境界線2
翌日――。
課題の答えを纏めたレポートを提出した私は、これで一件落着と思っていたのですが……。
講義の終わりに、一人、若狭教授から呼び出された私は、なんとそこで、新たな問題を出されてしまったのです。
部室に行き、困惑しながらそのことを話すと、前崎さんはいつものように文庫本に目を落としながら、鼻で笑いました。
「特別問題? あの教授も暇人だな」
私からすると、前崎さんにも似たような印象を受けているのですが、そのことは口にはしませんでした。
「しかしキミだけ追加とは、もしかして、気に入られたんじゃないのか?」
ちゃかすように言う前崎さんに対し、私は否定の念を込めて手を振りました。
「いやいや、仮にそうだとしたら、それは前崎さんですよ」
「……俺?」
意外だったのか、前崎さんはこちらを向くと、怪訝そうに私を見ました。
「実は、この解答に至った経緯を訊ねられたときに、前崎さんからアドバイスを貰った事を話したんです。そしたら、若狭教授はすごく納得したみたいに頷いて……。で、その後に新しい課題を出されたんです」
若狭教授も前崎さんのことを知っていたようでした。もしかしたら一目置いているのかもしれません。
「だからこれは、前崎さんに対するものだと思うんですよ」
「……つまり、挑戦状、ってわけか……。それで、今度はどんな問題なんだ?」
前崎さんは、めったに手放さない文庫本を閉じ、珍しくやる気になったようでした――。




