テントの中の出来事
キルフィスに向かう馬車の中。
アレク様と二人きり。
何かにつけて気遣ってくれる。
「少し揺れが強いが体調はわるくはなってないか。」
「寒くはないか。」
「お腹はすかないか。」
「頬が少し赤いが暑いのなら少し空気を入れ替えようか。」
等々私が気遣う前にそう聞いてくる。
頬が少し赤いのはアレク様がずっと隣にいて揺れるたびに私を抱き寄せて自分をクッション代わりにしてくれるからで…。
本当に気づいてないのかわざとなのか…。
私達は持参した古い文献を馬車の中でも読んでいたり、使えそうな魔法を試したりしていた。
ガタガタと揺れる馬車の中で本を読んでいたら気分が悪くなってきた。
馬車酔いをしてしまったのかもしれない。
情けない。
でも、そんな事言えないし…。
「少し休みます。」
そう言って目をつぶるけどどんどん気分が悪くなっていく。
「馬車を止めてくれ。」
アレク様が急にそう言う。
「湖がある。少し外の空気を吸おう。」
そう言うと私を外に連れ出してくれる。
私を支えるように湖のほとりまで連れて行ってくれたアレク様。
「冷たいお絞りと飲み物を。リシェル大丈夫か?」
そう聞いてくれるけど気持ち悪さが限界で頷くしかできない。
そんな様子を見て、アレク様は私を軽々と抱きあげる。
「あ、アレク様…。」
「もう少しで簡易的だがテントができる。そこで休もう。魔法騎士が防御魔法もかけてくれるからゆっくり休める。」
「申し訳ありません。」
「いや。私がもう少し気をつけてれば良かった。すまない。」
「アレク様、テントの準備ができました。中でお休みください。」
「あぁ。ありがとう。」
そう言うとアレク様は私を抱きかかえたままテントの中に入っていくと簡易ベッドというには立派なベッドの上へ私を寝かせてくれた。
「ゆっくりお休み。」
そう言うと私の頭に冷たいタオルをおいて、飲み物の準備をして少し離れた場所でまた文献を読みだした。
横になって冷たいタオルが気持ちよくてウトウトしてきた。
タオルが冷たくて気持ちいい。
頬にも何か冷たいものが触れている。
「リシェル…。」
アレク様?
アレク様の手…優しくて気持ちいい。
そしてそのまま眠りに落ちてしまったんだ。
その手を握りしめて眠ってしまったなんて思いもしなかった。
〜〜〜アレクside↓
思わずリシェルの頬に触れてしまった。
タオルを変えるだけのはずだったのにリシェルを見ていたら触れたくなった。
頬は柔らかくていつまでも触っていたくなった。
可愛いすぎる。
少し苦しそうなリシェル。
でも、さっきよりは顔色も良くなってきている。
頬にも赤みがさしてきた。
リシェルの柔らかな頬を触るとリシェルの手が私の手を握る。
「リシェル?」
「気持ちいい…。」
「起きてるのか?」
私の問いに答えることなくスーっと寝息が聞こえてきた。
リシェルの手が私の手を握ってる。
思わずチュッとリシェルにキスをしてしまった。
唇にするわけにもいかず手の甲に。
寝てるリシェルにそんな事するわけにはいかない。
私の想いは少しは届いてるといいが…。
リシェルの手の甲にもう一度願いを込めてキスをする。
どうかリシェルに私の想いが少しでも届きますように。
私はリシェルの手をそっと外すとまた文献を読み始めたんだ。




