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笑顔でいたい  作者: すのーきゃっと
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父親と愛する人との対峙〜マリアside〜

異変が起きたのはいつからだろう。

お姉様と会ってからそう日はたってなかったはず。

はずというのはもう記憶が曖昧だったから。

開けてはいけない玄関を外の様子を伺ってくるといった護衛騎士が開けてしまってすべてが変わった。

私以外のみんな。


徐々に他の人たちを蝕んでいった強力な瘴気。

私は浄化の力があるとお姉様から聞いたのを思い出して祈りを捧げた。

ピンクの花びらがぱぁっと舞って、あたり一面桃色に輝いたと思うと黒いもやがその周辺だけなくなった。

心なしか重い空気が澄んだ気がした。


「マリア大丈夫か?」

部屋にフィリップ様が入ってくる。

少し黒いもやに覆われてるような気がして、フィリップ様の手を取り瘴気が払われるように祈る。

そしてピンクの花びらに包まれたと思うと黒いもやは消え去っていた。


「体が軽い。さっきまで体が重く頭も重かったのに。」

フィリップ様が驚いたように私を見ると

「浄化の魔法です。お姉様ほどではありませんが浄化の魔法で少しはお役に立てそうです。」

私がニッコリ笑うとフィリップ様も嬉しそうに笑って

「助かるよ。マリア。」

そう言って私のおでこにキスをしてくれたフィリップ様。


でも、今私の目の前にいるのは…。

真っ黒な闇に包まれた目も虚ろなフィリップ様。

そしてその隣には先程戸が叩かれて開けて入ってきた人。

私の実の父親だという。

ライジン伯爵。

白髪混じりだけど白銀の髪。

紅い瞳は右側だけで左側は眼帯で隠れていた。

黒いもやに包まれているその人は…。

「マリア!我が娘よ!聖女の力を手に入れるとは。それに白き力も手に入れてるようだな。さすが我が娘よ。」

そういうと私を抱きしめようとした。

咄嗟に私は避けた。

「私の父親はマルチネス公爵のお父様おひとりです。あなたなんて知りません。」

「そのマルチネス公爵のご令嬢から婚約者を奪ったようじゃないか。あのマルチネスの顔を見たかった。」

そう言って高らかと笑うライジン伯爵。

隣の目の虚ろなフィリップ様。


「あー。お前の婚約者のようだな。優秀な男のようで私を咄嗟に斬ろうとしたので少々魔法をかけさせてもらった。」

私はかけよってフィリップ様の手を取り、浄化を祈る。

でも何度やっても無効化されてしまう。

それどころか魔力の消費量が半端ない。

そして、フィリップ様の目がキラッと光ったと思うと剣に手をかける。

私は慌てて二人と距離をとった。


「見事な魔力だ。あれだけの力を使っても尽きぬとは。我が一族の力を継ぐのに相応しい。」

にやりと笑うライジン伯爵。

「我が一族の魔力?」

「闇に通ずる魔力だ。お前は闇と聖を両方受け継ぐ娘。息子達は受け継ぐことがなかった力がお前に受け継がれていたとは。あの女にしては良くやった。」

そう言ってまた嫌な笑い方をする。

「闇の力は一定の制約が必要だ。闇の神ルシオン様との契約だ。」

「そんな契約しません。」

「お前に選択権などない。」

「…。」

「さあ、こちらへ来い。この世界を我らで支配仕様ではないか…。」

そう言って笑う実の父親の顔が悪魔にしか見えなかった。

優しかったマルチネスのお父様とお母様、そしてお兄様とお姉様の顔が思い浮かんだ。

お父様の最後の言葉。

『私の嫌いなライジン伯爵の娘だということを。』

私も実の父親だとしてもこの人が嫌い。

「フィリップ様をもとに戻してもらいます。」

「言うことを聞かないということか。あの女の娘だな。お前の母親も私の言うことを聞かなかった。だから呪いをかけたんだ。誰もわからなかったようだがな。急に体が弱くなったようにみせてたんだ。」

!!!

「実のお母様を殺したのはあなただったの?病死ではなかってんですか?」

「そうだ。無駄話はここまでだ。実力行使といこうではないか。」

そう言うと何か唱えていた。

その瞬間剣を抜くフィリップ様。

「フィリップ様!?」

「いくらお前が叫ぼうとも呼ぼうともお前の愛しい婚約者はわれの声しか反応せぬわ。」

そう言うと

「この女を捕まえよ!だが痛めつける程度で殺すな!我愛しき娘だからな。」

そう言って高らかと笑う。

フィリップ様がジリジリと私の方へ向かってくる。

私もあとずさりする。

壁際に追いやられてしまった。


「フィリップ様。マリアです!気づいて!マリアです!」

でも私の声は届かない。

虚ろな瞳で私へ剣を向ける。


「お姉様、助けて!お願い!」


『助けるから。』

確かにお姉様の声が聞こえたから私は信じる。

お姉様は私に優しいから。

お姉様は絶対に約束守るから。

だからきっと…。


そう思った瞬間、あたり一面がぱぁっと光った。

そしてその光の中にキラキラ光るお姉様と王太子殿下、それに銀色の髪の綺麗な男の人がたっていたの。


「お姉様…。」

そう言うと私はへなへなと座りこんでしまった。


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