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最弱能力"感情が読めるだけ"の私が、13人のデスゲームで盤面を支配する(と、本人は思っている)  作者: SSS


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第9話 道化、戻る



「――この子の、拘束を、解こう」



そう、言い出したのは。


一人の、男だった。



がっしりとした、体格。


使い込まれた、革の、防具。


腰には。


剣。


……いかにも。


「歴戦の、冒険者」といった。


風貌の、男。


生き残った、五人の、中で。


誰よりも。


堂々と、して、いて。


誰よりも。


場を、仕切りたがる。


……私は。


心の中で。


彼を。


「リーダー格」と。


呼ぶことに、した。


(名前? 知らない。


興味も、ない。


リーダー格は。


リーダー格よ)



◇



「犯人は。エルフだった。決着は。ついた」リーダー格は。


よく通る、声で、言った。「この子は。ずっと。縛られて、動けなかった。無実だ。……いつまでも。縛って、おく、理由は。ない」



……ほう。



私は。


目隠しの、奥で。


耳を、澄ませた。


いい、風向きだ。


リーダー格。


まとめ役を。


気取りたい。


タイプ。


こういう、手合いは。


「公正な、判断を、する、俺」を。


演じたがる。


その、演技心が。


今。


私の、味方に。


なって、いる。



「……だが」



と。


別の、声が。


割って、入った。



低く。


平坦で。


感情の、ない、声。


……X。



「そいつが。無害だと。誰が。決めた」



◇



……来た。



私は。


内心。


舌打ちした。


X。


やはり。


こいつは。


用心深い。


私を。


解放することに。


反対する、気だ。



「そいつの、能力は。まだ。誰も。見て、いない」Xの、声は。


冷たかった。「拘束されて。おとなしく、して、いるのは。……能力を。使えない、状況だから、かも、しれん。解けば。何を、するか。わからん」



……鋭い。


(ぞくり、と、する。


こいつ。


私の、能力を。


見て、いないのに。


「何か、ある」と。


感づいて、いる)



場の、空気が。


少し。


揺れた。


Xの、言葉には。


妙な。


説得力が。


ある。


何しろ。


この、男は。


(みんなは、知らないが)


これまでの、殺し合いを。


陰で。


動かして、きた。


その、凄みが。


声に。


滲んで、いる。



◇



――まずい。



私は。


焦った。


このままだと。


拘束は。


解かれ、ない。


それどころか。


Xに。


「危険分子」と。


見なされて。


次に。


消されるのは。


私、かも。



何か。


言わないと。


……でも。


下手に。


喋れば。


藪蛇。


目隠しの、奥で。


私は。


必死に。


頭を。


回転させた。



――と。



「……私は。解いて、いいと、思う」



静かな、声が。


した。



フードの。


協力者。


彼女が。


ゆっくりと。


口を、開いた。



◇



「この子は。ずっと。私が。見て、いた」協力者は、言った。「縛られて。目隠しされて。何も、できなかった。……それは。私が。保証する」


「お前が。保証する?」Xの、声。「なぜ。お前が。そこまで。この女を。庇う」


「庇っては、いない」協力者は。


落ち着いて、返した。「ただ。……公平で、ありたいだけ。無実の、人間を。縛り続けるのは。……このゲームで。生き残る、うえで。得策じゃ、ない。疑心暗鬼は。もう。……エルフ、一人で。十分でしょう」



……上手い。



私は。


感心した。


(いえ。


感心、は。


して、いない。


だって。


協力者は。


私の、味方。


味方が。


私のために。


動くのは。


当然。


うん)



協力者は。


「私を、庇っている」ように。


見せず。


「公平さ」を。


語って、いる。


だから。


リーダー格のような。


「正しく、ありたい」タイプが。


うなずき、やすい。



「……俺は。賛成だ」案の定。


リーダー格が。


うなずいた。「彼女の、言う、通り。無実の、人間を。縛り続けるのは。……俺たちの、名折れだ」



◇



二対一。



リーダー格と。


協力者が。


「解く」。


Xが。


「解かない」。


……そして。


最後の、一人。


ずっと。


隅で。


黙って、いた。


気弱な、少年が。


おずおずと。


口を、開いた。



「ぼ、ぼくも。……解いて、あげたい、です。……だって。……ずっと。縛られてるの。……かわいそう、だし」



三対一。



X、一人が。


反対。


でも。


残りの、三人が。


「解く」。


多数決なら。


決まりだ。



◇



Xは。


しばらく。


沈黙して、いた。



その、感情は。


……読め、ない。


相変わらず。


凪いだ、まま。


何を、考えて、いるのか。


わからない。


でも。


やがて。


Xは。


ふっ、と。


息を、吐いて。


言った。



「……好きに、しろ」



引いた。


意外だった。


(あの、X が。


引く?)


でも。


すぐに。


わかった。


これは。


「納得」じゃ、ない。


「様子見」だ。


Xは。


私を。


解いて。


泳がせて。


その、能力を。


見極める、気だ。


危険だと、思えば。


そのとき。


消せば、いい。


……そう。


考えて、いる。


(こわい。


やっぱり。


この、男。


一番。


こわい)



◇



ともあれ。



私の、拘束は。


解かれた。



手首を、縛って、いた、布が。


ほどかれ。


目隠しが。


外される。


……久しぶりの。


光。


白い、部屋が。


目に。


眩しい。


私は。


ゆっくりと。


手首を、さすりながら。


立ち上がった。



そして。


改めて。


見回す。


生き残った。


五人を。



リーダー格の、男。


気弱な、少年。


感情の、読めない、X。


フードの、協力者。


そして。


私。


……この、五人が。


最後の、盤面。



……ふと、思う。


この、部屋で。私が、唯一。


感情を、探らなくて、いい、相手。


――フードの、協力者。


(味方だもの。当然よ)


気を、張らずに、いられる。


ただ、一人の、存在。


……それが、どれだけ、心強いか。


このときの、私は。まだ、ちゃんと、わかって、いなかった。



◇



(ふう)



私は。


深く。


息を、吸った。


ようやく。


縛めが。


解けた。


ようやく。


表舞台に。


戻って、きた。


これまでは。


縛られて。


目隠しされて。


「聞く」ことしか。


できなかった。


でも。


もう。


違う。


これからは。


見て。


喋って。


動いて。


――盤面を。


直接。


動かす。



……ふふ。


ふふふ。


待たせたわね。


私の、独壇場が。


ようやく。


始まる。



◇



(――もっとも)



私は。


心の、隅で。


ちらりと。


思った。



この、絶妙な、タイミングで。


私の、拘束を、解く、流れが。


できたのは。


……本当に。


私の、実力、だったろうか。


リーダー格が。


言い出し。


協力者が。


「公平さ」で。


後押しし。


少年が。


情に、訴え。


Xの、反対を。


押し切った。


……あまりにも。


都合よく。


事が。


運んで、いない?



……いえ。



私は。


その、疑問を。


いつもの、ように。


ぐっと。


呑み込んだ。


都合よく。


運んだのは。


私に。


徳が。


あるから。


私が。


優れて、いるから。


盤面が。


私を。


中心に。


回って、いるから。


……そう。


そういう。


ことに。


して、おく。


(この、癖が。


いつか。


とんでもない、勘違いを。


生むことに。


私は。


やっぱり。


気づいて、いない)



◇



「さて」



私は。


ぱん、と。


手を、打って。


五人の、注目を。


集めた。



「みなさん。改めて。よろしく。……これまでは。ちょっと。事情が、あって。おとなしく。して、いたけれど。ここからは。私も。……本気を、出すわ」



リーダー格が。


怪訝な顔を、した。


少年が。


びくりと。


肩を、すくめた。


Xは。


無表情の、まま。


私を。


見て、いる。


協力者は。


フードの、奥で。


……何も、言わない。



……反応が。


薄い。


(いつもの、ことだけど)


でも。


いい。


これから。


見せて、あげる。


この、湊ミライが。


どうやって。


この、盤面を。


掌握するのかを。



◇



五人。



数字だけ、見れば。


もう。


大詰めだ。


十三人が。


五人に、なった。


残るのは。


リーダー格。


少年。


X。


協力者。


私。


……この、中に。


まだ。


隠された。


役割と。


思惑が。


うずまいて、いる。



私は。


一人ずつ。


顔を。


眺めた。


リーダー格は。


何を。


狙って、いる?


少年は。


何を。


隠して、いる?


Xは。


……いえ。


Xは。


今は。


いい。


あいつは。


最後の、敵。


今、考えても。


仕方が、ない。



まずは。


手近な、ところから。


崩して、いく。


……そう。


例えば。


あの。


リーダー格の、男と。


――X。


この、二人あたりから。



◇



……ん?



私は。


ふと。


気づいた。



リーダー格の、男。


それから。


X。



……この、二人。



顔立ちが。


……悪く、ない。


いえ。


悪く、ない、どころ、じゃ、ない。


リーダー格は。


精悍で。


男らしく。


Xは。


陰の、ある。


整った、顔立ち。


……。


……。


……あら?


あらあら?



私の、頭の中で。


何か。


別の、スイッチが。


かちり、と。


音を、立てた。



(……いえ。


いえいえ。


今は。


それどころ、じゃ、ない。


集中。


集中よ、ミライ。


盤面。


盤面を。


支配するの)



私は。


慌てて。


その、邪念を。


振り払った。


……でも。


その、邪念が。


これから。


この、デスゲームを。


とんでもない、方向へ。


転がして、いくことを。



このときは。


まだ。


誰も。


(私、自身すら)


知らなかった。



(第9話 了)



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 【 湊ミライの ゲーム攻略メモ 】

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・私の能力:感情の揺れがわかる。中身は不明。攻撃不可。

・私の役割:……なんか地味。よく読んでない。

〔今回〕

・拘束、解除。ようやく盤面に復帰。

・残り5人:リーダー格/少年/X/協力者/私。

・リーダー格=まとめ役気取り(公正でありたいタイプ)。

・Xは私の解放に反対→でも「様子見」で引いた。泳がせて

 能力を見極める気。=最も危険。

・(※解放が都合よく運んだのは、私の実力……のはず)

・リーダー格とX、よく見たら顔がいい……(集中!)

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