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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第七章 アークパンドラ編

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第686話 死のアタッシュケース。同時テロと神速討伐

 四方に向かった敵を追う仲間達は、スマートフォンを通じて連絡し合っていた。俺は雨が降り注ぐビルの屋上で、そのやりとりを聞いている。


「こっちは繁華街だ。ショッピングセンター」


 タケルが言い、違う場所にいるミナミが答える。


「こちらは……なんかのホールだわ……クラシックかしら?」


「こちら美桜。ダンスクラブよ」


「僕の方は……大聖堂です」


 スマートフォンからは騒音が鳴り響き、それぞれが現状を伝えてきた。


「発信機は動いてない、敵はまだ中にいるぞ」


「ああ、こっちは歩いている」


「こちらは、席をとっていたみたいで、クラシックを聞いているわ」


「こっちは、客に混ざってお酒を飲んでいる」


「こっちは、ミサに参加していますね」


 なんだ? 何がある?


「いや、出ていくみたいだな」


「こっちもよ。出て来たわ」


「こちらもだわ」


「僕の方もですね」


 そこで、クロサキが言った。


「アタッシュケースを持ってません!」


「「「こっちも!」」」


 それを聞いて、クキが一斉に皆に言う。


「アタッシュケースを確保しろ! テロだ!」


 そこで全員が、気が付いてしまう。雑踏に紛れる音が聞こえた、次の瞬間だった。


「紫の煙が噴き出てる!」


「こちらもだわ!」


「こっちも!」


「こっちもです!」


 どうやら、あのアタッシュケースには仕掛けがあったようだ。俺の気配感知では感じ取れなかったが、何か特殊な素材で出来ていたのかもしれない。


「やべえ! どんどん変わってく!」


「人間が血を噴き出してるわ!」


「ぐちゃぐちゃに崩れて!」


「し、神父が!」


 俺が張り巡らせていた、気配感知にも次々と試験体の気配が伝わってくる。


「すぐに離れろ!」


 俺はビルの縁まで走り、一番近くのミオのところに飛ぶ。慌てふためいた人達があふれ出しており、そこにミオとマナとアビゲイルがいた。


「ヒカル!」


「中は!?」


「人がいきなり、試験体に変わったわ!」


「くそ」


 すると、アビゲイルが言う。


「ヒカル。物凄い早さの変化です! 以前までのものとは比較になりません!」


「わかった」


 そして俺が中に入って行くと、そこは既に死体とバケモノの山になっていた。人間と人間が融合して、試験体として生まれ変わっている。アビゲイルの言うように、今までとは変化の速度が違うようだ。


「屍人、真空龍閃!!」


 ダンスホールを、かまいたちの刃を纏った風の蛇がうねるように走り、次々に試験体を仕留めていく。だが、その部屋だけに限らず、空調を伝ってビルにいき渡ってしまったようだ。


「屍人斬! 鴉影縫!」


 他の部屋にいる試験体も、全て倒す。俺はすぐに外に飛び出し、アビゲイルに聞いた。


「かなり早い。しかも、他の部屋にも全て感染していた」


「かなり強力なようです。進行速度が早すぎる! 拡散しやすく作られています!」


「ここは押さえたが、拡大する可能性がある。とにかく、離れろ!」


 そして俺はすぐに、その場を離れる。急いでミナミのところに行くと、大きなホールの中は既に試験体だらけになっていた。逃げ惑う人々も、次々襲われて試験体に変わっていく。


「これは……」


 外に出てきたゾンビたちは、人間など比べ物にならない身体能力で走り、人間を次々に襲っていった。その中で、試験体を相手にミナミが斬り続けているが、再生されて追いつかない。ツバサとシャーリーンが銃で応戦しているが、効くはずも無かった。


「思考加速! レベル百解放!」


 生きている人間の間を縫いながら、試験体を殺すしかなかった。


「屍人、乱波斬!」


 次々にバラバラにしていき、外に出たものは全て片付ける。


「ミナミ! 二人を連れて、ミオ達と合流しろ」


「わかった」


 クラシックのホールに入ると既に試験体だらけとなっており、死体と肉片がそこらに飛び散っている。何体もの人間が繋がったような物と、頭が体中から生えている人間がいる。もはや人間に戻る事はない、異形の怪物たち。


「屍人、大地旋風斬!」


 備え付けの席が爆発したように飛び、館内に竜巻が巻き起こる。細切れになりながら試験体が飛ぶが、やはりここでも他の部屋に試験体が散らばっていた。


「屍人、鴉影縫!」


 夜で良かった。鴉影縫で余すことなく処理が出来た。すぐさま外に飛び出し、クキとオオモリのところに向かう


「ヒカルさん!」


「来たか!」


「どうだ?」


「どうもこうもない! 礼拝していた人間が、いきなりとんでもない化物になった。いきなり融合して、どんどん巨大化している!」


「わかった!」


 礼拝堂に入ると、クキが言うように五メートルはあろうかという筋肉のバケモノがいた。そいつは巨大な十字架を手にして、こちらを睨んでいる。


「縮地」


 すぐにそいつの股の間に滑り込み、背後から剣技を繰り出した。


「屍人、炎龍鬼斬!」


 幾筋もの剣筋が入り、燃え上がりながら死んでいった。そしてそれ以外にも、数体の試験体がいる。


「屍人、飛空円斬!」


 見える範囲の試験体が、崩れ落ちるようにしていく。


「屍人、鴉影縫!」


 隠れた奴らを消滅させると、外に出てクキに言う。


「試験体は全て駆除した。なかで、トランクを一つ回収した」


 中に落ちていたトランクをクキに預けて、俺はすぐにタケルのところに向かう。ショッピングセンターのようで、逃げ惑う人を試験体が追い回していた。


「ここもか」


 俺はコマネズミにのように走り回って、ひとつひとつ殺して言った。そして更に大きな試験体の気配がするショッピングセンターに入って行くと、そこら中に死体が転がり、中から戦闘音が聞こえる。


 ドン! ドゴン!


 そこにエイブラハムとクロサキがいた。


「どうなってる?」


「外に出ないように、タケルが食い止めておる!」


 さらに館内に走ると、そこには更に巨大なタコの様なへらべったい物体がいる。その触手が暴れ回り、タケルが必死に避けながらそれをぶっ叩いていた。


「タケル!」


「おう! コイツが外に出ねえように何とか食い止めた!」


「任せろ!」


 そいつの体はかなり広がっており、もしかすると分散するかもしれなかった。


「重力天雷斬!」


 ズン!


 そいつの体全体を、重力で押しつぶして床に押し付ける。


「神威零域!」


 一瞬で吸収されるように、無の世界へと吸収される。


「残った細かいのを潰すぞ」


「おっけ」


 一番最後に来たため、あちこちに試験体が散らばってしまった。


 パン! パン!


 クロサキと、エイブラハムが銃を撃って応戦しているが、全くびくともしない。


「屍人、刺突閃! 十連!」


「おお。助かったのじゃ!」


「タケル! 二人を守れ!」


「おうよ!」


 俺は更にレベルを開放した。


「レベル三百解放!」


ドン!


「気配探知拡大! 超思考加速!」


 周りが止まった。瞬時に動き出し、広範囲に広がってしまった、巨大試験体を次々に刈り取っていく。超スピードで動き回り、試験体が気づく前に殺していった。六十秒の間に全ての試験体を駆除した俺は、タケル達のところに戻って来る。


「どうなった?」


「周辺の試験体は倒した。だが、この後どうなるかは、アビゲイルに聞かないと分からん」


「それじゃあ、孫のところに合流するのじゃ」


 俺達は、スマートフォンを頼りに皆の元に合流する。


「ヒカル!」


「みんな無事か?」


「無事よ」


「アビゲイル。あれは何だ?」


「かなり即効性のある、試験体製造薬としか言いようがないです。あの速度で拡大されたら、軍隊では、ひとたまりもないでしょうね。大がかりな機器を必要としないようです」


 そして、クキが持ってきたアタッシュケースを壊して開いていた。


「時限式の噴霧器だな。試験体製造薬がここに入っていて、自動で拡散されたんだ」


「こんなに小型化したのか……」


「そのようだ」


 それを見て、クロサキが言う。


「これでは……テロを止めようがありません」


 皆が、沈黙した。これが世界に持ち出されて、あちこちで使われてしまったら一気に崩壊するだろう。それは、通常のゾンビの拡散速度とは比べ物にならない。


「こんなものを作ってしまったなんて……」


「敵は? まだ追えるか?」


 俺が聞くと、オオモリが頷いた。


「まだ、発信機に気が付いていないようです」


「追うぞ」


「ただ、二つに分かれていますね」


「こっちも分かれて追うか? ヒカル?」


「いや、別れるのは危険だ。どちらかだ


 そこで、クキが言う。


「これは……駅じゃないか?」


「そのようですね」


「アタッシュケースが四つだけとは限らん。多くを救うとなれば、こちらが優先だろう」


「よし。決まりだ」


 そしてタケルが言う。


「イライジャ。って奴は、どうなったんだ?」


「わかりません。意識体はそこまでは追えてないようです」


「ここに来てるかもしれねえんだろ?」


 するとそこで、ツバサが言う。


「こんな夜に、ヘリが飛んでる」


 すると次第に、ヘリコプターの音が大きくなった。


「どうする? 仕留めるか?」


「いや……イライジャとは限らんぞ」


 確かにそうだ。一般人を墜とすわけにはいかない。


「駅に急ごう」


 そうして俺達は、急いで駅の方面に走るのだった。

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