遭遇
「あー朝早いよ!学校ってこんなに早かった!?昨日だけだと思ってたよ…。」
向こうじゃ勉強は通信でしかもゆるかったからな…。
「まあ葵は朝弱いしねー。でも家族が起こしてくれるんでしょ?なら僕は安心だよ。向こうじゃ朝は早い日は僕が起こしたんだから。」
「今日も紬が起こしてくれてな、かわいい妹が起こしてくれるってのを差し引いても毎朝大変だよ…。今はまだ紬も楽しそうに来てくれるし懐いてくれてるけどさあ…。反抗期とかが今から怖いんだよ!そんなことになったら俺はもう立ち直れない…。」
紬は昔から俺に懐いてくれてるからな、その反動ですごい反抗期がきたらどうしよう…。
「あ、そうだ私今日少し早くうちに帰らなきゃだから放課後一緒に帰れないんだ。二人とももう道は覚えた?」
舐めやがって…。うちの世良くんは一発ですよ!
「あー実は今日僕も総一郎さんからこっちでの任務の件とかで呼ばれててね。葵…一人で帰れる?僕も雪ちゃんもいないけど…」
こーれは完全に俺のことをなめてるだろ。ここらで一発できるってとこを見せつけないとな!
「「不安だなあ…」」
――
「さて放課後になったわけなんですけどあいつらわざわざタクシー代を置いていきやがった…」
さてここからただ帰宅してもげ芸がないな…
家に帰るくらい子どもだってできるからな!よし!少しここら辺の地理でも覚えるか!
『あー葵よ…。私が言うのもなんだがここはいったん家に帰るべきではないか?一度家まで帰れば私が地理を覚えよう』
あ、そっかミカエルがいるじゃん!
『じゃあ今日はここ周辺の地理を一緒に覚えようぜ!』
『うむ…まあ私がしっかりと帰れるように頑張ろう…』
とりあえず駅の方へでも行こうか!それにしても今日も椿原さんは楽しそうに話しかけてくれたなぁ。まあ嫌な視線も感じたけど!けど今日は間宮さんは何も言ってこなかったし特に蔑むような視線もなかったな。
『あの女もきっと身の程を知ったのではないか?鳳凰のやつが言っていたが日本の陰陽師というのは血統や家柄を重視する思想が普及しているのであろう?そうなれば葵は日本でも最上位の家柄らしいではないか。やはり私の見る目は間違っていなかったな』
『まあ鳳凰のやつは昔から日本の陰陽師を見てるからなあ…。俺はあの血統思想って好きじゃないんだよね。あれって一般家庭からとかハーフとかの優秀な能力を持ったやつとかが冷遇される原因だからねー。それにあいつらからしたら俺は血統も家柄も放棄したやつって感じらしいからね。』
なんか気持ち悪い思想なんだよなあ…。しかも以外に名家や旧名家よりもその下の中堅とかに多い印象あるんだよね。そういうやつらに散々期待されて挙句失望されたからちょっと恨みもあるのかも。
ん?なんか変な気配するな…。
『気づいたか?おそらく妖の類だろう。そこの路地を入ったところでおそらく陰陽師との戦闘が起こっているはずだ。行くか?』
『もちろん。武器とか持ってないからまあ最悪お前の力借りるぞ。あれ?とはいえ俺引退してる身だから戦うのとかはまずいかな?』
どうしようこれで復帰しろとか言われても困るし、そもそも引退してる以上なんか罰せられるか…?
『まあ最悪は戦闘の形跡は私が消そう。それに巻き込まれて仕方なくというていで誤魔化そう』
『まあとりあえず様子見に行くか!』
――
「白程度の下級の妖とはいえこんな駅近くで出てくるとはね…。それに黄級の犬神を持ってなかったら苦戦してたかも…。」
あれは間宮さんか…?あんだけでかい口叩くでけあってそこそこやる感じだな…
『そうか?見るからに下級の妖だったぞ。あのレベル相手なら当然ではないのか?』
『あの犬神はまあそこそこのレベルの式神だったぞ。少なくともうちの学校ならかなり上の方かもな。あ、世良とか雪は別だぜ?』
とはいえまあ無事終わったみたいだからな、帰ろ!
「わん!」
ん?なんだこの犬?かわいいな!撫でていいかな?でも同族のにおいつけて帰るとうちの式神や精霊たち怒るからな… 犬は撫でない方がいいか…
「ねえ…何してるの…・?もしかしてずっと見てた?」
こーれはちょっと予想外だ!まさか見つかるとはな… しっかり隠れていたはずなのに…
『匂いまでは気が回っていなかったようだな。とはいえ私もその犬に見つかったらすぐ逃げると思っていたが…まさか撫でようとするとはな…。』
返す言葉もねえ…。まさか二匹目がいるうえこんなにかわいいとは…。
「いやあ!たまたまここを通りかかってね!そしたら間宮さんが戦ってるのが見えてさ、思わず観戦してたんだよ。不快にさせたならごめんね。」
「いやそれは別に大丈夫よ…。…ねえあなたから見て私はどうだった?久我家の人間なんだからいろんな人を見てきたんでしょ…?それこそあなたのお父様とか…」
はーなるほどね。要は俺から見て一流と比べて自分はどんなもんなのか知りたいってとこか
「正直に言うと悪くはないと思うよ。少なくともうちの学校とかの学生レベルなら間違いなくトップ層だろうね。特にその犬神ちゃんはなかなか優秀だし、それにまだまだ伸びしろもある。うん、いいと思うよ。」
「…私が聞きたいのは一流になれるのかどうかなの。私も学生の中なら自分が優れた方であるって自負はある。けど本当に一流の家柄や才能を持つような人は学生レベルなんて括りにはいないわ。学生レベルなんて時点で一流の陰陽師にはなれない、違う?」
んーなんて言うのが正解なのかな…確かに他の家の連中みても高校に通いすらしないってやつも多いしな。雪も、世良だってそうだが俺が高校に通うのに合わせてくれてるからな…雪ちゃんなんて俺が今年帰国が決まってからこの高校に進学決めて待っててくれたって話だしな、全く頭が上がらないよ。
「正直な意見が聞きたいの…。天堂雪さん、彼女はうちの学校でも一番才能も家柄もいいわ、なんでここに通ってるのかもわからないくらいにね。彼女は学生のレベルなんて枠にはいないわ。私はああいう風になれると思う?」
まあ雪や世良と比べるのはどうかと思うけどなあ…
とはいえそれが悩みの原因なら俺のせいってのも少しはあるからな
「名家や家柄のいい家のやつらが強いのはさ、長い歴史の積み重ねなんだよ。特定の家柄や血筋だけが契約できる精霊や式神がいるんだ、それに高い霊力を引き継いでいることが多いってわけだ。けどどんなにすごい才能があっても無駄になることは多い。うちのクラスにも少し家柄がよくても君より能力の劣る連中がいるだろ?だから大事なのは能力を磨き上げることなんだ。君は確かに特別な式神や精霊、血統ゆえの異能も持ってない、けどあの犬神の子が成長しているように君もまだこれからだよ、だって君才能あるもの。一番大事な霊力の量が多いでしょ?まあ他にも聞きたいことができたらいつでも聞いてよ。」
「じゃあ、あなたはどうしてその才能を捨てたのはどうして…?私はもっと責任感のない人だと思ってたわ。いざ話してみてそんな風には思えないの。」
「はは…それは言いたくないなあ…。けど俺の話はほとんど噂通りだよ。」
「あなたはどれほどの位だったんですか?現役だったとき」
位? 位ってなんだ?家柄の話か…?いやそれなら間宮さんは知ってるはず…。
「あの…もしかして知らないんですか?」
なんか悔しい…けど知らないのは事実なんだよなあ…
「えっと…陰陽師や妖には等級があるのよ。下から黒、白、黄、赤、青、紫と決められていて一般的に黄色から主戦力、一人前だと言われているわ。私は卒業後の黄色への昇格が確定しているの。この黄等級になれるかが壁なのよ、たいていの陰陽師はこの黄色から一生上がれない。赤は一流で青以上はほんとに一握りの超一流なの。」
そんなの誰からも聞いてないよ…。昔から言われた任務をこなしてただけだったしなあ…。それに最近はみんな気を遣ってそっち関連のことは話さないし…。
「ありがとう、教えてくれて。間宮さんが教えてくれなかったら一生わからなかったかもだよ。俺あんまり常識ないかもしれないけどこれからクラスメイトとしてよろしくね。」
「まああなたにもいろんな事情があることは分かったわ。けどうちの学校やクラスには血統主義の思想を持ってる人が多いの。彼らはあなたを見下して嫌っているわ。まあ
私も人のことは言えないけどね…。とはいえあなたは久我家の人間だから誰も危害とかは加えないわ、けど巻き込まれ一般生徒は違う。だからクラスのみんなはあなたを避けるのよ。けどクラスメイトとしてじゃなくてなら、よろしくね。それじゃ私は帰るわ、あなたも気を付けて。」
あれなんか結構いい子じゃないか…。まあ光明も悪い子じゃないって言ってたからな。とはいえ俺結構嫌われてるのな…まあでも俺も血統主義大嫌いだからいいか!
んーとはいえ中々いい時間になったな…
『今日はもう帰るか?ここからの道ならおおよそ把握しているぞ』
よし!帰ろう!まあ一人でここまで来れただけ上出来だろ!




