登校と初日
「それじゃあ行ってくるよ。」
「お姉ちゃんが送っていかなくてほんとに大丈夫!?こっちもどってまだ1日2日じゃない!ただでさえ方向音痴なんだから!」
清々しい朝と真逆のこの姉が俺の出発を阻む… 昨日の夜からずっとこの調子である。 最初は嬉しさもあったがここまで来るとちょっとうっとうしいよ…
そして俺は方向音痴じゃあない!ただまあ地図はそんなに読めないけどな
「大丈夫だって雪と世良が迎えに来てくれるんだからさ。それにちょっと恥ずかしいよ。じゃあ今度こそ行ってくるね」
俺はそのまま姉を振り切って家を出る。
――
「葵、緊張してる?こっちで学校に通うのも久しぶりだし。まあ今日は顔合わせくらいだか午前中には終わるんじゃないかな」
へー日本の高校って厳しいって思ってたけど以外にゆるくやれそうなのか?
「少しだけな。こっちで普通の学校に通うのは小学校以来だよ。中学は途中で海外行っちまったからな。世良もだろ?お前も俺と一緒に海外に行ったんだし。」
「そうだね、でも僕は緊張はしてないかな。君と違って勉強してたからね。それにこの高校は陰陽師の実績でも成績に換算してくれるらしいよ、学外活動ってことでね。それに」
こいつはほんとに失礼なやつだな… まあでも数学はこいつにやってもらおう。 それに学外活動って芸能活動も認められるか…? それならさすがに卒業できるだろ!
『葵よ日本の学校とはそんなに特異な環境であるのか』
「ん、あーそうだよ日本は団体意識が強いからな。それに俺は陰陽師世界じゃあ肩身が狭いからな、学校で勉強についていけなきゃやばいの」
てかなんでこんな進学校なんだよ… なまじ霊能力を持ってる生徒が多いらしいからな、勉強もだめなら見下されるだろうな てかなんで陰陽師に数学とか必要なんだよ!
「ねえ…すごく自然に天使さま連れてきてるけどどういうつもりなの…?目立たないようにするみたいな話だったじゃん… てかいつからいたの!?」
やべえ…普通に声に出して喋ってしまった…。 こいつとテレパシー的なので話せばばれなかったのに…
まあばれちまったのはしょうがないか
「えーだってこいつがどうしても着いてきたいって言うからさー。それにお前らも声を聞いて初めて認識したろ?本気で探知しようとしてもミカエルが霊力を出したりしない限りは見つからないよ」
こいつが他の精霊たちと比べてやっかいなのはこの自由さである。鳳凰たちみたいにおとなしくうちで待っててほしいところなんだけどな… まあほんとに嫌がることは求めないあたり甘え方がうまいなと思うよまったく。
「まあそれならいいのかな…? とりあえずクラスを見ようよ。みんな多分一緒なはずだけどね」
「みんな一緒ってのはどうして?成績順とかなら葵と雪ちゃんが同じクラスとかにはならないと思うけど。」
こいつずっと俺のこと馬鹿にしてないか… まあ言う通りだけどさ!
「そこは多分光明さんのコネだと思うよ。この学校自体が有栖川家の影響が大きいからね。なるべく便宜を図ってくれるってさ」
そういえばあいつんちの分家?の子も通ってるなんて言ってたな。そんな名門だと俺のこと知ってるやつもいたりするかもな… 面倒になんないといいんだけど。
「あ、もう張り出されてるよ、ちょっと見てくるね。……・やっぱり一緒だったよ!さすがは有栖川家ね」
嬉しい反面、絶対さぼれないな… そして世良は絶対に何かあったら父さんにチクる! なんなら多分俺がミカエル連れてきたことも! 気をつけよ…
ーー
「ここが私たちの教室だね」
雪に案内されて俺たちは教室に入る。教室に入ったときに少しざわついたのがわかる。これは俺のこと知ってるやつもいるか…? なんて考えていると突然話しかけられる。
「あの!久我葵さんですよね?私ファンなんです!陰陽師時代もですけど、最近の雑誌も見ました!」
ついにきたよ!俺のファン! いやー日本の陰陽師、特に同年代には俺評判悪いらしいからさ、この学校にはいないんじゃないかと思ってたよ!それに陰陽師時代からのってのは嬉しいな
「ありがとう!そう言ってもらえると嬉しいよ!日本に帰ってからファンですって話しかけられたのは初めてかもだよ。いつのやつかはわからないけど読んでくれたのは嬉しいな」
「日本じゃあ活動しないんですか?モデルとかの芸能活動で!それかもしかして陰陽師として復帰するとかですか!?」
うん、すごいぐいぐい来る子だな。 でも変に気を遣われるよりましだな、さっきからジロジロと値踏みするような視線を感じてますからね…
「まあ色々と今後のことはゆっくり考えようと思ってね」
とりあえず高校生活を送ってみないことには始まらないからな。
「椿原さん、そんな人には関わらない方がいいわ。少なくともあなたが一流の陰陽師を目指しているならね。」
この気の強そうな美人は誰かな…?少なくとも彼女は俺の事を嫌ってそうなことは伝わってくるな。しかし俺は会った記憶なんてないぞ。自分が大人気です!なんて言うつもりはないけどさあ… さすがにこれはショックよ
「間宮さん、どうして?私はシンプルにファンなだけよ。それがマイナスなことだとは思わないけど。それにいますごい人気なんだから!」
「一般人ならそれでいいわ、けど彼の経歴を知っているでしょ?陰陽師としては最悪よ。あんな名門に生まれて才能もあるらしいじゃない、それなのにその義務を果たそうとしないんだから」
はーなるほどなるほど、俺が働かないのが原因か!
『この女いくらなんでも無礼ではないか?どうみても葵より能力は劣っておる。実力でねじ伏せてはどうだ?』
こいつ堂々と話しかけてきやがる…! 俺にしか聞こえないとはいえ学校じゃあ話しかけないでくれって言ったのにさあ…
『そんなことできるわけないだろ、どんなアウトローだよ。まあ失礼だなとは思うけどさー、そこまで間違っているとも言えないからな』
まあでも俺のファンって言うだけでこんなことなんの!?
「間宮さん…だっけか。ま、君の言う通りだから反論とかはしないんだけどさ、彼女はただ俺のファンって言ってくれただけだからさ。そこは許してほしいな」
「別に学校に通うだけなら関係ないですから。けど過去の栄光にすがってみっともないマネはしないでくださいね。あなたたち名家に憧れてる人は多いんですから」
もしかして彼女が光明の言ってた分家の子か?
家系に有力な陰陽師が久しくいなかったから気合が入ってるから責任感が強いって。だから不真面目な俺のこと嫌ってるって言ってたな…。
そして俺に向けられた視線の半分めでいかないけど結構多くが同じように蔑んできやがるな。
うん、俺の学生生活に不安しかない!




