闇の神ルシオン
目の前にはマリアに剣を向けるフィリップ様の姿。
私は座りこんでしまったマリアの前に立つ。
その前にサッとアレク様とコーリ様。
フィリップ様の後ろには銀髪の男性がいた。
少しコーリ様に似てるような…。
「お前は…。」
「ライジン伯爵お久しぶりですね。」
「目の色がアステルと同じ色。魔力も同じ。」
「あなたが無理矢理妾としたにも関わらず私が目の見えないと知ると母と私を追い出したのはあなたです。しかも呪いもかけて母を苦しめた。私はあなたを許しません。」
コーリ様がこの人の息子?
「あなたは私のお義兄様?」
呟くようにそう言うのはマリア。
てことは、この人がマリアのお母様を追い出した人。
「さすがは我が息子よ。母親の魔力を受け継ぐとは。銀色の魔力と白の魔力。さすがは我が愛しき子供達よ。」
狂気の満ちた顔でそう言う。
「ライジン伯爵、あなたは何をなさっているのかわかっていらっしゃるんですよね?」
「これは王太子殿下。勿論です。あなたを殺し王国を滅亡させ、私が新たな国王となります。この二人の子供達がいればそれも容易いでしょう。虹の魔力を持つものはお優しいですからこの二人を殺すことはできないでしょうし。」
「王太子殿下もマリアもコーリ様も私が守ります。あなたなんかに渡しません。」
とにかくとりあえずフィリップ様を元に戻さなきゃ。
剣の力は1流。
お兄様と互角なんて王太子殿下でも危ない。
それに魔法で強化されているだろうから。
私はここのいる人達へ虹色の加護を祈り、そして浄化を祈る。
その瞬間コーリ様は銀色に光ると防御壁を作ってくれた。
「なんだこれは…。」
驚いたように声を上げるライジン伯爵。
フィリップ様が一瞬顔をしかめる。
「マリア!フィリップ様に声をかけて。あなたの声ならきっと届くから。心から祈って呼び続けて。」
私の言葉に頷くとマリアから桃色の花びらがあたり一面に広がったと思うとフィリップ様を包む。
「フィリップ様!どうか正気に戻って!」
フィリップ様に駆け寄るマリア。
キラッと光った物が目に入り。
私はマリアを庇うように二人の間に入った。
間に合った…。
私は目をつぶる。
グサッという音の代わりにカキーンという音が響いた。
「アレク様。」
「私の大事な人を傷つける奴は許さない。」
そう言ったアレク様が黄金に光ってる。
聖獣マーベラス様がその隣で黄金光ってると思うと精霊達が私とマリアの周りにきて
「リラからの力を送るよ。」
「みんなからの力。」
「みんな信じてるって。」
「王宮中のみんなが祈ってる。」
「僕らもみんなを助けるよ。」
そう言うと精霊達が黄金に光る。
「闇の力も聖なる力もこの世には必要な物。だけどそれを自分の私利私欲の為に使うなど言語道断だ。その為に何人の人を犠牲にした。正しき心を持つものに継承していくものであり、私利私欲で動くものに継承していくべきものではない。私は王太子の名にかけてお前を倒し、正しき者へと継承させる。」
アレク様の言葉に私は頷く。
私はアレク様の手を握り、魔力を注ぐ。
コーリ様はマリアの手を取り、
「我が義妹よ。私と共に悪しき者を断罪し、愛するものを救おう。」
「はい!」
マリアも立ち上がり、力強い瞳でまっすぐフィリップ様を見る。
マリアとコーリ様の力が強くなっているのを感じる。
「愚か者どもが。」
ライジン伯爵がそう言うとどす黒い闇が辺りを覆う。
これってマリアと会った闇の中だ。
ぎゅっと私の手を握るアレク様。
「リシェル。大丈夫か?」
「はい。今浄化をしますね。」
私はそう言ってあたり一面に浄化をする。
ぱっとあたりが光る。
その中にコーリ様とマリアが倒れていた。
なんで二人とも。
私達は駆け寄ると
「闇の力が私の中に入り込もうとする。」
「私もです。」
コーリ様もマリアも苦しそうにそう言う。
私は二人の手を握り
「正しき心を持つ二人であれば大丈夫です。アレク様も言ってました。正しき心を持つものに継承させていきたいと。悪しき心を持つものに持たせたままではだめだと思う。悪しき心が芽生えて悪しき道に行こうとするならば全力で私が止めます。だから安心して取り込んで。」
そして私は二人にそっと加護を与える。
二人ならきっと大丈夫。
「闇の力よ。正しき道を知る二人に力を。そして契約を。闇の神ルシオン様。」
その言葉を発した瞬間あたりがキラキラと光った。
そして龍に乗った銀髪の深い緑の瞳のどこかコーリ様に似た人がでてきた。




