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006

 ホーンラビィの角を石斧で根元から叩き折り、死体を【無限収納】で仕舞う。

 武器が増えた。これも異空部屋で加工しよう。解体用の刃物とかないしちょうどいい。


 『プロテクト』をかけ直してからレーダーを使うと後ろからゴブリンが2匹近付いて来ていた。

 石斧で叩き付けた時、割と大きな音したので当然と言えば当然だ。


 すぐに湖に向けて歩き始める。連戦は無理だし複数相手じゃ絶対やられる。

 その先もマップを見ながらモンスターのいるポイントを避け、時にやり過ごしながら湖を目指す。


 途中、やばそうな奴に遭遇した。




種族:チャージボア

レベル:8

状態:正常

スキル:【突進Lv3】【頑丈Lv2】【加速Lv1】【威嚇Lv1】




 初めて見る自分の身長よりも大きいモンスター。

 見つかりはしなかったけど足が恐怖で震えた。

 あれもいつか倒せるようになれるのだろうか。


 その後は特にモンスターとの遭遇もなく湖に着いた。川よりもいて奇麗な水だ。岸から少し離れた場所には魚の姿も見える。

 素手で捕まえるのは無理だし釣りも魚が掛かるのを待っていたらモンスターが来そうで怖い。

 残念だけど諦めよう、安全第一。


 目的の湖まで来たけど次に何をするか。すでに氣力はだいたい回復している。ホーンラビィを探してもう一戦してから飯にしようかな。サーチで近くに1匹だけでいるホーンラビィを探すと結構いる。

 一番近い奴のところに向かって進んでいった。


 『練氣』で上がる身体能力には動体視力も含まれている。それによってさっきの戦闘ではホーンラビィの動き自体は捉えることができた。

 ただ、石斧の大振りが隙になり、攻撃を食らった。

 なので今回は石斧を【無限収納】で仕舞い、折っておいたホーンラビィの角を『プロテクト』をかけて手に握る。


 サーチで見つけたホーンラビィが視界に入った。ステータスは同じだ。気付かれるギリギリまで近付いていく。


 『練氣』を発動し、踏み込む。すぐに気付かれ、ホーンラビィもこちらに向かってくる。

 射程に入ったのか若干の溜めの後にまっすぐ跳躍してきた。軌道は胸辺りに向かっている。

 俺は隠し持っていた角を右手で底を押さえるように、そして左手で側面を握る。

 胸目がけて跳んで来ている軌道に合わせて角を突き出す。突き出した角がホーンラビィの鼻先から後頭部まで貫通した。


 既に事切れているホーンラビィを【無限収納】で仕舞う。


 すぐに『練氣』も『促進』に切り替えた。


 最初のよりは危なげなく殺せた。でも、『プロテクト』が解けている。角で突き刺した時にホーンラビィの角が少し手にかすったのだ。

 当たっても『プロテクト』で防げるだろうけど、極力、危険はなくしておきたい。

 ちょうど昼くらいだし異空部屋に戻って考えるか。


 【異空部屋】を発動させ、転移する。


 一瞬で視界が変わり、異空部屋に戻ってきた。

 多少、慌てる場面もあったけどホーンラビィ2匹を仕留めたのはなかなかの成果だった。


 脱衣室につながる扉がある壁とは別の壁の前に立ち、想像すると2枚の扉が現れた。

 一方はトイレ。前世の記憶のものを参考にした。

 もう一方に入ると床も壁も天井も石造りの部屋。ここは作業室。

 寝るための絨毯の部屋で削ったり作業をするのもどうかと思うし、なんたって部屋は増やせるのだ。


 部屋の中央に座り、手に持っていた角を床に置く。

 少し待つとホーンラビィを突き刺したことで付いた血が奇麗になった。外套の時も見たけど何とも不思議な光景だ。


 【無限収納】で石を取り出す。その石で置いていた角を石斧を作った時のようにコツコツ叩いて形状を変えていく。

 少し反った円錐型の角を薄くなるまで叩いて形を整える。

 整え終わり、今度は水と平べったい石を取り出して石を濡らす。濡らした石で薄くなった角を半分くらいが刃になるよう研いでいった。


「疲れる……」


 指も痛くなってきたので『ライトヒール』をかけるとすぐに痛みがひく。あってよかった治癒魔法。


 やっと片面が研ぎ終わり、もう片面も研ぐ。時々、指に『ライトヒール』をかけながらひたすら研ぐ。

 どれくらい時間が経ったかわからないくらい研ぎ続け、何とか完成した。

 流石はモンスターの角だけあってなかなか鋭い白色の刃になった。これならよく切れそう。

 仕上げに石斧と同様に柄部分に木糸で作った帯状の布を巻き付ける。




『ホーンドナイフ』

攻撃力:F

耐久:D

能力アビリティ:【強靭性】




 また能力アビリティが付いた。耐久を上げるものらしい。


 さっそく使うべく、作業室を出て何もない壁に新たに部屋をつくる。中は半分が囲炉裏のある木の床、もう半分が段差で一段低くなった床が石畳でフックの付いた木の壁がある部屋。調理室と呼ぶ事にする。


 石畳の床の方へ行き、フックに木糸をかける。狩ってきたホーンラビィをその木糸につるして出来立てのナイフでのどを裂く。血抜きだ。

 もう1匹も角を石斧で叩き折ってから同じように血抜きしていく。

 放血が終わるのを確認してから皮を剥ぎ、内蔵を取り出し、肉を切り分ける。

 剥いだ皮、取り出した内蔵はそのまま、切り分けた肉は細い木の枝に刺してから【無限収納】で仕舞う。


 肉を切っている途中、【解体Lv1】を習得した。


 すっかり血まみれになってしまった身体を、調理室を出てシャワー室で汚れを落とす。


 シャワー室から出た後、調理室に戻る。

 囲炉裏に近付き、側にあったボタンを押すと魔力を消費して囲炉裏から火が灯った。

 【無限収納】で枝に刺したホーンラビィの肉を取り出し、火で炙る。いい匂いだ。

 しばらく待って火が通った頃に火から離してかぶりつくと旨すぎて涙が出た。


 もも肉を3つほど食べ満足したあと絨毯の部屋に戻る。


 寝転がると心地よい睡魔に誘われるまま目を閉じた。



 次の日に目を覚ますと昨日考えるのを忘れていたもっと安全にホーンラビィを狩る方法を考えた。


 利き腕とは逆の左腕の肘と手首の間に長さをそろえた木の枝を木糸の布で巻き付ける。簡易的な小手だ。


 『プロテクト』をかけ、準備は完了。

 昨日作った『ホーンドナイフ』も持った。


 外に出て1匹でいるホーンラビィを見つける。慎重に近付き『練氣』で距離をつめる。ホーンラビィもこれまで同様、俺に気付くと角で突き刺しに来た。ここまでは昨日と一緒。胸辺りにきた角を左の小手でガードする。ホーンラビィが無防備になったところで後頭部に逆手で持っていた『ホーンドナイフ』をおみまいしてそのまま地面に突き刺した。


 鑑定で死んでいるのを確認して【無限収納】で仕舞う。

 完勝である。


 休憩の後に同じようにホーンラビィを狩っていき、10匹を超えた辺りでレベルが4に上がった。

 同時に守護魔法のスキルレベルも上がって『シールド』の呪文スペルが増えた。『シールド』は自分の近くの空間に魔力で出来た半透明な四角い盾をつくれる。

 この呪文スペルが実に便利だった。何の動作もなしに敵の攻撃を防げるのだ。


 ホーンラビィが跳ぶ直前に目の前につくり出すと簡単に体制を崩してくれる。その隙に俺は楽に仕留めることが出来た。

 魔法って本当にすごい。


 すでに夕方になっていたのでこの日はここで異空部屋に戻る。


 レベルが上がったことで得たスキルポイントは【見切りLv1】を習得するのに使った。

 このスキルは簡単にいうと観察力の向上だ。相手を見ることで次の動きを予測することが出来る。



 さらに次の日もホーンラビィを狩っていると、ゴブリンを1匹発見した。レベル5で棍棒術スキルを持った奴だ。


 新しいスキルも絶好調。今ならやれるとゴブリンに近付き、気持ちを落ち着けてから『練氣』を使う。

 一気に接近し、攻撃を仕掛けた。

 ホーンラビィよりもこちらに気付くのが少し遅く、俺のナイフはすでにゴブリンの喉元に向かっている。

 避けられないと理解したのか避ける動作をせずに棍棒を俺目がけて振るう。明らかに相打ち狙いだった……が、見切りのスキルでその行動はわかっていた。棍棒の前に『シールド』を張り、防いだ。

 見開かれているゴブリンの目。


「じゃあね」


 ホーンドナイフがゴブリンの喉に突き刺さる。すぐに引き抜いて返り血を避け、ゴブリンが死んだのを確認した。


 やった、やってやった。

 2日前にひどいダメージを食らってやっと倒せた奴よりちょっと弱い。しかし、それでも怪我一つなく仕留められた。

 スキルがあるのとないのでここまで違うのだ。


 それでも昨日見たイノシシにはまだ勝てないだろうけど。『シールド』すら突き破ってきそうだし。

 今よりもさらに強くなる必要がある。


 覚悟を新たに次の獲物を探しに行った。

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