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新生ワッフル店小春庵の日常  作者: 小春庵


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20/49

リニューアル完成

9月17日木曜日。

明日の小春庵リニューアルオープンに向けて、スタッフ一同準備をする日だ。


春子は朝早くから来て窓を全開にする。


厨房で1人であれこれと作業をしていると、ドアが開き、サカちゃんが来た。


「おはよう、昨日はありがとう」


「こちらこそ。楽しかったわ」


牛乳や生クリーム、バター、ヨーグルトなどを受け取る。


「冷蔵庫空っぽにしすぎて困ってたのよ。これで安心だわ」


「良かった。あと、これは私からのリニューアルのお祝い」


「えっ何?」


「プレミアムソーセージよ」


「わぁ、美味しそう!ありがとう。早速使わせていただくわね」


「じゃ、リニューアル準備がんばってねね」


サカちゃんが去り、冷蔵庫に納品物を入れていると、駐車場に車が2台止まり、煎と真凛、そして佐藤夫妻がそれぞれ降りて来るのが見えた。


「おはようございます」


「今日はよろしくお願いします」


「楽しみですねー」


そこへ蘭と華も到着し、店内は賑やかになる。


みんな新しい部屋を、


「わー!すごい!」


「雰囲気あるね」


と口々に言いながら1人ずつ順番に覗いていった。


「じゃ、まず大型の荷物を男性陣に託します。佐藤さん、煎さん、いきなりで申し訳ないんだけど、このいちばん大きいテーブルを、1階の客席に運んでもらえますか?」


「承知しました!」


佐藤と煎は、ホールに置いてある段ボールから出したテーブルをかつぎ、奥の部屋に運び込んだ。


女性陣がゴミを隅にまとめる。


「次はこの椅子6脚ね」


2人はあっという間に椅子も運び込んだ。


「じゃ、細かい作業は女性陣がするので、男性陣は次に2階の荷物をお願いします」


男性2人はホールに戻る。


「2階の分なんだけど、まずこの小型ロッカーね。小さくて軽いんだけど、階段が狭くて急なので、運ぶの気をつけてくださいね」


今まで2階は全く使っていなかったので、春子以外は誰も足を踏み入れたことがなかった。


古民家特有の狭くて急な階段だが、リフォームで手すりはつけてもらってある。


男性2人は慎重に運び始めた。


「あと、女性誰か2階に行って、梱包剥がしたりセッティングしてくれる?」


華が行きかけたが、階段があまりにも狭くて急なのでためらい、


「あの、階段が恐いので、どなたか行ってもらえませんか?」


と言う。


「あ、じゃあ私ら行きましょか」


真凛が麗花を誘い、小柄な2人は軽快に2階に上がっていった。


華は1階で蘭と一緒に作業することにする。


その後男性2人は階段を何往復もして荷物を運び、麗花と真凛もロッカー中身の紙袋などの軽いものを持って往復した。


1階はすぐに用事も終わったので、蘭も2階に手伝いに行く。


華は厨房で春子の手伝いをすることにした。


そこへ源田が納品に来た。


「まいど!」


「源さんおつかれさま」


「準備忙しそうだな」


「でもみんな来てくれたから早く片付きそうよ」


「それは良かった。これ、リニューアルのお祝い」


「え!何?」


「ポルボロンっていうお菓子。嫁さんが選んだんだけど、幸せを呼ぶお菓子らしいよ。個装になってるから、みんなで分けて食べてよ」


「わぁ、ありがとう」


「じゃ、がんばってな」


「華ちゃん、これ今日みんなに持って帰ってもらうから、紙袋8つに1つずつ入れてくれる?」


「はい、承知しました」


2階は人口密度が高く、賑やかだ。


みんなせっせと階段を上ったり下りたりして、部屋の中も荷物だらけになっている。


1つ1つ荷物を解いて、


「テーブルはこの向き?」


「椅子はこうかな?」


「ちゃぶ台はここだよね」


などとセッティングしていく。


壁際には小さめロッカーが3台ずつの2段重ね、計6台ある。


麗花が下から紙とペンを取ってきて、名前を書き、扉のプレートに差し込んでいく。


ロッカーの中身はそれぞれの名前が書かれた紙袋に入っているので、それぞれ紙袋ごと収納した。


だいたいの荷物は片付き、梱包のゴミをゴミ袋にまとめ、掃除機をかける。


全部終わると11時半になった。


みんなで下に下りると、ワッフルのいい匂いがしている。


華が厨房で春子の手伝いをしているのを見て、真凛が


「華ちゃん、上もう終わったよ。1回見に行ってみ?」

と言うが、


「階段狭くて私のほうが横幅ありそうだし」

と華は尻込みする。


「何言ってんの、煎くんでももう何十回も往復してるで。煎くん華ちゃんよりはるかに大きいやん!大丈夫大丈夫!」


「そうですか?でもなんか急だし落ちそうで恐くて」


「大丈夫!そもそもスタッフルームやねんからいつかは上がらなあかんやろ?はい、一緒に行こ!」


真凛は華の手を引っ張って階段まで連れて行った。


「華ちゃんが先に上って。私が続いて上るから、もし華ちゃんが落ちてきたら私が支えるし大丈夫」


「そんな!真凛さんつぶれます!」


「つぶれへんよ。意外と強いねん」


男性2人は万が一の時は助けられるようにチラチラ見ながら、口は挟まずにいた。


真凛と華はワーワー言いながらも一段一段上っていく。


「わ!綺麗!畳のいい匂い!」


「せやろ?」


「わー、和室用の椅子だー」


華は座ってみる。


真凛はちゃぶ台の前の座布団に座る。


「こっちもいい感じやで」


「素敵ですね」


「ロッカーの荷物ももう中身入ってるよ。明日から楽しみやね」


「はい。ありがとうございます」


「上がってみたら案外大丈夫やろ?」


「はい、でも、下りるのが恐いかも」


「手すりしっかり持ったら大丈夫!私が先に下りるから、足踏み外しても受け止めるし、安心して下りてきて」


「いやだからつぶれますって!」


華はソロリソロリと下り、無事1階に着地すると真凛がパチパチと拍手をした。


「はぁ…。さすがに階段の上り下りぐらいできるようにならなきゃね。自分でスタッフルームを2階するって提案したんだから…」


華はため息をついた。


「さあて、じゃあお次はみんなでランチタイムよ。準備はできたから、みんな新しい客席へ行ってちょうだい」

この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶やフルーツの銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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