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011

 ゴブリンウォーリアを殲滅した後、再び森の奥へ進み始めた。


 たまに見かけるゴブリンウォーリアやゴブリンメイジは見つけ次第殲滅していく。俺よりもレベルが上で尚且つナイフの一撃で殺せるというレベル上げにはちょうどいいモンスターだ。ゴブリンウォーリアとゴブリンメイジの組み合わせが一番多かったが他にも別の種類のゴブリンもいた。




種族:ゴブリンアーチャー

レベル:8

状態:正常

スキル:【繁殖Lv4】【弓術Lv3】



種族:ゴブリンシーフ

レベル:7

状態:正常

スキル:【繁殖Lv3】【短剣術Lv2】【気配遮断Lv1】




 そして今、目の前には木の弓を持ったゴブリンアーチャーとぼろぼろの短剣を持ったゴブリンシーフ、ゴブリンウォーリア2匹がいる。俺には気付いてない。


 『氣動法』でゴブリンアーチャーの後ろを取り、『ホーンドナイフ』で首へ突き刺す。すぐに引き抜くと声も上げずに死んだ。

 引き抜いた反動で横にいたゴブリンシーフもついでに刺そうとしたら避けられた。

単に突き刺すだけの単純な動作なら影響はないが二撃目以降に繋げようとするとどうもスムーズにいかない。スキルがないからだろう。

 しかし、避けたことでゴブリンシーフの体勢が大きく崩れている。これを逃さずに、しゃがんで足払いをかけることで転倒させた。足払いの勢いを利用し、立ち上がってゴブリンシーフの身体を踏む。


 喉へナイフを突き立てようとしたところでそれを止め、ゴブリンシーフを踏んでいない左足を軸に体を回転させる。避けた空間をぼろぼろの剣が通り過ぎた。

 氣力感知でゴブリンウォーリアが攻撃してくるのが分かったので避けることが出来た。空振りした剣はそのまま踏んでいたゴブリンシーフの腹に突き刺さる。


「ゴギャァァァァァア!」


 腹に剣が刺さったことで血が吹き出す。

 俺は回転したまま右脚を上げ、仲間を刺して狼狽えているゴブリンウォーリアのこめかみに『集氣』で強化した蹴りを叩き込む。メリッとした感触がした後、吹き飛んでいった。


 最後に残ったゴブリンウォーリアを見る。

 1匹目のゴブリンウォーリアが吹き飛ぶのを見たところで敵わないと思ったのか逃げ出していた。

 『スフィアシールド』ですぐに捕獲し、歩いて近付く。目の前に来てゴヴリンウォーリアの首目掛けて蹴りを放った。脚が『スフィアシールド』にぶつかる寸前に解除して、蹴りがゴブリンウォーリアの首に叩き込まれる瞬間、『集氣』を発動。さっきのゴブリンウォーリアと同様に吹き飛んでいった。


 吹き飛んだゴブリンウォーリアも死んでいるのを確認する。


 こんな感じでゴブリンウォーリア達を次々に狩っていった。

 狩った数はゴブリンウォーリアが20匹、ゴブリンメイジが8匹、ゴブリンアーチャーが5匹、ゴブリンシーフが3匹だ。


 ステータスを確認すると氣操術スキルがLv4、氣力感知スキルがLv2、レベルが8に上がっていた。

 【氣操術Lv4】になったことで武技アーツ、『流氣』を習得している。『流氣』は相手に自分の氣力を流すことで体力を回復させることができる。

 そして、上がったレベルで得たスキルポイントを2使って魔力感知をLv2に上げた。

 感知スキルのスキルレベルが上がったことで、それよりも感知できる範囲が広がっていた。


 木の上に何かいる。

 本当にちいさな反応ですごく分かりにくい上に植物の氣力に似ている。ジャイアントベアが持っていた気配遮断スキルのようなスキルを持つモンスターだろうか?だとしたら見ておきたい。


 木に登り、氣力を感じる枝は見つけたのにそこには何もいない。あるのは枝先に生えている草だけ。

 いや、目を凝らしてよく見てみると草とは違う何かを見つけた。




種族:スレッドワーム

レベル:4

状態:正常

スキル:【擬態Lv5】【毒針Lv2】【糸生成Lv2】




 芋虫のようなモンスターが草に擬態していたようだ。


 つついてみるとウネウネ動き出し、草と同じ緑色だった身体が白く変わっていった。

 片手で持てるくらいの大きさに柔らかそうな身体。なかなか可愛い。

 それに焼いて食べたら旨そう。


「ピュ、ピュイ!」


 完全に食べることで頭がいっぱいになっていると、それを察したのか尻を向け、そこから出て来た針で攻撃してきた。


「ごめん、遅いや」


 針が届く前に尻の横を掴んで攻撃を止めた。


「ピュイ、ピュイ」


 掴んだまま持ち上げ、逆さ吊り状態のスレッドワームが身体をうねらせて切ない鳴き声をあげている。

 俺はそれを見て木の上に尻を掴んだまま下ろしーーナイフで頭を突き刺しす。

 レベルも低いし逃がそうかとも思ったけど、結局、一度は食べてみようという結論に落ち着いた。


 スレッドワームの死体を仕舞って木から降りる。

 他にも何匹かいるみたいだけど旨いか分からないし、1匹だけにしておいた。


 日はすでに傾き、夜になろうとしている。

 いつもなら夜になる前に異空部屋に戻るところだが、今日はまだ森の中にいた。

 マップで見た限りでは昼と夜で徘徊しているモンスターが違うようだったので、どんなモンスターがいるか見てみたくなったのだ。


 明かりひとつない夜の森は昼と違ってほとんど視界がきかない。感知スキルがなかったら歩くことすら困難なほどだ。


 しばらく進んでいると、斜め後方より何かがつけて来ているのを感じ取った。数は2、氣力は感じられなかったが魔力感知スキルで捉えることができた。

 それなりに多い魔力を持つモンスターのようで、正確にいる場所を把握できている。

 襲ってくるのを待つのもめんどくさくなり、『スフィアシールド』で捕まえてみた。




種族:ヘルハウンド

レベル:12

状態:正常

スキル:【気配遮断Lv4】【嗅覚感知Lv3】【連携Lv3】【息吹ブレスLv2】




 俺よりも大きな身体に鋭い牙と爪、気性が荒いのか閉じ込められてからずっと暴れまくっている。まったくキャンキャンうるさい犬っころだ。

 暴れていたヘルハウンドの1匹が動きを止め、口元で何かが揺らいだ。次の瞬間、口を大きく開き、ヘルハウンドの怒りを表すかのごとく燃え上がる業火が放たれた。おそらくこれがスキルにある【息吹ブレスLv2】だろう。

 確かに威力の高そうな攻撃だ。

 明鏡止水スキルを持ってしても驚きを隠せなかった。


 しかし、そんなものを『スフィアシールド』の中で使ったらどうなるか。

 答えは昼間のゴブリンメイジと同様、自滅である。

 放たれた息吹ブレスは『スフィアシールド』の中で炎上し、ヘルハウンド自身を焼き、黒焦げの死体となった。


 1匹になったもう片方のヘルハウンドを解放する。


「グラァァァッ!」


 仲間をやられて怒り噴騰のご様子だ。

 自由になった途端、俺を殺そうと突っ込んできた。飛びかかって来たところに合わせて懐へ潜り、腹に向けて爪先を突き刺すように『集氣』を使って蹴り上げた。


「ギャンッ!?」


 思った通り腹は防御力が薄いようで飛び退いたヘルハウンドはよろけてこちらを窺っている。

 逃げるつもりはないらしく、殺意のこもった目で睨みつけていた。


 もう終わらせようと『氣動法』でヘルハウンドの目の前に移動し、喉を狙って蹴りを放つ。当たる瞬間に絶好のタイミングで発動した『集氣』が蹴りの威力を爆発的に上げる。確実に首の骨を折った感触を感じ、すぐに離脱した。


 崩れ落ちるヘルハウンド。うん、死んでる。

 黒焦げじゃないほうの死体を仕舞い、さらに周囲を警戒する。


 今のヘルハウンド、全体的にはそこまで強くは感じなかったけど、息吹ブレスは脅威だ。あれをくらったら治癒魔法で治す前に死ぬ気がする。


 もう少しだけ進んでみよう。

 もっと他のモンスターも見たい。


 暗闇の森の中を進んで行く。道の途中、昼間いたモンスターの姿はまったく見えない。昼と夜で徘徊するモンスターが違うのは間違いないようだ。


 静かな森の中で足音をなるべく消しながら歩いていると不思議な音と魔力を感知した。夜のモンスターにしては音を立て過ぎている。近付くほどに音がはっきり聞こえ、音を発しているモンスターが見えてきた。




種族:スケルトン

レベル:10

状態:正常

スキル:【剣術Lv3】【再生Lv3】【魔力感知Lv2】




 錆び付いた剣を持った人骨が歩いている。

 頭蓋骨の中で青色の悍ましい感じがする光。それが本来なら眼球が入っている窪み、眼窩から除いて見える。

 聞こえてきた音はスケルトンが歩く度に鳴っている骨の音だった。


 スケルトンは1体、ヘルハウンドよりステータス的には低い。たぶん、勝てる。


 『氣動法』でスケルトンの後ろを取った。剣を持ったほうの腕を蹴る。蹴った腕の骨に罅が入り、剣を握った自重で折れて地面に落ちた。俺に気付いてスケルトンがこちらを振り向く。

 そこで一旦距離を取る。スキルにある再生がどのようなスキルなのか確認するためだ。

 落ちたスケルトンの腕が灰になって錆びた剣だけが残された。折れてもくっつくのかと思っていたがそうではないらしい。折れているスケルトンの片腕に魔力が集中した。そして、何と折れた部分から先がゆっくりと生えてきたのだ。まさに再生したという表現が適切な光景。

 腕が再生し、再び剣を握ろうと下を向いた時を狙って再度『氣動法』で後ろを取る。そして、『集氣』を使った蹴りで両足をへし折った。

 腕と同様、両足に魔力が集中している。


「ん?」


 二ヶ所を同時に再生できるのかと見ていると、いつまでも再生せずもがいている。二ヶ所同時は無理?いや、魔力が集中しているのを見るとそうではない。

 さっきと違うのは氣力を使ったこと。アンデット系のモンスターは氣力に弱いのだろうか。ならゴブリンよりも相性がいい。

 這いつくばっているスケルトンの頭蓋骨を砕くと青い光が散り、集中していた魔力も霧散した。


 思い掛けないところでスケルトンの弱点を発見できたのでもう少し狩ってから帰ることにした。

 マップでスケルトンを検索しながら進んでいく。




『見つけた、生の力、操る者』




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