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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第七章 アークパンドラ編

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第688話 朝日に染まる白銀と届かなかった破滅

 敵の発信機が止まった。カザフスタンの砂漠地帯に降りたようで、そこに何かがあるらしい。

 

 するとオオモリが、スマートフォンを確認しながら言う。


「旧ソ連時代の、軍事基地があるところですね。今はもう使われておらず、投棄されたようです」


「きなくせえな」


「ですね」


 シャーリーンが俺に聞いて来る。


「どうします?」


「直接降りてくれ」


「了解です。が、滑走路に明かりがありません」


「わかった。なんとかする」


 俺はハッチを開けて外に出て、飛行機の上によじ登る。風が髪の毛を全て後ろに流し、風には砂粒が混ざっているようだ。真っ暗な地表に、いくつかの明かりが見える。


「あれか」


 すると次の瞬間、暗い地表からミサイルが発射された。


「空接瞬斬」


 ミサイルを墜とす。すると今度は、機関銃の銃火が上がってきた。


「剛龍爆雷斬!」


 シューッ! と、火の玉が落ちていき、ミサイルと機関銃が発射された場所に落ちて、爆発を起こす。それによって、滑走路の位置がはっきりとわかった。


「炎蛇鬼走り」


 長く伸びた火の蛇が、地表に降りて行き滑走路に落ち伸びた。すると飛行機は一気に、下降し始める。シャーリーンが、滑走路を確認したのだろう。だがそこに再び、ミサイルが数発飛んで来る。


「ならば」


 俺はわざと引き寄せて、剣技を繰り出した。


「重推撃!」


 飛行機の近くで爆発を起こし、破片が飛んで来る。


「刺突閃! 二十連!」


 破片が当たらぬように、全てを墜とした。これで、一瞬、撃墜したように見えただろう。


 キュキュ!


 タイヤが地面に落ち、急速に減速していく。砲撃が飛んで来るが、そのすべてを剣技で落としていく。そちらの方向に、数台の戦車があった。


「剛隆爆雷斬!」


 シュッ! ドゴーン!!


 戦車の間に落ち、大きな爆発を起こして戦車が止まる。


「行くぜ」


 仲間たちが入り口から出て来て、次々に地上へと降りて来た。その間も攻撃が来ないかを見張りつつ、皆が降りたのを確認する。


「タケル! 後から来い! 縮地!」


 次の瞬間、俺は戦車や兵士の間に立っていた。


「冥王斬! 飛空円斬!」


 あたり一帯の戦闘車両と、兵士達を片っ端から斬っていく。すると、建物の方からも銃撃が来たので、再び剣技を繰り出した。


「影鴉縫」


 影から飛び出した剣技で、あたりが静まり返る。


「派手にやったな」


「ここは敵の基地なのだろう? 全員敵だと思ってな」


「ま、そうだな。遠慮はいらねえか」


 燃え盛る炎の中を、俺達は建物の方に向かった。


「捕まえるぞ」


 発信機が点滅している方向に走ると、突然ゾンビが現れる。


「お出ましだ」


「飛空円斬!」


 ゾンビを斬り落とすと、今度は大量の試験体の反応があった。屋根の上や各階のガラスを突き破って、次々に飛び出してくる。


「凄い量だ」


「核で焼かれた東京の時みたいね」


「屍人斬! 錐籾龍閃!!!」


 竜巻が巻き起こって、屍人斬が試験体たちを巻き込んで細切れにしていく。


「すっご!」


「一般人の被害を考えなくても良いからな」


「たしかにそうだな」


 俺達が突入していくと、次々に試験体が飛び出してきた。


「今までのところより、だいぶひでえな」


 俺の剣技で難なく斬り捨て、なにごとも無かったように廊下を突っ走る。


「こっちだ!」


 俺達が奥の部屋に到達すると、どうやらその扉の先に逃げ込んだようだった。


「冥王斬」


 壁ごと斬り捨てて、俺が中に突入すると銃撃が始まる。


「影鴉縫」


 一瞬にして銃撃が止まった。もちろん、対象の人間だけは殺していない。


「な、なんだ! 貴様ら……えっ? お前達は……」


「俺達を、知ってるのか?」


「ホテルにいた連中……」


 それを聞いた、クロサキが言う。


「あなた、よく私達を覚えていたわね……スパイ?」


 次の瞬間、そいつが動きそうだったので、そいつを羽交い絞めにして聞く。


「あのアタッシュケースは、他にもあるのか?」


「……」


「答えろ」


 すると、突然笑い出す。


「ククク……馬鹿め……もう手遅れなのだよ」


「どういうことだ」


「完成したのだ。究極のウイルスが」


「……」


 皆が苦い顔をしている中で、こいつだけ勝ち誇ったような顔をしてる。


「アビゲイル! 対抗薬を作ってみるがいい! 世界が終わるのと、薬が完成するのどちらが早いかな」


「げ、外道……」


「なんとでも言え。人間が世界を食いつぶすのが先か、あんたらが人類を救うのが先か」


「貴様……」


 俺がグイっと、締め付けると黙る。


「ぐっ」


 そこで、クキが聞く。


「あの駅で何をしていた?」


 俺が緩めると、深く息を吸い込む。


「すぅぅぅぅ」


「答えろ」


「さあてな。それを知ったところで、もはやどうにもならん」


「貴様……」


「頓挫していた計画が、また動き出したのだよ」


 なんだ? 


「ヘリコプターの音がするわ」


ツバサが言う。


「上か?」


 一瞬気が逸れた瞬間だった。


 プシュ! 天上から、紫の煙が噴射されてくる。それが男と、俺に直撃した。身体に一気に浸透して、俺が捕まえている男が痙攣をし始める。


「チッ!」


咄嗟に離れると、ブクブクと膨れ上がって来た。確かに、変化の速度が早すぎる。


「ギシャアアアア!」


 バケモノになった男が吠えて、俺が直ぐに日本刀を振るった。


「屍人! 乱波斬!」


 そいつは、ただの肉片に変わりバラバラになった。


 ミオが言う。


「ここに向かって、大勢の敵が集まってるわよ」


「そのようだ」


「もう一人はどこだ?」


 スマートフォンを確認して、オオモリが大きな声で言う。


「別棟です!」


「突破するぞ」


 俺が廊下から出ると、廊下の向こうから銃撃が始まる。金剛と結界で、全くの無傷だ。


「影鴉縫」


 影から生まれた刃で、ほとんどが死んだが、どうやら動き回っている奴がいるようだ。


「ゾンビ化兵もいる」


「邪魔だな」


「構わず走れ。俺が処分する」


走りながら次々に、ゾンビ化兵を殺し、俺達は通路を渡って別棟に辿り着いた。


「こっちです」


 俺達がそちらに進んで行くと、オオモリが言う。


「ここですね……」


 俺達は、発信機が点滅しているところについたがいない。


「ヘリコプターの音がするわ!」


「上だ!」


 俺達は階段を探し、一気に上に向かって走り込む。屋上の扉を開けるが、既にヘリコプターは飛び去った後だった。発信機の点滅が、どんどん遠ざかっている。


「追おう」


 その瞬間だった。


 ドオン!


 後ろの滑走路で、爆発が起きた。


「なんだ?」


「飛行機の方……」


 俺達が走って階段を降り、外に飛び出し、滑走路の方に行くと……。


「やられた」


「俺達が乗って来た飛行機が……」


 飛行機が爆破されていた。


「こんな砂漠の真ん中で……」


「飛べるのがないか探すしかない……」


 燃え盛る火の光を浴びていると、俺の気配感知に、あちこちから試験体の気配が伝わってきた。


「試験体だらけだ……。このあたり全域にいる」


「くそ! 罠だ! おびき寄せられたんだ! 俺達は」


「一カ所に固まれ。俺の後ろに」


 俺の爆雷斬で燃えた、車両や建物の中から次々に試験体が現れ始めた。


「ぜーんぶ、試験体にしやがったのか……」


「僕達が追って来るのを知ってた?」


「かもしれねえな」


「問題ない。完全に人間の気配がないからな。奥義が使える」


「そうか」


「レベル解放! 屍人斬! 白銀世界!」


 ジャ!


  一瞬だった。基地から砂漠にかけ、億の槍が地面から飛び出して真白に染める。暗闇で見えないが、既にゾンビ化兵も試験体も人間の兵士も消滅する。


 俺が放った爆雷斬の炎も消えたところで、次第に風が強まってくる。


「砂嵐だ」


 クキが言う。


「まずは建物の中に行きましょう」


 俺達が建物に入ると、突然ガラスがガタガタ鳴り出し隙間から風が吹き込んで来る。俺達はひとまず、砂嵐をやり過ごす事にした。


「砂嵐の影響で電波も遮断されてますね。何も聞こえません」


「そうか……」


 砂嵐が収まって来ると、外が明るくなってくる。


「陽が昇るな」


「脱出方法を探さなくてはな」


 俺達が外に出ると、俺の白銀世界で真っ白になった砂漠が、朝日を浴びてキラキラとし始める。


「通信をロストしてます……まずは通信を繋げたいですね」


「機械を探すか?」


 そして俺達は再び施設に入り込んで、通信機器を探し始める。探していると、衛星通信の機械があり、マナが操作してオオモリが端末を繋げる。


「どうだ?」


「まってください」


 操作していると……小さな画面に映ったのは、あるニュースだった。


 タケルが悔しそうに言う。


「マジかよ……」


「列車が暴走……」


 そこには、モスクワ行きの列車が暴走したというニュースが映り出す。


「やっぱり、仕掛けてやがったのか」


 だが、ここからではどうする事も出来なかった。


「どうしよう……ヒカル……」


「……そうだな。まずはイライジャの居場所を特定するしかない」


 もう、列車はどうする事も出来ない。ならば、手がかりを追うしかないのだ。


「なら、動くのがないか探すぞ」


「そうね」


 そして俺達は、死骸の転がる建物を抜け出し、誰もが口を開く事も無く、絶望的な状況をどうするか、途方に暮れながら格納庫らしき場所に向けて歩きだすのだった。

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