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 3日間、本を読んだことで様々なことが分かった。


 魔法についてだが、ずっと疑問だった初めて【異空部屋】で転移してきた時だけ気絶した謎が解けた。

 魔法を初めて使う場合、魔力が身体から抜け出る時の負荷で気絶することがある。それも大抵の者は魔法の修行中に負荷に耐えられるようになり、気絶はしないみたいだ。


 そして、習得可能スキル一覧にあるスキルしか習得できないという俺の予想は当たっていた。

 魔法の修行をする前に必ず自分に合った魔法の属性を知ることが出来る魔導具を使う。それによってわかった属性の魔法スキルしか習得は不可能というのが常識となっている。

 このことから他のスキルもその才能を持った者しかスキルは習得できないと考えるのが妥当だ。実際にどれだけ修行してもスキルを習得できない者も多くいると別の本に書いてあった。


 また、シルフが言っていたように詠唱も呪文スペルを発することもなく使うことはできないのが普通のようだ。

 それでも例外はあった。長く語られる「英雄」と呼ばれる者達の中には何の動作もなしに魔法を行使することができた者もいた。

 その中には俺と同じ守護魔法を使い、数千のモンスターの軍勢から街を守り抜いたという逸話がある。

 守護魔法はそこまで珍しい魔法ではないようだが、その英雄のように複数を同時に守ることができる者は稀だという。


 逆に俺の持つもうひとつの魔法スキル、治癒魔法は今までに習得できたのは数人しか確認されていない希少な魔法だった。ただ回復魔法という治癒魔法の下位に位置する魔法スキルはそれなりに習得している者が多いようだ。

 確かに治癒魔法で治した傷は跡形もなく治っているからすごいとは思っていた。


 希少といえば、氣操術スキルの事は武術系のスキルが書かれたどの本にも載っていなかった。

 関係ありそうなのは武技アーツを使う度に疲労し空腹になるという記述。おそらく武技アーツを使うには氣力を消費するのではないだろうか。

 氣力は生きている者なら持っているはずだし。

 それを自在に操る強力なスキルである氣操術スキルを習得した者が秘匿したのか、そもそも習得できたのが俺が初めてなのかは分からない。


 エクストラスキルのことも詳しくは分からなかった。

 普通のスキルとは違い、種族固有のものだったり、突然習得する場合もあれば生まれたときから持っていたりと様々だった。

 ただ確認されているどれもが強力なスキルだという事だけは共通している。

 例えば有名なのはエルフ族のみが習得可能な植物を自在に操れる植物魔法というエクストラスキルがあるらしい。


 他には世界の地理が書かれた本を読み、この広い森が「シュヴァルドウッド」と呼ばれるモンスターの巣窟でほとんど人が入って来ることはない事や、そのモンスターの事、シルフの言っていた加護の事なんかが分かった。


 加護は大いなる力を持った存在がそれよりも小さな存在へ力を与える事。与えられた者は持たない者とは比べ物にならない能力やスキルを持っているらしい。

 ほとんどの英雄達はこの加護を持っていたとされている。


 ここまでたくさんの知識を得てまだ読んだ本は30冊程度。まだまだある。

 これから読む本にはどんな知識が詰まっているのか、それを想像しただけで胸が高鳴ってくる。

 あと5日くらい本を読んで過ごそうかと思ってたけど、そうはいかなかった。シルフがうるさくなってきたのだ。始めは本を読む俺を抱いて楽しそうにしていたのに、だんだん飽きてきたのか3日目で外に行きたいと言われた。

 自由に転移できるらしいので勝手に行ってきていいと許可を出したら離れるのは嫌らしい。

 さすがに本を読んでばかりだと身体が鈍ってくるかもと思い、俺も外に出ることにした。本は夜に読めばいいし。


『お出かけ、お出かけ、グリム、シルフ、一緒、お出かけ』


 久しぶりに外に出るのが余程嬉しいようですごいはしゃぎようだ。


「お出かけ、か。シルフ、ちょっとこっち来い」

『なに? なに?』


 飛び回っていたシルフがすぐに目の前に来た。


「ちょっと動くなよ?」

『ん? ん?』


 シルフの纏っている身体と同じように透けた布を掴む。この布は前にシルフが言っていたように身体の一部で魔力で出来ている。だが、布であることには変わりない。ならLv9の裁縫スキルに出来ない事はない。


 魔力を消費した感覚。俺の手が光り、その光がシルフの纏った布を包む。


『ほえ?』


 光が収まると簡素な布だったものが、髪や瞳と同じ翡翠色を基調したノースリーブのショートラインドレスに変わり、腕はフィンガレスグローブに包まれていた。




『ブリーズドレス』

防御力:A

耐久:A

能力アビリティ:【風纏障壁】【魔力上昇】【耐性上昇】【状態抵抗】【サイズ調整】




「うん、良い出来」

『これ、グリム?』

「お出かけ用にね。気に入らない?」

『ううん! すごく、綺麗! シルフ、気に入った!』


 本当に気に入ったようで、くるくる回りながらドレスを見ている。


『シルフ、似合う? 綺麗?』

「うん、似合うよ。精霊のお姫様に見えるよ」


 正直な感想を言うと花が咲いたようにぱっと笑顔になって嬉しそうにしている。


 しかし、ひとつ気になることがあった。


「その胸辺りに付いてる宝石っぽいの何だかわかる?」


 俺がイメージした通りだけど、本当に宝石まで付いて出来上がるとは思わなかった。


『シルフ、知ってる。これ、精霊石』

「精霊石?」

『精霊、魔力、結晶、精霊石、できる。でも、シルフ、できる、思わなかった』


 そう言うと両手を重ね、魔力を高めているようで重ねた手の隙間から光が漏れ出す。光が収まって手を開くと、シルフのドレスに付いているのと同じ翡翠色の石がそこにあった。


『できた。グリム、あげる』

「これ何に使うの?」

『精霊石、持ってる、属性、耐性、スキル、同じ。あと、ちょっと、速く、動ける』


 シルフは風を司る精霊だ。つまり、この精霊石を持っていれば風耐性のスキルと同じ効果を得られるのか。それに早さが上がるならもらっておいて損はないな。


「ありがたく貰うよ」


 受け取った精霊石をポケットに仕舞う。


『外、行こ?』

「うん。あ、ちょっと待った」


 シルフと会ってからステータスを確認してなかったことを思い出し、外に出る前に見ておくことにした。




名前:グリム

性別:男

年齢:8歳

種族:普人族(覚醒種)

レベル:10


スキル:【裁縫Lv9】【守護魔法Lv4】【雷耐性Lv8】【治癒魔法Lv3】【算術Lv1】【氣操術Lv5】【見切りLv3】【解体Lv2】【氣力感知Lv2】【魔力感知Lv2】【体術Lv2】【明鏡止水Lv2】

エクストラスキル:【鑑定】【ステータス操作】【異空部屋】【無限収納】【スキルポイント増加】


スキルポイント:7


賞罰:『盗み』




 レベルが2上がり、氣操術と守護魔法もLv1ずつ上がっている。

 氣操術Lv5の武技アーツは『貫氣』、氣力を腕に溜めて対象に触ることでその対象の内部を衝撃が貫く。

 守護魔法Lv4の呪文スペルは『シールドムーブ』、張った『シールド』や『スフィアシールド』を自在に動かすことができる。

 これも本で得た知識だが、武技アーツ呪文スペルはスキルレベルが上がる毎に必ずしも習得できるわけではない。それでも、スキルレベルが上がればそれまでに覚えた武技アーツ呪文スペルの性能と全体的なスキルの能力が向上する。

 また、生産系スキルの技巧テクニックはさらに習得する者が少ないらしい。


 スキルポイントは氣力感知と魔力感知のスキルレベルを上げるのに振って、一応シルフのステータスも確認しておく。




種族:風精霊シルフ(上位種)

レベル:3

状態:正常

スキル:【風耐性Lv7】【魔力感知Lv7】

エクストラスキル:【精霊魔法:嵐】【未来視】




 上位種になって1に戻ったレベルがスケルトンを20体も倒したことで一気に3まで上がったようだ。


『外、出る、何、する?』

「従魔石を試してみようと思う」


 本を読んでいた片手間にマップで確認して、気になるモンスターを見つけたので従魔にすることに決めていた。


「じゃあ、行こうか」

『うん』


 手袋とブーツを装備し、従魔にするモンスターのいる場所へシルフと転移した。



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