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新生ワッフル店小春庵の日常  作者: 小春庵


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16/49

頼もしい助っ人

9月になった。


今年のシルバーウィークは大型で、19日から23日まで5連休だ。


小春庵のリニューアルオープンはその前日18日の金曜日、そしてその直前の4日間は工事で臨時休業となることが決まった。 


水曜日はもともと定休日だが、それに加えて3日間が休みになる。


臨時休業日やリニューアルオープン日は、既に初響がSNSで告知していた。


夏休みが終わって新学期が始まり、親子連れが来ることも少なくなった。


比較的静かな平日のお昼前、今日は蘭が勤務だ。


春子もいったんワッフル製造の手を止め、厨房から出てきて、作業台にリニューアルの書類を広げている。


「こんにちは、太田園です」


入ってきたのは煎だった。


「煎さん、ありがとうございます」


蘭が受け取りに行こうとすると、

「今日のは結構重いんで、中まで僕が運びますよ」

と煎が言い、


「ここでいいですか?」

と注文カウンターの内側の作業台に段ボールを置いた。


「あら煎さん、ありがとう」


春子は書類から顔を上げる。


「お、リニューアルの図面ですか」


「そうなのよ、もう間もなくよ。ほら、新しい家具こんなの入れるの。素敵でしょ」


「おしゃれですねぇ」


春子はいつになくはしゃいだ様子で、


「こっちはスタッフ用の小さいテーブル。可愛いでしょう」


「スタッフ用のも新調されるんですか。まだ新しいんでしょう?4年前にオープンされたんですよね?」


「そうなんだけど、スタッフルームが和室になるから和室専用の家具に買い替えるのよ」


「今のはどうされるんですか?」


「まだ綺麗だから売ろうかとも思ったけど、リサイクルショップに持っていくのも大変だし、大型ゴミで出そうかなぁと思ってるの」


「もったいないですよ。リサイクルショップに持っていくなら僕が車で運びますよ」


「え!」


「会社の車なんで結構大きいですし、僕はこの通り力には自信ありますし」


煎は半年前に大学を卒業したばかりだが、学生時代は野球に明け暮れていたという。


自慢の筋肉をゴリラポーズで示した。


「あら、じゃあお願いしようかしら」


「喜んでお受けします!それと、リニューアルの工事の時も良かったらお手伝いしますよ」


「え、いいの?」


「もちろんです。まあ兄にはあとで許可をもらわなきといけないですが、こういうのは兄がダメだと言うはずないんで、まず大丈夫です」


「じゃあそれもお言葉に甘えようかしら」


「はい、ぜひ!」


「スタッフルームのロッカーも、和室になるから木目調に買い替えるのよ。それも古い方リサイクルに出せるかしら?結構綺麗だし」


「売れると思いますよ。じゃあ、テーブルと椅子とロッカーですね」


「そう。椅子は4脚、ロッカーは小さいけど6台ね。会社の車に乗せられそう?」


「その時には大きい方の車で来ますよ。または2往復でもいいですし」


「本当に助かるわ、ありがとう」


「父からよく言われてるんです、店どうしの横のつながりを大切にして、お互い助け合いをするのが白沢の町の温かくていいところだって。僕ら4兄弟集まったら必ずその話聞かされてます」


「あら、優しくて穏やかな大旦那さんらしいわね」


「頑固なところもありますけどね」

煎は笑い、

「じゃあ、何日に来ましょうか」


「リサイクルに持っていってもらうのは、13日の日曜日の夕方でもいいかしら?その日まで営業で、14日から休業する予定なの」


「では、13日の17時半頃に来ます。で、リニューアルのお手伝いはいつ来ましょうか?」


煎はポケットからスマホを出し、スケジュールを確認しながら打ち込む。


「それは17日の木曜日、朝からなんだけどお願いできる?」


「はい、大丈夫です」


「じゃあ、9時から14時か15時ぐらいまで、ちょっと長いけどいい?」


「承知しました!」

煎はそれも打ち込んだ。


「では、失礼します。13日にまた来ます。ありがとうございましたー!」


煎は春子と蘭それぞれの方に向いてお辞儀をし、楽しそうに帰って行った。


「春子さん良かったですね、煎さんがお手伝いしてくださることになって」


「本当に助かるわ。私の周り、いい人に恵まれて幸せだわ」


「春子さんが素敵な方だからですよ」


「あらまあ、ありがとう」

春子は照れる。


「私はリニューアルの工事期間はどんなお手伝いをしましょうか」


「あ、それなんだけど、14日月曜日は私1人で大丈夫なの。で、15日と16日は壁や床を乾かさないといけないから、あまり室内で作業できないのよね。で、17日がいちばん大変な作業なので、煎さんと同じく17日、9時に出勤してもらっていいかしら」


「9時ですね」


「皆さんにもそんな風にお願いしようと思ってるの。一応最長6時間までの勤務で、14時か15時ぐらい、各自ご都合の良い時間までで随時解散ということでいい?」


「承知しました!」


そこへ華が、

「おはようございます」

と出勤してきた。


「あら華ちゃんおはよう。ちょうどいいわ。華ちゃんにもリニューアルの時のお願いがあるの。打刻して戻ってきたら言うわね」


「はい!」


華は楽しそうに春子に敬礼ポーズをして、スタッフルームに小走りで行った。


春子は華の背中を見送り、先ほど煎が運んでくれた重い段ボールを開けると、太田園の麦茶のペットボトルがたくさん入っていた。


14日から17日のリニューアル工事で、業者さんやスタッフのみんなに配る分だ。


「みんなも楽しみにしてくれていて嬉しいわ。さて、次の準備は、と」


この物語はフィクションです。作中に登場する人名や地名、校名、お茶やフルーツの銘柄などはすべて架空のものです。一部実在の名称と同じものも混在しますが、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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