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現代陰陽師生活  作者: さば
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初任務

雪の縁談騒動からの一連の流れで俺が総会で堂々と復帰と婚約宣言してから数日が経った。その間大地くんとリハビリを兼ねた修行やほとんど忘れていた呪文学なんかをやっていたわけだが…


「疲れたあ…。昔っから座学嫌いなんだよなあ…。呪文なんていくつか覚えてればいいよ、まじで。」


『まあ式神使いは式神を通して術式を起動できるからな。とはいえお前もいつでも式神がいるとは限らないんだ、覚えていて損はあるまい。せっかく主要どころのメモまで作ってもらったんだ、せめて道中で覚えるくらいしてはどうだ。』


…こいつ最近説教してくるんだよな…。だんだんと鳳凰ちゃんあたりに似てきたな。


『不満が顔に出てるぞ。全く…お前は…。鳳凰も言っておったが、お前が大人ぶっているが子供っぽいということの意味が今ならわかるわ。』


『え、お前らそんなこと話してるの…?わ、悪口とか言ってないよね?お前らみんなで集まって悪口なんて言われてたら俺泣くよ?』


なんかそう言われたら俺に隠れるように集まってるときとかあるよな!?仲がいいのは嬉しいけどさ…ほんとに大丈夫かな…。


『そこまではないから安心しろ。ただお前が雪を傷つけるようなマネをしたりすればわからんがな。正直私たちはあの子のことを気に入っているんだ。あんなにいい子はいないからな、大事にしろよ。』


『お前は親かよ。てかお前より付き合い長いんだぞ?んなこと言われなくても知ってるよ。』


全く失礼な奴だぜ。ミカエルなんて俺が帰国してからの付き合じゃねえかよ。


『私もそう思っていたがな、鳳凰たちから聞いたぞ。何年もあの子の気持ちに気づいていなかったくせに少し気づいた頃には海外に出て行ったとな。お前の過去は知っているし彼らもお前の苦しみは理解していたから許すそうだが、次はないぞ。それから変なところでうじうじしているのも呆れたそうだ。おっとこれは内緒だったな。』


あ、そんな風に思ってたの…。あんときはさあしょうがないじゃん!てかこいつらそんな話までしてるのかよ…!


あーもう任務なんてやる気出ないわあ…。こいつらもしかして、俺より雪のこと好きなんじゃねえの?そりゃ雪ちゃんのこと好きなのは嬉しいけどさあ…。俺じゃないの!?一番は!「


『ふふ、安心しろ。みんなお前のことが好きなんだ。だから幸せになってほしいし、雪と仲良くやってほしいだけだ。』


『なんだよお…最初からそう言えよ…。心配になるじゃん…!」


まじでさあ!ツンデレどもめ!まあかわいいやつらだな。


『ちょろ…。こいつ、大丈夫か…?』





ーー

「あ!葵!こっちだよ!もう間宮さんも来てるんだから!」


お、めちゃくちゃかわいいな。なんだこんなにかわいいパートナーがいるなら陰陽師もやる気出ますよ!

それにしても昔は知らないおじさんとでよく頑張ったなあ…。


「ごめん、遅れた。待たせたかな?」


ミカエルとのんきに話してる場合じゃなかったな…。


「まあ私は張り切りすぎて早く着いちゃっただけだから気にしないでいいよ!」


「私も同行任務なんて初めてだから早くついておきたくて…。それにまさかその、葵さんが赤等級だとは思ってなくて…今までいろいろと上からで申し訳なかったなって…。」


あー確かに階級的なことを考えると俺の方が上になっちゃったってわけか。それに間宮さんってそういうのちゃんとしてそうだしね。


「いやいいんだ。俺も階級だとか考えてなかったからさ。それに俺少しだけ常識に疎いかもしれないからもし何かあったら言ってよ。」


「ふふ、そうね、少しだけね。」


少しだって言ってくれ。俺最近の常識がないみたいな感じ嫌なんだ!


「さ、それで今日は一体何の任務で?一応復帰後初任務だから気合いは入ってるんだ!」


「葵…今日は数日前から発生してる妖被害の調査だよ。あくまで調査がメインだから対象の正確な等級が分かってないの。あくまで予想は白から黄とされてるからもし撃破可能だと判断できたら戦闘もあり得るの。だけどあくまで本来の目的は調査。葵は調査任務の経験はないでしょ?間宮さんはその経験が十分にあるから多分葵にも学ぶところがあるよってこと。」


はーなるほどな…。被害が確認されたら当然調査が必要ってことか。確かに俺は調査なんてしたことなかったな…。そして当然おおよそ予測してるとはいえ、それを超えてくる可能性は十分にあるってことね。


「私は光明さまから葵さんが同行してくれるからいろいろと学んでこいと言われてるので今回はお世話になります。」


「いやあ今聞いた感じ俺の方が学ぶことになりそうだなあ…。」


「とりあえず調査現場まで向かいましょう。」


あ、はい。俺大丈夫かな…完全に指導される側なんだけど…




ーー

「ここがおそらく現場ですね…。わかりますか?霊力が残存しているんですが。この霊力の生まれた時間と残存している量や濃度からどれくらいの妖かを調べるんです。調査前のおおよその推定は周辺での感知や被害者からの測定で調べるんです。被害が続いていて頻繫に移動する場合は前の現場での数値も使いますけど、憑依型の場合は成長も早いですからあてにならないことも多いです。」


これは俺でも知ってるな。妖は憑依型と実体型がいるんだ。憑依型は人や動物なんかに憑依することで肉体を維持していてこれが進化することで基本的に実体型になる。実体型はうちのフェンリルなんかもそうだが、自力で肉体を持って維持しているやつだな。高位の精霊や式神なんかもみんな基本的には実体型だ。討伐難易度も憑依か実体かで全く違ってくる。憑依はせいぜい黄くらいまでだが実体型はそれを超える。実体型は長く生きている個体ほど強いから歴史や伝説に出てくるようなやつはめっちゃ強い。ただ憑依型は成長が早く黄等級までなら放置してるとすぐなる可能性が高いらしい。


「今回も憑依型だけど何件か被害が出てるから早く討伐しないと成長しちゃうだろうね…。どうする?もう突撃して倒しちゃう?幸いなことに移動するようなイレギュラーじゃないし。」


おー意外に雪は好戦的だな。そっちの方がシンプルで俺は好きだけどね。


「そうね…今回は憑依型の妖だし早い方がいいものね…。それに今回は二人がいてくれるものね。」


まあそうだな、正直余裕で間宮さん一人で倒せる相手っぽいけど雪と俺もいるしな。光明もリハビリにってことだったし慎重になりすぎるのもマイナスか。


「まあここは行くか?調査中に討伐するときは連絡するんだっけ?」


「そうね、流れで戦闘になった場合は事後報告になるけど、この場合は事前に調査結果とこれから討伐することを報告することが望ましいわ。」


確かにその方が万が一の時の救援もしやすいだろうな。俺も何度か救援任務はやったことがあるけど事前報告のあるなしでかなり変わってくるからな。


「じゃあ二人ともついてきてね。もしあなたたちから見てまずいと思ったらすぐにお願いね。」




ーー

「んーいざ突入したけど全然出てこないなあー。油断するのはまずいんだけどここまで来ないと少し飽きてくるな…。ここ霊力も薄いからいまいち緊張感も出ないよ。」


「ふふ、あなたからしたらそう感じるのね。私たち学生が受ける任務の中ならレベルが高い方なのよ?私もそこまで緊張するほどは感じないけどそこまでリラックスはできないわ。」


あれ、これ俺嫌味みたいになったかな…。でも確かに個人のレベルに関わらず学生だからずっとこれより低い任務ばかりだったら成長できないって間宮さんの意見には同意だな。彼女ならこれよりレベルの高い任務に同行するだけでももっと成長できそうだ。


「一応言うけど、嫌味だなんて思ってないわよ。あなたのレベルなら退屈だろうしね。むしろ私もそのレベルに早くなりたいの。だからアドバイスなんかがあればどんどん言ってほしいわ。ちなみにだけど、雪さんもここはやっぱり薄く感じる?」


おーならよかった。さすがに性格悪いなこいつって思われたら悲しいからな。


「私も葵ほどリラックスはできないけど、確かに薄いね。これはまず間違いなく黄等級はないと思う。それと多分妖が出てこないのは葵のせいだと思うよ…。」


「え、俺?なんで、何もしてないと思うんだけど…。」


心あたりがなさすぎるな…。俺は何か重要なことを見逃してるか…?


「あなたの霊力が濃すぎるの…。きっと無意識に私たちを守れるように出しているのが漏れてるんだと思う

よ。久しぶりの現場なのと、ここがあなたにとってそこまで警戒する必要がないから調節ができてないんだと思う。」


「あ、ほんとだ。そう言われればちゃんと調節しなかったわ。…これでどうかな!」


すると突然後ろから妖が飛び出してきたのがわかった。


「え!早くない?今切ったとこだよ!?」


こんな経験初めて!って感じだよ!


「きっと急に消えたから今だって感じじゃないかな。ほら間抜けそうな顔してるもの。」


わー辛辣。俺もそんな風に思われたら泣いちゃう。


「二人とも本当に余裕そうね…。私がもらっていいかしら?あれくらいなら一人でも簡単よ。」


俺と雪はうなずく。すると間宮さんは犬神を召喚した。あのかわいいワンちゃんですよ。和みます!


「ソラ!あれ食べていいわ!いける?」


「わん!」


うんやっぱり犬はかわいいね。あれでも前から名前つけてたっけ?


そんなことを考えているとあっという間に討伐が終わっていた。


「いやー流石に余裕だったね、お疲れ。でも名前つけてた?」


「あなたが式神と信頼関係を築いておくことが大事だって言うからつけたのよ。今までは変に愛着が湧かないようにしてたけど、逆効果だったわ。名前を付けてから前より一緒に過ごすようにしてから調子がいいの。こんなこと誰も言ってなかったわ。式神はポテンシャルがすべてだって言うけど私あなたのやり方が好きよ。」


うんうん、嬉しいね。みんな式神を軽視しすぎなんだよ。まあ確かに高位精霊とかじゃないと意思疎通が大変なのはわかるけどね。


「お疲れ様!間宮さんの式神すごいね!あんなに指示にも忠実だしかなりの力を持ってるわ。それに何よりかわいい!」


このまま二人が仲良くなってくれるといいけどね。

とはいえこれで任務達成かな!


「けどおかしいわ…。同じ等級でもその中で序列があるの。今回の相手は白の中でも限りなく黒に近い相手だわ。私一人ならともかくあなたたちを同行させておいてこんな相手を用意するとは思えないの…。」


うーん…まあ確かに楽な相手ではあったけど考えすぎな気がするけどなあ…。


「間宮さんの意見に私も同意かな。だって討伐し終わったのにさっきと霊力の濃度が変わってないもの。他にも何かいるかもしれないよ。」


そう言われると確かに変わってないな…。 とりあえず見回りはしとくか…。










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