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新生ワッフル店小春庵の日常  作者: 小春庵


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26/49

クリスマス準備

11月後半になった。


小春庵の今日のスタッフは、早番が麗花、中番が真凛、遅番が初響だ。


13時半に初響が出勤してきた。

「おはようございます」


「おはよう初響ちゃん」


見ると初響は手に大きい紙袋を持っている。


「あらどうしたの?その荷物」


「クリスマスの飾りです」


春子が厨房から出てきた。


「初響ちゃんおはよう。ありがとう、買ってきてくれて」


春子は紙袋の中身を見る。


「わあ、素敵」


それは小さな木製のクリスマスツリーだった。


「今まで小春庵はクリスマスの飾りってしたことなかったの。古民家には洋風のツリーは合わないかなって。でも初響ちゃんが、木製の何も飾りのついていないツリーなら合うかもって教えてくれたのよ」


「確かに、こういうシンプルなものだったら違和感ないですね。小さいからカウンター席の端っことかに置けるかも」


「あの、あともう1つ」


初響が小さい声で言う。


「これ、木製のアドベントカレンダーなんです」


それは1から25までの数字がそれぞれに書かれた小さい引き出しが25個ある、木製のピラミッド型の飾りだった。


「12月に入ったら、1日に1つずつ引き出しを開けていって、中に入ってるアメとかを食べながら、クリスマスを楽しみに待つものなんです。家だと中身はお母さんが内緒で入れておくので、子供は何が入ってるかは知らなくて、翌日また開けるのを楽しみに待つんです。このツリーと同じシリーズで、可愛かったから買っちゃいました」


「それはいいわね!クリスマスまで毎日がすごく楽しみになるし、見た目もツリーとアドベントカレンダーがバランス良くて、すごくおしゃれね」


「わぁ、こういうの保育園にも置いてました。中身は折り紙で作ったりして。懐かしいなぁ」


「クリスマス楽しみになってきましたね」


みんな大喜びで、初響も嬉しそうだ。


「春子さん、これレシートとお釣りです」


「初響ちゃんありがとう。いいお買い物してくれたわ。さ、飾って初響ちゃんに写真を撮ってもらわなきゃね」


クリスマスはまだ1ヶ月以上先だが、みんなワクワクしてきた。


「それじゃあ私はお先に失礼しますね」

麗花が退勤ボタンを押してエプロンを外す。


真凛が、

「そう言えば麗花さんジムはあれからどうなんですか?噂ではパリとニューヨークに行ったって聞きましたけど」


「その後ゴールドコーストにも行ったわ」


「へぇー。その後は?」


「…」


「あれ?3回だけですか?」


「一応あと1枚残ってるんだけどね、ちょっとその後は…」


「うわ、まさかの三日坊主ですか!?キャハハ!」


真凛はお腹を抱えて笑った。


「もう!真凛ちゃん!」


「いやー、でも麗花さんがムキムキにならなくて安心しました」


「もう、真凛ちゃんひどいわ。ねぇ、初響ちゃん!」


麗花は頬を膨らませて初響の腕を取り、初響も笑って小さくうなずく。


「もう。じゃ、お先に失礼しますね。初響ちゃん、飾りと撮影がんばってね」


麗花は初響に手を振り、真凛には

「べぇー!」

として、2階のスタッフルームに向かった。


真凛はまだ笑いながら、麗花に手を振った。


翌週、華が出勤してくると、カウンター席の両端には小さなツリーとアドベントカレンダーがそれぞれ置いてあった。


「わぁ、可愛い!」


蘭が、

「それ、初響ちゃんのチョイスなんですって。シンプルでおしゃれで、小春庵の雰囲気に合ってるわよね」


華はアドベントカレンダーの引き出しを開けてみる。


「中は空っぽなんですね」


「春子さんが中身のことまだ考え中らしくて。とりあえず飾ってるのよ」

華はしばらく黙って考える。


「私、作ってもいいでしょうか」


「あ、もしかして、羊毛フェルト?」


「はい。春子さん!」


華は厨房の方を振り返る。


春子は手を拭きながら出てきて、

「華ちゃん何かひらめいたの?」


「ひらめいたってほどではないですけど、この引き出しに入るくらいの、めちゃくちゃ小さいクリスマスツリーとか、サンタさんとか、ミニ靴下とか、そういうのを1個ずつ入れていったらどうかなって。きっとお客様のお子さん、開けてみたりするでしょう?いろんなものが1つずつ入ってたら楽しいですよね」


「素敵!」

春子と蘭は手を叩く。


「でも、25個も作るの大変よね」


「がんばって作って、1日の引き出しから順番に入れていくことにします。後ろの方はちょっと遅れるかもしれないですけど」


「アドベントカレンダーの意味を知ってるお客様なら、後ろの方はまだまだ開けないかもしれないですよね」


「じゃあ久しぶりに華ちゃんの羊毛フェルトお願いすることにしましょうか」


「はい!任せてください!」


「可愛すぎて持って行かれちゃったら困るわね」


「小春庵のお客様はそんなことしないですよー。でももし欲しいって泣くお子さんがいたらあげてもいいですよね。ちょっと多めに作ります!」


「ありがとう華ちゃん、助かるわ」

この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶やフルーツの銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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