報告
「はーそれでお前が天堂んとこの雪ちゃんと正式に結婚して、そのうえ陰陽師にも復帰したいってことでいいんだよな?」
俺は雪を連れて帰宅し、事情と一連の流れを父さんに報告しに来た。
完全に事後報告なうえ友人宅とはいえ乗り込んだ形になる以上は少し報告が怖いです…。とはいえ濁すわけにはいかないので俺も覚悟します!
「まずお前の復帰についてだがな、それはもちろん大歓迎だ。お前にその意思があるならこんなに嬉しいことはない。」
「はい、あとは父さんには結婚を認めていただきたいんです。今まで俺の覚悟がないせいで先延ばしにしていましたが、俺は雪以外との結婚は考えられないです。」
「うーん…結論から言えばそれは無理だな…。」
は?ここまできてこの人なに言ってんだ?え、どうしよう…いっそ婿入りか…?
「あーすまん、言い方が悪いな。いったんお前らは許嫁ということにする、正式な結婚はまだ無理だ。まあ元々お前が生まれる前に天堂のやつとそんな話をしたこともあったしな。お前が想像以上の才能があって他の家から目をつけられたことで破談になったが、それを根拠としてお前らの婚約関係は認められるだろう。だがお前がまだ復帰していないし立場も曖昧だからな、正式な結婚は待ってくれ。」
なるほどな…そう言われればそうか…。俺が復帰して実績を残すことが先ってことね。まあでもこれは認められたようなもんじゃん!
「あ、あのおじ様いいんでしょうか…?私よりもっと立場の強い方との婚姻の方が久我家としては…その…」
「気にするな、どうせそこのバカは雪ちゃんとの関係を認めない!って言っても出ていくだけだろうからな…。それに私自身が周囲の反対を押し切って妻と結婚したからな…葵にはダメだとは言えないだろう。家族も、もちろん私も雪ちゃんのことは気に入っているからね、むしろこんなバカをもらってくれるならありがたい話だよ。ただ今後側室の話が出ることは十分に考えられる、そこだけは覚悟してほしい。」
「はい!ありがとうございます…!…ほんとにうれしくて…よかったあ…。」
ねえひとまず認めてくれたのはいいんだけどさ、みんな側室側室うるさいよ…。まあでもほんとによかったな…。一時はどうなるかと思ったけどね!
「しかしだ、お前復帰とは言うが本当に大丈夫か?時間はかかるが最悪は立場だけでも復帰すれば雪は守れる、無理に実戦に復帰する必要はないんだぞ?あの時のことは俺も後悔ばかりだからな…。お前がつらかったら…」
「いや大丈夫だよ、ほんとにね。あの時は何も見えてなかったけど今は雪も世良も、周りに支えてくれる人がいるってわかったからね。あ、もちろん父さんたちもね。それに紬も頑張ってるからさ…負けてられないじゃない。」
あの時一番つらかったのはあの子のはずなのに頑張ってるんだ、俺もかっこいいとこを見せないとね。
「ならお前次の総会で復帰しろ。そしてその場で雪との婚約を宣言していい、復帰宣言と同時にな。聞けばまだ縁談は見合い段階だったそうじゃないか。向こうは時間の問題だと思ってるだろうからな、早めに宣言しておけ、そうすればもし何かしてきてもうちでつぶせる。本当は当主として俺が発表するべきだが次の総会は全体総会で縁談相手も来るだろう、お前が自分で宣言して健在なんだってことを示せよ。」
確かに向こうは俺が何もしないと確信したから雪に手をだそうとしたかもしれないしな、俺が存在を示すのが一番か…。少しでもリハビリしとこ…。
「じゃあ初めから雪は久我家として俺の横にいてもらっていいですかね?あ、あとミカエルと鳳凰ちゃんも連れて行っても?」
一応戦力は多い方がいいしな!
「あ、葵!?さすがにそれはダメだよ!婚約はまだあくまで婚約だからね!うちとじゃ席次が違うもの!」
「式神や精霊たちは自由にしていい。だが雪も言う通りだが家格に応じた席が決められている、まだ雪がお前の隣座るのはなあ…。いらない反発を招く恐れがあるぞ…。」
んーまあそうなんだろうなあ…。けどさあ席次で考えるとさあ、縁談相手のやつが近くに座るかもじゃん!
「そもそも俺が出席した時点で今回の総会はイレギュラーな感じじゃないですか。それに婚約発表ですから、いらぬ憶測を招くよりわかりやすくした方がいいかと。そして何より俺はあの場所が嫌いですから…雪がそばにいてくれたら落ち着くんですよ。」
「うーむ…まあそうだな…。よし、許可しよう。ただしお前は有栖川の光明君くんと当主に伝えておけよ、結婚のことも総会に出ることも。私はあそこの当主が苦手だ、お前は気に入られてるし友人なんだからお前から二人に話せよ。」
光明に話すだけで済むなら楽勝!まあ有栖川のおじさんは父さんのこと好きなんだけどね、絡みがうざいから父さんは苦手にしてるけど。
「いやあ!しかしめでたい!息子の結婚相手と仕事っていう最大の悩みの両方が一度に解決するなんてなあ!雪ちゃん泊っていくだろう?うちの女性陣がさっきから話したくてうずうずしてるからな、付き合ってやってくれ。それに総会までは危険かもしれないからな。」
え!泊るの!?何言ってんの!?この親父は!
「あ、はい! お邪魔じゃなければですけど…。祖父にだけ連絡すれば大丈夫なので。」
いいんかい! なんか緊張するんですけど!
「あいつには俺から連絡しておこう!あ、葵よ、婚約とはいえまだ結婚したわけじゃないんだ、寝室は別だからな、そこらへんはしっかり守れよ。」
もうこの人やだよ俺…。嬉しいんだろうけどさあ…雪ももう顔赤くして向こう行っちゃった…。
こんな感じのことはしない大人になろ。
とはいえひとまず一件落着かなあ!けどまあ修行しないとなあ…式神と戯れるだけしかしてこなかったからな。式神術以外ほとんど練習してないし、覚え直すかあ…。




