されてしまうだろう。
そんなこんなで水着売り場についた女子一行は早速水着を選んでいた。
真剣な顔(?)で話しながら選んでいるので、俺はそこらへんのベンチに腰を掛けていた。
しかし………女性物の水着売り場に女子5人を連れているのは気まずい。さっきから周りの視線が痛すぎる。
そこらへんの奥様グループはヒソヒソと話をしていてとても居心地が悪い。
「石蕗、皆選び終わったから試着室の前で待っててくれ。お前はコメントを出すのが役割だ」
「はい、なるべく早めでお願いします」
そう言うと皆試着室に入っていき、それぞれが着換え始めていた。
幸いにこのショッピングモールの試着室はかなりの数があるので、効率よく終わることが期待できる。
「それじゃあ石蕗、私から行くぞ」
「はい」
そう言うと、山吹先輩の試着室のカーテンが開かれる。
そこには黒色の水着にパレオを巻いた山吹先輩が居た。
なんと言うか、その大人っぽい雰囲気に魅了されるほど美しい姿に思わず目をそらしてしまう。
「は、恥ずかしがるな!私まで恥ずかしくなってくる………」
「す、すみません………」
そう言って恥ずかしがる山吹先輩は大人っぽい見た目に反して可愛い。これがギャップ萌だろうか………。
「正木〜次は私行くよ!」
「おう、わかった」
そして、茜の試着室のカーテンが開かれる。
そこにはごく普通のビキニを着た茜が居た。
うん……見慣れた姿で安心した。
この時期になると茜はいつもこのような格好で海に連れ出すので、このような水着姿は見慣れてしまった。
「いつも通りだな」
「でしょ?で、可愛いの?」
「うん。いいんじゃないか?」
「うん!ありがとう!」
そう言って茜はニッコリと笑う。
シンプル・イズ・ベストなその格好は冒険しないので安定した可愛さを出している。
「じゃあ正木。次は私がいくよ〜」
「おう」
そして次は楓の試着室のカーテンが開かれる。
そこにはこれまたごく普通のビキニをつけた楓が居る。
しかし、油断していた。こいつの体型はあまり直視できない体だったんだ。
それに恥ずかしくなって少し目をそらしてしまう。
「お、おう。いいんじゃないか?」
「ふふ。ありがと。じゃあ、これにしようかな?」
「いいんじゃないか?」
楓の姿はどことは言わないが大きくて、あまり男が見ていい代物ではない。
周囲の女性は、羨ましそうな目で楓を見ている。
周りの男性は、死ねよという目で俺を見ている。
この格差は酷い。
「じ、じゃあ………正木さん。私行きますね………」
「お、おう」
声からでもわかるような恥ずかしそうな雰囲気は、俺の精神を蝕んでいく。
こんなにオドオドして………可愛いかよ………。
おっと。また父性が。
そして牡丹の試着室のカーテンが開かれる。
そこにはワイヤービキニといったかな?をつけた牡丹が居た。
少し子供っぽい配色のビキニは、とても牡丹に似合っていて犯罪級に可愛い。
「うん。いいと思うぞ?可愛い」
「あ!ありがとうございます!………こんな水着着たこと無かったので不安だったんですよ………」
「今までどんなの着てたんだよ」
「学校指定のやつです」
あ、そっちも見てみたいですね。
学校指定の水着を着た牡丹………想像しただけでも鼻血が出そうになるな。
まぁ、それは置いといて。
皐月の着替えが遅すぎる。
まぁ、どうせ着替えは終わっているけど出るに出られないとかだろう。
少し待ってやるか。
そう思った瞬間。
────ガラッ!!
急に皐月の試着室のカーテンが開かれる。
そこには同じく無難なビキニを着た皐月が居た。
何と、以前牡丹との勝負の時に着たビキニを着ていた。
「………何か言いなさいよ。エロ石蕗」
「あれ、何かデジャヴュだな」
その勝負の時に行っていた言葉をまんま言っていた。
何故この水着を選んだのかは知らないが、可愛いのでどうでもいい。
「うん………いいと思うぞ」
「そ、そう。ありがとう………」
そう言って皐月はさっさと試着室に戻り、すぐに着替えてしまった。
しかし………本当に何であの水着にしたのかがわからない。
まぁ、それは置いといて。これで皆選び終わった。
これで今日の本題は終えたが、これからはどうするのだろうか。
「山吹先輩。今日は後どうするんですか?」
「この後は昼ご飯をまず食べて。その後で宿泊グッズとかを見るつもりだ」
「そっすか。わかりました」
そして、昼食を食べて皆で宿泊グッズを漁りに行くのだが、はしゃいだ後輩sや茜のせいで俺が空気になったのは言うまでもない。
「ふう……今日は疲れた………」
「お疲れ様です。大丈夫ですか?」
「ああ、すまない。大丈夫だ」
俺達ははしゃいだ反動で疲れ果てていた。
せっかく明日合宿なのに、こんなに疲れていて大丈夫だろうか………。
まぁ、明日のことは明日しかわからないから、今は気にしないでおこう。
「じゃあ、今日はここで解散にしよう。皆、明日は遅れるな。特に石蕗」
「はい。わかりましたよ」
「それじゃあ、また明日」
そう山吹先輩が言うと、皆も別れを告げてそれぞれが帰路についた。
明日は合宿。今から少し楽しみだな。
男子が一人というのに少し不安を感じるが、どうにかなるだろう。
ん?………一人?………。
「あっ!」
翌檜を探すの忘れてた!
そうして。文化研究部の合宿と言うなの旅行が始まることとなった。
もう不安は気にしないことにしよう………。
まいど、萩原慎二です!
今回で合宿の買い出しが終わり、明日から合宿回です。
それに伴って、後書きでで『短めのその後』と言うその名の通り短めなストーリーを書こうと思っております。
合宿の期間は次回予告川柳はお休みです。
楽しみにしてくれれば嬉しいです!
誤字脱字、感想等も受け付けております。
ブックマークなどしてくれると嬉しいです!
次回予告川柳(次回から暫く?休止)
合宿は
海と波乱を
呼んでくる(次回!短編ストーリー開始!)




