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【第3章|第4章】
第三章:QOLという選択
レントゲンを撮り、可動域を確認する。
「座る、寝るなどの動き出しが辛い」
「股関節の痛みで眠れない」
「足の爪が切れない」
「湯船の出入りが怖い」
「車の運転席に座るだけで激痛が走る」
日常の当たり前が、一つずつ削り取られていく。
医師は私の話を聞き、静かに告げた。
「痛みでできないことが増えている。QOLの観点からも、手術の必要性は十分にあるでしょう」
幸い、骨の変形はまだ初期で、年齢的にも手術の成功率は高いという。その場で休職のための診断書を書いてもらい、私は翌日、会社へ提出した。
第四章:予想外のハードル
よし、これで道は開けた。そう思った矢先、医師から意外な言葉が返ってきた。
「手術をする病院は、自分で探して決めてくださいね」
病院同士のコネクションで「次はここへ行きなさい」と指示されるものだと思い込んでいた私は、思わず「あれ?」と心の中で声を漏らした。
目的地(手術)は決まった。けれど、どの船に乗るかは自分で決めなければならない。
私は家に帰り、かつて母の時にはなかった強力な武器──AI──に問いかけた。
(本当に、便利な世の中になったものだ……)




