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【第9章|第10章】
第九章:身体がつく、「嘘」
休職に入って三日目のことだった。
「休職に入ると、あんなに痛かったのが嘘みたいに消えるから、『手術はやめようかな』なんて思うようになるかもしれませんよ」
かかりつけ医にそう言われた時は、「まさか、そんな馬鹿な」と内心鼻で笑っていた。
毎日、一万五千歩以上も歩き、八時間立ち続けていた私の足。
常に芯を抉るような激痛が走り、痛み止めなしでは一日が始まらなかったのだ。それが数日で消えるはずがない。
……そう思っていたのに。
第十章:三日目の静寂
三日目の午後、私はふと、自分の異変に気づいた。
「……痛み止め、飲んでない」
あんなに重く、刺すようだった股関節の痛みが、霧が晴れるように静まっている。
立ち上がっても、歩き出しても、あの「ズキッ」という衝撃がやってこない。
一日中、身体を酷使すること。
そして、絶え間ないストレスに晒されること。
それらがどれほど私の股関節を、そして心を締め付けていたのか。
痛みが引いたことで、逆に自分の置かれていた過酷な環境が浮き彫りになった。




