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最弱能力"感情が読めるだけ"の私が、13人のデスゲームで盤面を支配する(と、本人は思っている)  作者: SSS


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第8話 犯人は、エルフということに



六人に、なった。



二晩、続けて。


人が、死んだ。


誰が、殺したのか。


わからない、まま。


生き残った、面々は。


もう。


誰も。


誰も。


信じて、いなかった。



……いい、傾向だ。


私は。


拘束された、まま。


目隠しの、奥で。


そう、思った。


疑心暗鬼は。


私の。


味方。


みんなが。


互いを、疑い。


勝手に。


潰し合って、くれれば。


私は。


座って、いる、だけで。


いい。



◇



その、疑心暗鬼の、中で。


一人。


妙に。


動き回る者が。


いた。



エルフの、女。



昼間。


やたら。


饒舌に。


「平和が、好き」だの。


「争いは、嫌い」だのと。


語って、いた、あの、女だ。


彼女は。


生き残った、四人の、あいだを。


ちょろちょろと。


動いて。


何やら。


一人ずつ。


耳打ちを。


して、回って、いた。



……そして。


その、足が。


ついに。


拘束された。


私の、ところにも。


やってきた。



◇



「……ねえ、あなた」



エルフの、女が。


私の、耳元で。


囁いた。


甘い。


心配そうな。


声、色で。



「大丈夫? こんな、ところに。縛られて。……ひどいわよね。みんな。あなたのこと。すっかり。犯人だと。思って、いるの」



……ほう。



「さっきも。話して、たわ。『あの女が。一番、怪しい』『さっさと。始末した、ほうが、いい』って。……ねえ。怖いでしょう? このままだと。あなた。殺されて、しまう」



……ふうん。



「だから。今のうちに。逃げ出すか。……いっそ。先に。みんなを。……ね?」



◇



(……なるほど)



私は。


目隠しの、奥で。


エルフの、感情を。


読んで、いた。


……この、女。


嘘を、ついて、いる。


「みんなが、あなたを、犯人だと」の、あたりで。


感情が。


揺れた。


大袈裟に。


言って、いる。


私を。


不安に、させて。


焦らせて。


……何かを。


させたい。


混乱を。


起こさせたい。


そういう。


魂胆。



……たぶん。


このエルフの、役割は。


「場を、混乱させる」こと。


誰かを。


パニックに、して。


騒ぎを。


起こさせる。


そういう。


役割。


だから。


一番。


御しやすそうな。


拘束された、私を。


焚きつけに、来た。



◇



……でも。


残念。



私は。


その、手には。


乗らない。


(だって。


私は。


焦って、いないもの。


むしろ。


今の、状況。


すごく。


楽しい)



私は。


目隠しの、奥で。


にっこりと、笑って。


言った。



「――あら。みんな。私を。恐れて、いるの?」


「え?」


「そう。当然よね」私は。


胸を、張った。


(縛られて、いるので。


正確には。


胸を、張った、つもり)「これだけ。何もかも。見通して、いる、私を。恐れない、ほうが。おかしいわ。ふふ。もっと。恐れ、なさい。もっと。敬い、なさい。この、湊ミライを」



◇



……沈黙。



エルフの、女が。


……困って、いる。


感情が。


それを。


伝えて、くる。


予定と、違う。


という。


戸惑い。



(ふふ。


そうでしょう。


そうでしょう。


私を。


パニックに、させて。


場を、混乱させる。


……なんて。


甘いのよ。


だって。


私は。


「みんなが、私を、恐れている」と、聞いて。


むしろ。


気分が。


いいんだから)



「……あ、あなた。……状況が。わかって、いるの?」エルフの、声が。


少し。


苛立って、いた。「本当に。殺される、かも、しれないのよ?」


「あら。殺せる、ものなら。殺して、みなさい」私は。


鼻で、笑った。「できっこ、ないわ。だって。私を、殺したら。この、盤面は。誰にも。制御、できなく、なる。みんな。それを。わかって、いるから。私を。殺せ、ないの」



……嘘だ。


そんな。


保証は。


どこにも、ない。


でも。


堂々と。


言えば。


それっぽく。


聞こえる。


(それっぽく。


聞こえるだけで。


十分。


気持ちいい)



◇



エルフの、女は。


しばらく。


私を。


焚きつけよう、と。


あの手。


この手で。


囁いて、いた。


でも。


私が。


何を、言われても。


ポジティブに。


受け取る、ものだから。


……ついに。


諦めた。



「……もう、いい」



吐き捨てる、ように、言って。


エルフの、気配が。


離れて、いった。


……ふふ。


残念、ね。


私は。


あなたが。


思って、いる、ほど。


弱く、ない。


(弱い、けど。


メンタルは。


強い。


いえ。


打たれ強い、というより。


単に。


都合の悪いことを。


都合よく。


変換して、いる、だけ、とも。


言う。


でも。


結果。


平気なら。


それで、いい)



◇



だが。


エルフは。


諦めて、いなかった。



その、夜。



また。


天井の、光が。


落ちて。


闇が。


部屋を、満たした、頃。



……かさ、と。


かすかな、音が。


した。



誰かが。


拘束された、私に。


近づいて、くる。


抜き足。


差し足。


でも。


その、感情は。


……ぐらぐらと。


揺れて、いた。


焦りと。


苛立ちと。


それから。


……殺意。



(……来た)



エルフだ。


昼間。


私を。


混乱させ、そこなった、エルフ。


焚きつけが。


失敗したから。


今度は。


自分の、手で。


私を。


亡き者に、しようと。


して、いる。


きっと。


「混乱を、起こせない、なら。


せめて。


一人。


消して。


場を、乱そう」と。


そういう。


魂胆。



◇



……でも。


甘い。



私は。


とっくに。


気づいて、いた。



エルフが。


近づいて、くる。


その、殺意の、揺れを。


私は。


昼間から。


ずっと。


警戒して、いた。


そして。


――もう、一つ。


私には。


打つ手が、あった。



昼のうちに。


私は。


「協力者」に。


そっと。


伝えて、あったのだ。



……いや。



正確に。


言おう。


私は。


拘束されて。


目隠しされて。


喋ることしか。


できない。


だから。


独り言のように。


ぽつり、と。


呟いて、おいた、だけ。


「……今夜あたり。誰かが。私を、狙う、かもね。……こういう、閉じた、場所で。焦った、やつは。……たいてい。夜に、動く、から」


と。


それを。


近くに、いた、協力者が。


聞いて、いたか、どうかは。


わからない。


(聞いて、いて、ほしい、とは。


思って、いた)



◇



エルフの、手が。


私に。


伸びる。


その、瞬間。



「――そこよ! 誰か! この子が、襲われてる!」



闇を、切り裂いて。


協力者の。


鋭い、声が。


響いた。



びくり、と。


エルフの、動きが。


止まる。


そして。


眠って、いた、はずの。


他の、面々が。


その、声で。


目を、覚ます。



「な、なんだ!?」


「誰か、いるのか!」


「明かり……いや。誰だ。動いてる、のは」



闇の、中で。


エルフは。


完全に。


浮き足立った。


――見つかった。


私を。


襲う、ところを。


目撃、された。


(正確には。


声で。


存在を。


暴かれた)



◇



「ち、違う! 私は……!」



エルフが。


弁明しようと。


する。


でも。


その、声は。


焦りで。


上ずって、いた。


……墓穴。


闇の、中で。


一人だけ。


動いて、いて。


拘束された、私の、そばに、いて。


焦って、弁明する。


これでは。


どう、見ても。


(見えない、けど)


怪しい。



そして。


そこに。



――あの、声が。


響いた。



「そいつだ」



低く。


静かで。


感情の、ない、声。


……X。



「その、女が。……ずっと。夜な夜な。動いて、いた。昨夜も。一昨夜も。……こいつが。みんなを。手に、かけて、いたんだ」



◇



――え。



私は。


目隠しの、奥で。


一瞬。


ぽかんと、した。



(……嘘。


それ。


嘘、じゃ、ない。


……いえ。


嘘、だ。


全部。


やったのは。


ドワーフと。


X、自身。


エルフは。


昨夜も、一昨夜も。


何も。


して、いない。


……なのに。


X。


全部。


エルフの、せいに。


して、いる)



私は。


気づいた。


Xの。


狙いに。



……そうか。


連続殺人の、犯人が。


「わからない」ままだと。


みんな。


疑心暗鬼で。


落ち着か、ない。


でも。


ここで。


「犯人は、エルフだった」と。


決まれば?


みんな。


安心する。


事件は。


解決した、と。


思い込む。


……そして。


本当の。


犯人(ドワーフと、X)は。


その、陰に。


隠れて、しまう。



◇



「そ、そんな! 私じゃ……!」



エルフが。


必死で。


叫ぶ。


でも。


もう。


遅い。


闇の、中で。


一人。


動いて、いた。


私を。


襲おうと、して、いた。


そこを。


「連続殺人犯」だと。


名指しされた。


……状況が。


全部。


エルフを。


犯人だと。


指して、いる。



「やっぱり。あいつが……!」


「道理で。……夜にばかり。人が、死ぬ、はずだ」


「やれ! あいつを。……やってしまえ!」



疑心暗鬼で。


張り詰めて、いた。


みんなの、恐怖が。


一気に。


エルフに。


向かって。


爆発した。



闇の、中で。


複数の、足音が。


エルフに。


殺到する。



「ま、待って! 違うの! 本当に……! 私の、役割は。ただ。……叫ばせる、だけ……!」



悲鳴。


もみ合う、音。


そして。


……静寂。



エルフの、気配が。


消えた。



◇



……皮肉な、ものだ。



私は。


闇の、中で。


思った。


エルフの、役割は。


「場を、混乱させ。誰かを。叫ばせる」こと。


……最後に。


一番。


叫んだのは。


エルフ、自身、だった。


場を、混乱させ、そこなって。


自分が。


混乱の。


中心で。


叫んで。


死んだ。



そして。


その、死は。


――Xに。


利用された。


連続殺人の。


幕引きとして。


「犯人は、エルフ」という。


筋書きの。


生贄として。



◇



夜が。


明けて。


天井の、光が。


戻った、頃。



部屋の、空気は。


……不思議と。


落ち着いて、いた。



「……終わった、のか」


「ああ。……犯人は。あの、エルフだった」


「これで。……もう。夜中に。殺される、心配は。ない」



みんなの、声に。


安堵が。


滲んで、いた。


連続殺人は。


解決した。


犯人は。


討たれた。


……そう。


信じて、いる。


本当の、犯人が。


まだ。


この、部屋に。


涼しい、顔で。


座って、いる、とも。


知らずに。



私は。


目隠しの、奥で。


……ぞっと。


して、いた。


X。


あの、男は。


ただ、強い。


だけじゃ、ない。


場を、読み。


死を、利用し。


犯人を。


でっち上げて。


自分を。


完全に。


隠して、しまう。


……本物の。


化け物だ。



◇



そして。


その、「落ち着き」が。


――私に。


思わぬ。


幸運を。


もたらした。



「……なあ」


生き残った、一人が。


言った。


「その、拘束された、女。……もう。解いて、やっても。いいんじゃ、ないか」


「え?」


「だって。犯人は。エルフ、だったんだろ。……この子は。ずっと。縛られてて。動けなかった。……つまり。無実だ」


「それは。……そうだが」


「それに」その、男は。


声を、潜めた。「……もう。残り、五人だ。これ以上。仲間割れ、してる、場合じゃ、ない。……この子も。生きて、いる、以上。……手を、組める、なら。組んだ、ほうが、いい」



◇



……おや。



私は。


目隠しの、奥で。


耳を、そばだてた。


……いい、流れ。


とても。


いい、流れだ。


連続殺人が。


「解決」して。


場が。


落ち着いて。


その、結果。


「無実」の、私を。


解放しよう、という。


声が。


上がって、いる。



……ふふ。


ふふふ。



拘束は。


いい、隠れ蓑だった。


でも。


そろそろ。


潮時。


ここから、先の。


心理戦は。


縛られた、まま、じゃ。


戦えない。


ちょうど、いい。


……解いて。


もらいましょう。


そして。


今度こそ。


この、盤面の。


表舞台に。


立つのよ。



(――もっとも。


この、絶妙な、タイミングで。


「拘束を、解こう」という、声が。


上がるように。


誰が。


最初に。


そう。


言い出したのか。


その、声が。


どこから。


聞こえて、きたのか。


……そこまでは。


私は。


気に、留めて。


いなかった)



(第8話 了)



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 【 湊ミライの ゲーム攻略メモ 】

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・私の能力:感情の揺れがわかる。中身は不明。攻撃不可。

・私の役割:……なんか地味。よく読んでない。

〔今回〕

・エルフの役割=「場を混乱させ、誰かを叫ばせる」。

 私を焚きつけようとするも、私が全部ポジティブ変換で不発。

・エルフ、逆上して私を夜襲→協力者の号令+皆で返り討ち。

・Xが連続殺人を"全部エルフのせい"にして幕引き。

 →真犯人(ドワーフ・X)は闇に隠れる。X=場を操る化け物。

・残り5人(ミライ・協力者・リーダー格・X・少年)。

 事件"解決"で場が緩み、私の拘束を解く声が。

・(※誰が最初に「解こう」と言い出したかは、気にしてない)

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