おまけ① 松尾の休日
こちらは本編の少し前のエピソードだと思ってください。
アラームの音で目が覚める。スマホを手に取り、アラームを止め時間を見ると朝の10時。
「やべっ!仕事!あっ、今日は休みか…よかった〜…」
胸をなでおろし、さぁどうしようかと考えるが、とりあえず顔を洗い、歯を磨き、朝食兼昼飯のカップラーメンを作って食べる。カップラーメンを食べながら、今日は何しようと考え始めた。
(久々の休日でやりたいことが多すぎて逆に何やるか迷うな…)
カップラーメンをズルズルとすする。やっぱり醤油味はうめぇなぁと思いながらカレンダーをちらりと見ると、3日後に赤い丸がついていた。
(何かあったか…?)
うーんと考えているとぱっと思い出す。そういえば3日後は最近できた彼女の誕生日だ。最近すぎてすっかり忘れていた。カレンダーにはなまるをつけた過去の自分を褒めてやりたい。きっとカレンダーに花丸がなければ今頃誕生日なぞ忘れてゲームを始めていた。
(そうだな、今日は彼女の誕生日プレゼントを買いに行こう。)
ずるっと最後の麺を吸い、着る服を探し始めた。服を漁り始めて気がついた。そういえば自分、仕事でスーツを着ているから私服を全くと言っていいほど持っていない。
(どうしよう…とりあえず、妹が誕生日のプレゼントにくれたお茶漬けのTシャツに最近買ったジーパンでいいか…)
誕生日プレゼントを買いに行くだけだし、と自分を納得させ服を着替え、唯一持っている山吹色のくるぶしソックスを履いてお気に入りの青いスニーカーを履き、黒いボディバックに財布と携帯を入れ、近くのショッピングモールに出かけた。
ショッピングモールに来たはいいものの正直何を買えばいいのか分からない。
(女性って何あげたら喜ぶんだ!?母さんは毎年花あげてたし、妹は図々しく欲しい物リストを渡してきてここから1個買ってきて〜って言われてたから何あげればいいか分からない…正直、妹のあのやり方って頭良かったんだな…どうしよう…)
うーむと悩みながらショッピングモール内をフラフラする。コスメショップやバッグが置いてあるお店、服屋に靴屋…様々な種類のショップを店の前から見たが正直何をあげればいいか分からない。携帯で『女性 誕生日 プレゼント オススメ』と検索をかける。
(コスメは人によってこだわりがあるから人気は低め…花は結構上だけど人による…1位は名前入りのギフト!?えぇ…ここそんなのあるの…?)
すぐに近くのマップを確認する。名前とどんなジャンルのお店かが書かれているだけだった。とりあえず、名前入り商品のありそうなお店をメモする。候補は3つ。ボールペン専門店、雑貨屋、タオル屋。
「よし、とりあえずボールペン専門店に行こう。」
マップで場所を確認し、ボールペン専門店に向かった。
ボールペン専門店につくと様々なボールペンが並べられている。中に入ってみると、見た目重視の物と使いやすさ重視の物と分けられていた。近くにいた店員さんに話しかける。
「あの、ここってボールペンに名前入れたりできるんですか?」
「あーすみません。今ボールペンに名前を入れる機械が壊れておりまして…」
「あーそうなんですね。すみません、ありがとうございました。」
「すみません…」
店員さんに礼を言ってボールペン専門店を出る。機械が壊れるなんて…つくづく不運だと思う。気を落としてはいられない。次は雑貨屋に足を伸ばした。
雑貨屋につくと、色とりどりの可愛らしい雑貨が並べられている。彼女に似合いそうな可愛らしい雑貨をチラチラとみながら店員さんに話しかける。
「あの、ここって雑貨に名前とか入れられますか?」
「すみません、当店ではそのようなサービスはやっておりません…」
「あぁ…そうなんですか、すみませんありがとうございました。」
店員さんに礼を言って、お店を出る。やはり名前入れのサービスはあまりないのかもしれない。最後のタオル屋に不安と希望を感じながら足を向かせた。
タオル屋につくと1番に目に入ったのは白だった。真っ白のタオルが大量に並べられている。よく見ると全て少しずつ違っているようで触ってみると全然感触が違う。
「おぉ…すごい…」
「いらっしゃいませ。どんなものをお探しですか?」
タオルを触っていると店員さんに声をかけられる。タオルの触り心地で忘れていたが、店員さんに名前入れをできるか聞かなければいけない。
「あの、ここって名前とか入れられますか?」
「入れられますよ。」
「あぁ、よかった。」
「名前入りの商品をつくる場合はこちらでお話を聞かせていただきます。こちらへどうぞ。」
そう言われ、店員さんについて行くと少し奥にカウンター席があった。店員さんはカウンター内に入り、自分はカウンターの外にある席に座る。
「では、まず初めにサイズはどうされますか?」
そう言うと店員さんはサイズのかかれた紙を取り出す。紙には『ハンカチサイズ・フェイスタオルサイズ・バスタオルサイズ』と書かれ、その文字の下にはそれに該当したサイズの表記がされている。
「自分用でしたらハンカチサイズがオススメです。プレゼントでしたら、フェイスタオルなどがオススメですね。差し上げる相手にもよりますが、スポーツをする方でしたらバスタオルサイズもオススメですよ。」
店員さんはニコニコと営業スマイルをしながら、丁寧に説明してくれる。
(確か、彼女は夏場はよくフェイスタオルを使っていると話してたな…)
「フェイスタオルでお願いします。」
「かしこまりました。では、柄や色はどうしますか?」
「なんでもいいんですか?」
「はい。ワンポイントも出来ますし、無地もできますよ。色はお好きなのをこちらからお選びください。」
そう言われ、カウンターには色のサンプルが何色か出る。
(ピンクが好きって言ってたから色はこのチェリーピンクにしよう。確か…みさきの誕生日は11月20日で誕生日花は月下美人…)
「色はこのチェリーピンクにしてください。ワンポイントで月下美人にしてください。」
「かしこまりました。タオルの素材はどうしますか?パイルは吸水性が極めて高いです。パイル最もポピュラーな素材です。」
そう言って店員さんはパイルのタオルを出す。確かに、よく見るタイプのタオルだ。触り心地は普通。
「ガーゼはサラリとした優しい肌触りが特徴的で、使う度、洗う度に柔らかくなっていき愛着が湧く素材です。」
次はガーゼのタオルを出してくる。触ってみるととても触り心地がいい。肌の弱い彼女にはいいかもしれない。
「ワッフルは優しい肌触りでありながら表面の凹凸感から弾力の感じられる製品です。通気性が高いためすぐ乾いてくれます。」
そう言ってワッフルのタオルを出してくれる。触るとガーゼにも負けない触り心地。これはワッフル一択かもしれない。
「えっと、ワッフルでお願いします。」
「かしこまりました。入れる名前とラッピングは何にしますか?」
カウンター下から黒と青と白の袋が出てくる。
「名前はひらがなでみさきでお願いします。ラッピングは白い袋でお願いします。」
「かしこまりました。刺繍糸は何色にしますか?」
何色か刺繍糸が出てくる。
「じゃあ、この薄い黄色でお願いします。」
「かしこまりました。では、お会計はこちらになります。」
「はい。」
お会計を済ませる。店員さんに少々お待ちください。と言われてそのまま待つ。
30分ほど待っていると、奥から白い袋を持った店員さんが出てくる。
「こちらが商品になります。」
「ありがとうございます。」
そう言って店員さんから袋を受け取ってお店をあとにした。
帰る途中、近所の公園にいる猫を軽く撫でてから帰ってきた。はぁ、疲れた〜と定位置に腰かける。机の上に彼女への誕生日プレゼントを置いて、渡した時どんな反応をするか想像するだけで楽しい。
「喜んでくれるかな〜」




