若旦那ストーリー5
玄:いやー、あのハンバーガー屋さん、昔と店の中は全然変わってなくて懐かしかったけど、メニューはかなり変わったよね
亜依子:そうね、あの時玄くんと食べた照り焼きバーガーがなかったのが残念だったわ
玄:亜依子ちゃんあの時食べたものまで覚えてるんだ
亜依子:もちろんよ
玄:あ、公園だ。ちょっと入ってみようか
亜依子:うん
玄:高3の時に2人でここにいたところを碧に見られてたらしいんだ。その当時は何も言ってなかったのに、この前初めて聞かされたよ
亜依子:そうなの!?文化祭の準備で遅くなった帰りに寄った時よね
玄:亜依子ちゃんそれも覚えてるの?
亜依子:もちろんよ。はっきり覚えてるわ
玄:はっきり?
亜依子:あの時夕焼けを見ながらベンチに座って、もしかして玄くんに告白されるのかなって思っちゃった。でも普通に話しただけだったから、あーあって思ったのをよく覚えてる
玄:え!?
亜依子:でもいいの。いい思い出よ
玄:…亜依子ちゃん
亜依子:なあに?
玄:…
亜依子:…
玄:…亜依子ちゃん。あの時はただただ勇気がなくて言えなかった。でも今は、僕は曽祖父の代から4代続く製茶会社を継いでるし、亜依子ちゃんは由緒ある呉服店の長女だし、お互い背負ってるものが大きくて、ますます気持ちを伝えることが難しくなってる。いつの間にかこんなに経ってしまった…
亜依子:…
玄:でも亜依子ちゃん、今、言うよ。僕と付き合ってほしい。これからの僕との将来のことを考えてほしい。軽々しい気持ちで言っているんじゃないのをわかってほしい
亜依子:…
玄:…
亜依子:玄くん。ありがとう
玄:いや、え、なんで泣くの!?
亜依子:やっと言ってくれた。13年間ずっと待ってた
玄:え?亜依子ちゃん…!?
亜依子:玄くん。こちらこそ、これからもずっとよろしくお願いします
玄:亜依子ちゃん…ありがとう。ああ、本当に、ありがとう…!あ、いやでも、家のことは?
亜依子:そうね、両親ともよく相談しないといけないけど、実は妹が3年前に結婚して、婿養子の形なの。旦那さんは職人さん兼和裁デザイナーだから、将来はそのまま家業を継いでくれると思う。だから私がお嫁に行ってもきっと大丈夫。…って!やだ私!お嫁に行くなんて!玄くんそんなこと言ってないのに、ごめんなさい!
玄:いやいや、もちろん最初からそのつもりで申し込んでるよ。だから家のこと、背負っているもののことも言ったんだよ。あ、遠回しだったかな?ごめん
亜依子:(赤)
玄:じゃ、もう一度、ちゃんと言うよ。亜依子ちゃん、僕と結婚してください
亜依子:…はい。よろしくお願いします(赤)
オマケ
亜依子:ねえ、玄くん。13年前に座ってたあのベンチに座らない?
玄:ああ、あそこのベンチ?うん
(玄、ハンカチを敷く)
亜依子:ねえ、玄くん。ここでもう一度さっきの言って
玄:うん、わかった。亜依子ちゃん。僕と結婚してください
亜依子:はい♡
(♡っ)
この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶の銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。




