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半月さんはどうやら天才のようで

遅くなりました、しばらくぶりに書いたのでキャラ崩壊起こしてるかも……

 男は悩んでいた。 そしてそれと同時に驚いていた。


 男の通っている高校はそれなりの進学校だ、したがって宿題なんかも普通の高校に比べると、量も質も段違いになる。


 受験なんかでも分かるように、合格と不合格のラインというのはどんな学校であっても必ず1点の差であって。


 合格したものは、一点上の勉強を、不合格の者は一点下の勉強を、三年間続ける事となる。

 それはつまり、1×365×3、つまり1000以上の差がつく訳だ。


 一点でも、偏差値一の違いでも、IQ一の違いでも、それは世界の違いに等しい。


 つまり何が言いたいかというと、進学校に入った男は、成績は底辺ながらそれでも全体的にはかなり上の方だということだ。


 そして何故か、その俺よりも半月は頭が良い。


 それこそ「世界」が違う。


 それは男が二学期の中間のテストの、直しをしている時のこと。



「あれ……ここってどうやって解くんだ?」


 あれか? 嫌でもそれだとココが……、ていうかそもそも、高校二、三年時に部活動に専念しすぎたことが原因で、基礎すらままならない俺にこんなの解けるわけ……。


「どこー?」


 心の中で無意味な言い訳を続ける男に半月は近寄り問題を覗き見る。


「いや、学校にもいってないお前に解けるわけ……」


「一」


「え?」


「だからそこの答え、どう見ても一じゃない」


「嘘……」


 男は急いで答えの冊子をめくり、対応する問題の答えを見る。


「合ってる……なんで?勘?」


 男は全く信じられなかった。


 しかしその信じていない様子が半月にも伝わったようで、半月はムッとしながら男の問題の方だけを見て呟き始める。



「0、1、2、2分の3、27、5、1、……こんな所でどう?信じてもらえた?」


 正解している事が前提の話し方、これでもし不正解なんて事があったら笑えない。


「ふ、は、は……本当に笑えねーよ」


 疑う余地なく全問正解。


 大学入試センターの問題、答えの六分の一を、紙とペン無しで五分足らず……紛れもなく化け物だ。


 うちの学校、いや、この国ですら半月にかなう者など、いるわけが無いとすら思わせるほどの性能差。


 しかも説明を聞けばちゃんとわかりやすく解説もしてくれる。


 初歩的なことも分からずに的はずれな質問をする男の事を笑わずに、丁寧に教えた。


「なあ、なんでお前そんなに勉強できるんだ?」

 課題が一段落ついて二人で煎餅の袋を開けている時に男は聞いた。

「自分で言うのもあれだけど、俺結構頭いい方なんだけど?」

 すると相変わらずシャツ1枚の扇情的な格好を、している半月は笑いながら答えた。

「だって、私と君とじゃ生きてる時間が違うからね、そりゃ能力に差も出てくるさ。

 まあ、一言で言えば、その問題はもう解いた事があるってだけの話だよ」


 半笑いに呟いた半月の目は猫のそれでも人のそれでも無く、どこか悠久を感じさせる者の目をしていた。


 扇情的なその格好と、古くの縁を移すその瞳とのギャップは月の光に照らされ、まさに輝夜姫。 世界中の男を虜にしてもまだ飽きたらなかったその姿は、男の目にまるで一枚の絵のように鮮明に映し出され、記憶された。


 しかしそんな光景も、半月が瞬き一つし終わった頃には終わっていた。

 半月の瞳はいつものイタズラっぽく動き回る瞳になり、月は雲に隠れてしまった。


 残ったのは扇情的な格好の美少女、男は今更ながらに目をそらし、近いうちに女性用の服を買いに行く事を心に決めた。


 そしてそれと同時に他人の事を気にしている珍しい自分に驚いていた。

まだまだ終わる算段がつかない……こんな予定ではなかったのに……

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