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現代陰陽師生活  作者: さば
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放課後

「葵! 学校生活はどう? 少しは慣れた?」


俺たちは初日を終え帰宅途中である。あの後例の間宮さんに散々に言われたからかわからないが、他に絡んでくるやつはいなかった。しかしやはりあの感じを見ていると俺は疎まれてるのか?


「まあ高校や授業のシステムは分かったよ。そこまで小学校とかとシステム自体は近くて助かった。とはいえこのまま授業についていけないなんてことになったら今度こそ間宮さんあたりに何を言われるかわからないな。」


実際行ってみるまで多少勉強についていけなくても大丈夫だろと思っていたけどあのクラスの雰囲気を見てると俺が勉強までダメってなるとますます見下されるからな。舐められるまでなら許せるがこれ以上見下されるのは我慢できないかもしれん。


「間宮さんは生まれの義務とか責任を果たすべきって考えが強いからねー…。クラスで葵のことよく思っていない人は実はそんなにいないんだよ。けど間宮さんをはじめ一部の名家の傘下とか分家の家の人が何人かいてね。その人達は名門生まれの葵ことが気に入らないんだと思う。他の人達は、椿原さんみたいな熱心なファンってのはそんなにいないけど、大半はそこまで関心がないって感じかな。けど気に入らないって思ってる人は家柄も成績もいいからね…」


なるほどな、上位層が嫌ってる以上ファンってことでもなければ話しかけたりはしないってわけだ。そう考えるとあの子めちゃくちゃいい子じゃん!


「あれ、そういえば今どこに向かってるんだっけ?」


何も考えず雪と世良の二人についてきたけどここがどこだかが全くわからん。


「君って話聞かないときはほんとに聞かないよね…。雪ちゃんが僕らが学校周辺の遊び場とか地理に弱いだろうからって案内してくれるって話だよ。君だってどこで食事するかとかの情報必要でしょ?それに僕も家周辺や学校の地理を頭に入れておかないとね、いつ任務や妖連中と遭遇するかわからないでしょ?」


なるほどな、確かにここら辺に何があるかはよくわかってないな。うち周辺も結構変わったらしいしな、何度か帰国した時もあんま出歩くこともなかったからわからなかった。

そういえば次の休みは紬が案内してくれるって言ってたな、いざ帰ってきたら嫌われてたりしなくて本当に良かった…。


というか世良はこっちに帰ってきたから陰陽師業に復帰するのか…。遊ぶ相手が減るのはちょっと嫌だな…。 


「そういえば深影は何してんだ?あいつまだ顔見てないけどさ」


烏丸深影といえば俺を慕ってくれる貴重な後輩である。久我家と深いかかわりのある烏丸家の跡取りで優秀な陰陽師として父さんも目をかけてるやつだったからどんだけ強くなったんだろうな…。もう俺じゃ勝てないかもな。


「深影くんはいま出張?らしいよ。なんでも東北の方での仕事に同行してるとか。おじさんから聞いてないの?」


ん、確かに父さんに聞くのが一番手っ取り早いか。とはいえ仕事のこととか聞きにくいんだよなあ…。向こうも俺にそういう話はしないようにしてくれてるし


「葵はさ日本に戻ってきたらやりたかったこととかないの?こっちにいた頃もどっか遊びに行くとか少なかったじゃん、いまなら時間もあるしさ!」


「んーたしかなあ。あ、日本食を食べたいかも、向こうの食生活が合わなかったわけじゃないけどやっぱり日本の食事が一番おいしいからね。あとはまあどっか出かけてみたいってのはあるかな、漠然としてるけど。あれ、一緒に来てくれるよね?」


子どもの頃は任務だとか修行とかで出かけることができなかったもんなあ…


「も、もちろん!わ、私も葵といろんなところに行ってみたいなって思ってたの!私の方が日本のことは詳しいんだからおすすめのところ教えるね!」


「お、じゃあ海外に行くときがあったら俺が案内してやるよ」


「やった!楽しみにしてるね!」


「盛り上がってるところ悪いんだけどさ…、僕もうおなか減っちゃったよ。僕も葵と一緒で日本食がいいんだけどどこかおすすめのお店はあるの?学生がよく行く感じのところがいいんだけど」


確かになかなかいい時間になってきたからな、俺も空腹ではある。

そしてやっぱり日本食だよ!世良とは飯の好みが合うから過ごしやすいんだよなあ


「じゃあ回転ずしでも行く?うちの学校でも帰りに行く人多いんだよ。葵回転ずしなんて行ったことないんじゃない?」


「確かにないな…。こういう町で外食するってこと自体少なかったからな。」


総会で嫌なじいさんたちに囲まれて食う寿司も嫌いだったなあ…。



――

「さ!葵好きなの頼んでいいんだよ!方法はこのタッチパネルから注文ができます!」


テンション高くてかわいいなおい

「葵!最初はまぐろにしよう!僕の経験上まぐろで店のレベルがわかるんだ!」


こっちもテンション高いなおい


「わかったわかった、とりあえずまぐろと…あとはやっぱりイカだよな!」


頼んだ皿が届いたりひたすら回ってる皿を見ていると…

くそ、確かにこれはテンション上がるな…。


ついつい食べ過ぎてしまった…。


「うん、エンタメ性重視かと思ったけどうまいな。しかも安いときたよ。やっぱり日本はいいね、帰国してからそればかり感じるよ」


「それには全く同意見だね。向こうでの生活も楽しかったし不満はないけどやっぱりこっちが落ち着くよ。」


「二人とも満足してくれてよかったよ。でもまだまだいっぱいいろんなお店があるからね。次も楽しみにしててね!」




―― 間宮カノンの放課後


「玲花! さっきはごめんね…。ちょっと言い過ぎた。でもあんなクラスの前でファンって公言したらだめよ。あなたがクラスからはぶかれる可能性だってあるんだから。」


私間宮カノンと椿原玲花は幼い時からの友人である。しかし私は格は低いが有栖川系の家で玲花はほとんど陰陽師の系譜ではない家の出身である。彼女の家系ではほとんど霊力をもった人がいないため知り合いの伝手で私の家で練習をすることとなり親しくなった。とはいえ彼女は一般家庭の出身ということでクラスの血筋を重視するような連中に目をつけられたりすることがないように学校では距離を置いている。


「カノンちゃん…。でも私が葵さんのファンっていうのは本当だもの。そこに嘘をついてあの人を避けたりするようなことはしたくないの。それに天堂雪さんとも親しそうだったし、血統主義みたいな思想を持ってるような人じゃないわ。」


彼がそういう思想を持たない人であるということは私も知っている。光明さまも言っていたし独特の嫌な空気感を持ってはいなかった。それにそんな思想を持っていたら一般社会で芸能活動しようなんて発想自体ないはずである。しかし私はあれだけの才能を持っていてそれを生かさないような人が許せない。光明さまが言うような力を持っているならきっと多くの人を救えるはずである。今日初めて彼を見たとき一目で感じた、光明さまの言っていたことが本当かもしれないと。だからこそ私は彼が嫌いだ。


「あなたの出自を蔑む人もこの学校にはいるわ。そして彼らは才能と立場を捨てた久我葵を見下してる。

家柄で言えば彼より下のくせにね。けどあなたが彼と近づけばあなたをよく思わない人が何をするかわからないわ、彼と違って玲花は後ろ盾がないんだから…。私だって守れるかわからないの。だからお願い…。」


「カノンちゃん…ごめん。それでも私はその彼らと同じようなことをしたくないの。私は陰陽師として強くなって私みたいな人がもっと生きやすくしたいの。出自や家柄がなくても自分の能力で勝負したいんだ。クラスの血統主義の人たちの中には私より能力が低くても家柄だけで偉そうな人もいるわ。そのせいでこのクラスにだって私と同じように生まれで力を発揮できてない人たちがいる、私はそれが嫌なの。そのうえ彼らに同調したくないの。」


「これだけは約束して、本当に危なくなったらプライドを捨てても逃げてね…。私が言いたいのはそれだけよ。先に帰るわ…。」


せめて玲花がなにかされそうになったとき守れるように強くならなきゃ…。


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