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黎明の総力戦



「器だと? 寝言は大概にしろ」  


俺は一歩前に出た。大蛇を倒したことで得た1,250万もの莫大な保留ポイント。俺はそれを躊躇なく、新たな仮想武具へと注ぎ込む。


「全員、手加減は不要だ。あの白スーツをここで完全に消し去るぞ!」


「「「了解!!」」」


 俺の号令で、黎明の全戦力が一斉に躍動した。


『無駄ですよ。私の空間歪曲は、いかなる物理も魔法も――』


「ごちゃごちゃ煩いわよ、三流のバケモノがッ!」


 咲耶が放った無数の火球が使徒の周囲で歪み、弾かれる。しかし、彼女の狙いは直接攻撃ではなかった。魔法の爆発を利用して周囲のマナの濃度を強制的に乱し、空間の歪みにわずかな「綻び」を生み出すこと。


「そこよッ!」  


椿がその綻びを見逃さず、極限まで圧縮した風の刃を使徒の足元へと撃ち込んだ。  


ギィンッ! と空間が軋む音が鳴り、使徒の姿勢がわずかに崩れる。


「橘! ハク!」


「おおおおおっ!!」


『木端微塵にしてくれるわ!』


 橘のシールドバッシュとハクの渾身の回し蹴りが、空間の歪みごと使徒の障壁を物理的に殴りつける。結衣のバフを受けた二人の攻撃は、ついに不可視の壁に亀裂を走らせた。


『……チッ、野蛮な羽虫どもが』  


使徒が初めて苛立ちの表情を見せ、指を鳴らそうとした瞬間。


「雪乃! チャオ!」


「「ハァァァァッ!!」」


 左右から踏み込んだ双剣と青龍刀が、使徒の両腕を肩口から斬り飛ばした。


『グァッ……!? ば、馬鹿な、この私が、ただの人間どもに……!』


「ただの人間じゃないわ。私たちは、最強のマスターに背中を預けられたギルド『黎明』よ」  雪乃が冷たく言い放つ。


「これで、チェックメイトだ」


 俺は、1,250万ポイントを注ぎ込んだ最強の武具を展開した。  


右腕には『神滅槍』。そして全身には『紅蓮魔鎧』。  二つの仮想武具の同時展開。白虎のコアによって限界を超えた俺の器だけが許される、絶対的な神の暴力。


「消えろ、使徒」


 俺は神滅槍を構え、使徒の胸の中心へと一直線に突進した。  


空間の歪みなど関係ない。熱と質量の暴力が、使徒の張ったすべての防壁を紙屑のように貫通していく。


 ズドガァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!


 槍が使徒の胸を貫き、赤黒い炎が白スーツの男を内側から完全に焼き尽くす。


『ガ、アァァァァァ……ッ! 天谷、湊……! 喜ぶがいい、お前は……我々の……』


 使徒の身体がドロドロと崩れ落ち、やがて光の塵となって空間に溶けていった。  


断末魔の不気味な笑い声を、黒い森の奥へと残して。


 完全に気配が消滅したことを確認し、俺は武装を解除した。


「……終わったな」  


深い溜息と共に、俺たちは西東京の地下迷宮を後にした。

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