夏は熱狂と共にやってくる
前回のあらすじ川柳
テスト来て
後輩達の
頭知る(衝撃)
定期テストも先週に終わり、今日の残りは終業式のみ。
「え〜…皆さん。夏休みは有意義に〜」
というか終業式の最中である。
皆、長ったるい校長のお話を必死に耐えている。
本当に………何で校長のお話ってこんなに長くなるの?
「ふあぁ………」
思わず欠伸をしてしまう。
俺も校長の挨拶を暇と思う中の一人で、さっきから心の中で速く終わらないかと願っている。
終われぇ………終われぇ………。
「え〜これで、終業式を終了いたします」
俺の願いが通じたのか、終業式は速く終わった。
この後は皆、明日からの夏休みを楽しみに。もしくは今からもう夏休み気分で下校する。
しかし、俺は文化研究部へと行かなくてはならない。
なんと、今年の文化研究部では合宿がおこなられることとなった。
合宿と言うなの旅行である。
宿泊場所は山吹先輩の別荘。この世に本当に別荘を持っている人が居たことに驚きました。
そして今日は、それについての諸連絡。そして前日の買い出しについての説明が行われる。
楽しみだなぁ………。
我が高校は結構前から夏休みの課題を出されるため、俺は速攻全て終わらせておいた。どんだけ楽しみなんだよ。
「こんにちは〜」
ばたん!と文化研究部の扉を開く。
元気一杯(?)な挨拶は虚無もとい山吹先輩が無視し、特に意味のないものとなった。
「おい、石蕗。少しは静かに入ったらどうだ」
「すみません………っと、他の皆は?……と言う前に、茜と楓は少し遅れるそうです」
「そうか、鬼灯と七竃も遅れるそうだ。少し待つか」
「はい」
そうして俺と山吹先輩は読書を始める。
そんな光景は、まるで文化研究部の初期の頃のようだ。
俺と山吹先輩だけの部活。ただ本を読んでいるだけの部活動。
それが少し昔のお話。
今はもう賑やかになって………嬉しくもあるし悲しくもある。
静かな環境は好きだが、この人数で無言なのも逆に耐えられない。
だから、これでいい。何も変わらなくていい。
永遠は無理でも、俺が卒業するまで。このままで………。
「すみません!遅れました」
「ごめんなさい!少し遅れたわ!」
「おう。皐月に牡丹。こんにちは」
「ええ、こんにちは」
「律儀に挨拶なんてあなたらしく無いわね。こんにちは」
「皐月は一言余計なんだよ」
牡丹と皐月は今日も一緒だ。
この小さな後輩'sはひょんなことから文化研究部に入ることになったのだが、それは後のお話。
テストが終わってから全生徒夏服へ変わったのだが、二人の夏服は何か犯罪的なので父性が爆発しないように気をつけている。
「茜さんと楓さんはどうかしたのですか?」
「確か………茜が小田原に呼び出されて、楓がそれに付添いに行った」
「え?それって大丈夫なの?」
「さあ……両方とも良いって言ったからとりあえずOKだしたけど、だめだったかな?」
「何だその曖昧は……」
本当は、小田原に呼び出されるのを全力で止めていた。
しかし、小田原の真面目な眼差しと茜たちの決心に言い包められて俺は頷くことしかできなかった。
干渉を禁じていた小田原が、何をするのかは俺には予想できない。だから待つしかない。
茜たちの到着を待って約十数分。
「たっだいまー!!」
「茜ちゃん、そこはこんにちわですよ。皆、こんにちわです」
「茜さん!楓さん!おかえ……こんにちは!」
「おう!ただいま!牡丹」
茜と楓は元気な声を上げて帰ってきた。
どうやら俺の心配しすぎだったようだ。その元気な姿を見れば何ともなかったことがわかる。
「小田原とどんな話したんだ?」
「あ?えーっとね………謝られて、謝罪された」
「それ両方同じ意味だぞ」
「と、とにかく!謝られたの!」
「お、おう。そうか」
こいつ……絶対に誤魔化したな。
でも、これ以上詮索してはいけないという雰囲気が流れてるのでこれ以上は聞かない。
きっとこれは乙女の秘密(笑)だ。(笑)は茜だからつけた。
「よし、全員揃ったな。それでは、合宿の買い出しと当日の連絡をする」
そう言って山吹先輩はどこから持ってきたのかわからないホワイトボードを出す。
え?本当にそれどこにあったの?さっきお茶淹れるためにキッチン使ったけどそんなの無かったよ?
まぁ……そんなオカルトじみたことはおいといて。
「て言っても、どんなこと連絡するんですか?」
「まず、明日は買い出しへと行き、明後日に出発だ。合宿は全日通して海で泳げる。後、最終日の前の日は近くの神社で夏祭りがあるから、そこにも行こうと思っている」
「合宿って何でしたっけ?」
「合宿に見せかけた旅行だ」
「もうはっきり言っちゃったじゃないですか……」
どうやらもう隠す気は無いようだ。
合宿と言っても特に何をすると言うわけではない。文化研究部とは何か。もはや哲学の域である。
そんな事は置いといて、海………だと………?
「全力で翌檜を探すんで延期にできませんですかね?」
「君のそこでのヘタレは何なんだ?まぁ、明後日の出発までに見つけられるなら良いが」
「絶対に見つけてやる………」
「でも………私も正木さんに水着を見られるのは恥ずかしいです………」
「私は何かもう慣れたよ?」
どんなにヘタレと言われたっていい、俺は全力で翌檜を探して見せる。
だって水着とか恥ずかしいし。中学生みたいなこと言ってるけど、あれ着てて恥ずかしくないのかな?ほぼ布じゃん。
茜のは小学生の頃から海水浴に強制連行されてるときに何度も見てるから慣れた。慣れって怖いな。
話を戻そう。後輩'sの水着が見れるなら別に……いや、そんな邪な考えを持っちゃいけない。
その瞬間、俺の頭には『第一回先輩達に可愛いと多く言われた方の勝ち選手権』の皐月の格好が浮かんだ。
ああ!皐月の水着見てるからもう見なくていいじゃん!けど牡丹の水着見てないから行きますね。
「まぁ、石蕗のヘタレはいいとして。明日の買い出しでは買いたい人は水着を、他には持ってきたいものを買えばいい。ジャンプー等や食べ物はあるから無理に持ってこなくてもいいぞ」
「当日の海は置いといて、夏祭りってどんなのですか?」
「近くの大きな神社で行われる中規模の祭りだ。有名ではないが観光客が年々結構な数訪れる祭りだな」
「そう聞くと楽しそうですね♪射的やりたいです♪」
「定員撃つなよ?」
「うふふふふ………」
「何か言えよ」
実際、楓の射的は怖い。
去年の地元行事の七夕祭りの射的で至近距離で撃たれた記憶がある。ついでに定員も撃たれてた。
あれ結構痛いんだよなぁ………まぁ、今はいいや。
しかし、流石は山吹家の所持する別荘だな。先程の言葉から風呂や食料の保存機能をしっかりと完備している事がわかる。
聞いた話だと風呂はかなり大きくて各部屋やリビング、キッチンもかなり広いという。
去年、山吹先輩と茜と楓で皆で行ったらしい。俺はハブられていた。悲しくなんか無い。本当だよ?
確かその時は翌檜とずっと麻雀やってた記憶がある。ボッコボコにした記憶も。
「では、明日買い出しに行って明後日から合宿だから、皆準備を忘れないように」
「あと、買い出しの時間は厳守するように」
「「「「はーい!!」」」」
「石蕗はちゃんと来るように」
「いや、俺は翌檜探すんで」
「来るように」
「いや、だから」
「来るように」
「はい………」
俺の男単独合宿が決まった瞬間である。
現実は非常だ。しかし、ふと外を見ると人の大群が校門を抜ける姿が見える。
きっと彼らはこれからの予定を考え、一夏を最高に過ごそうとするのだろう。
たったこの一瞬を輝かせて生きるために。
だったら、俺は山吹先輩の命令を無視してバックレてもいいのだろうか………。
うん。殺されそうだからやめよう。
萩原慎二です!
今回から新章『夏の花咲く恋日和』が始まります。
具体的には夏休み部分です。
そして文化研究部では初めての合宿が始まります。
海………水着………夏祭り………レパートリーの少なさに泣きました。
まぁ、ぼちぼちと頑張って行くのでこれからもよろしくお願いします!
誤字脱字、感想等も受け付けております。
ブックマークなどしてくれると嬉しいです!
次回予告川柳
買い出しは
正木の精神
削り込む(後輩's以外)




