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最弱能力"感情が読めるだけ"の私が、13人のデスゲームで盤面を支配する(と、本人は思っている)  作者: SSS


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第5話 自己紹介という名の、尋問



「……なあ。あんたたち。……どこから、来たんだ?」



その、一言が。


きっかけ、だった。



目隠しの、奥で。


私は。


耳を、澄ませた。


……ふふ。


いいわよ。


その、調子。


もっと。


喋りなさい。


私は。


ここに、いる。


縛られて。


目隠しされて。


無害な、置物の、ふりを、して。


でも。


その、実。


あなたたち、全員の。


心の、揺れを。


一つ残らず。


読んで、いるの。


……知らぬは。


あなたたち、ばかり。



◇



最初に、答えたのは。


低い、しわがれた、声だった。



「わしは。……鉱山の、国から、来た。地の底で。鉄を、掘る。ドワーフの、里だ」



ドワーフ。


……ああ。


あの。


ずんぐりした、髭面の、男ね。


声で、わかる。


目隠し越しでも。


声の、低さと。


距離で。


だいたいの、位置は。


掴める。



私は。


その、声に。


意識を、集中した。


「鉱山の、国から、来た」。


……感情の、揺れは。


――ない。


本当のことを。


言って、いる。


少なくとも。


出身に、関しては。


嘘は。


ついて、いない。


(ふうん。


正直者ね。


まあ。


ドワーフって。


だいたい。


頑固で、正直、そうだし。


イメージ、通り。


……って。


いえ。


イメージで。


決めつけるのは。


三流の、やること。


私は。


一流。


ちゃんと。


データで。


見て、いる)



◇



でも。



ドワーフが。


次に。


言った、一言で。



……揺れた。



「わしは。……ただ。早く。家に、帰りたい、だけだ。争いごとは。……好かん。誰かを。傷つける、つもりは。ない」



――ぐらり。



感情が。


揺れた。


明確に。


「誰かを。傷つける、つもりは。ない」。


その、一言で。


ドワーフの、心が。


……揺れた。



(……ふうん)



私は。


目隠しの、奥で。


唇を。


ゆがめた。


面白い。


出身は。


正直に、言った。


でも。


「傷つける、つもりは、ない」は。


嘘。


つまり。


この、ドワーフ。


温厚な、ふりを、して。


……その、実。


誰かを、傷つける、気が。


ある。


いえ。


もう。


傷つける、算段を。


始めて、いる、のかも。



……こわい、こわい。


一番、無害そうな、顔の、奴が。


一番。


危ない。


デスゲームの。


定石ね。


(定石、なんて。


知らないけど。


なんか。


それっぽいこと。


言えた。


気持ちいい)



私は。


心の、メモ帳に。


書き込んだ。


――ドワーフ。


温厚を、装う、危険人物。


要、警戒。



◇



次に、喋ったのは。


ずっと。


おどおどして、いた。


あの、少年だった。



「ぼ、ぼくは。……薬師の。弟子、です。西の。……工房で。薬とか。……いろんな、ものを。溶かしたり。混ぜたり。する、修行を。……気づいたら。ここに、いて。ほんとに。何も。わからなくて」



声が。


震えて、いる。


……かわいそうに。


と。


一瞬。


思いかけて。


私は。


その、感傷を。


押し殺した。


感傷は。


判断を。


鈍らせる。



少年の、感情を。


読む。


「薬師の、弟子」。


――揺れない。


本当。


「何も、わからない」。


――……わずかに。


揺れた。



(……お?)



ほんの。


ごく、わずか。


でも。


確かに。


揺れた。


「何も、わからない」の、ところで。


……つまり。


この、少年。


何も、わからない、ふりを、して。


――何か。


わかって、いる。


自分の、能力か。


役割か。


あるいは。


その、両方か。


……気弱な、ふりも。


もしかしたら。


演技、かも、しれない。



いえ。


待って。


これは。


ちょっと。


弱い。


揺れが。


小さすぎる。


本当に、隠しごとが、あるのか。


それとも。


ただ。


混乱して、いる、だけなのか。


……保留。


少年は。


保留。


(でも。


心の、メモには。


小さく。


星印を。


つけて、おく。


――この子。


見た目、ほど。


単純じゃ、ないかも)



◇



それから。


何人かが。


ぽつり、ぽつりと。


喋った。



耳の、尖った。


エルフの、女は。


「森の、民」だと、名乗った。


――揺れなかった。


でも。


やたらと。


饒舌だった。


森の、美しさや。


自分が。


いかに。


平和を、愛して、いるかを。


ぺらぺらと。


語り続ける。



(……うるさい)



正直。


私は。


そう、思った。


(私が、言えた、ことじゃ、ないのは。


わかって、いる。


わかって、いるけど。


それとこれとは。


別)


でも。


この。


「やたら、喋る」というのが。


逆に。


引っかかった。


人は。


何かを。


隠したい、とき。


……たまに。


喋りすぎる。


沈黙が。


怖くて。


言葉で。


埋めようと、する。


このエルフ。


平和を、愛する、森の、民。


――にしては。


ちょっと。


喋りすぎ、じゃ、ない?



私は。


心の、メモに。


書き足した。


――エルフ。


饒舌すぎる。


何か、隠してる、可能性。


(※ただし、うるさいだけの、可能性も、あり)



◇



そして。



一人だけ。


最後まで。


何も。


喋らない、男が。


いた。



気配で。


わかる。


部屋の、隅。


壁に、もたれて。


じっと。


動かず。


息だけ、して、いる。


誰かが。


「あんたは?」と。


話を、振っても。


「……別に」と。


短く、返す、だけ。



(……この、男)



私は。


意識を。


その、男に。


向けた。


感情を。


読もうと、した。


……でも。


――読めない。


いや。


正確には。


揺れが。


ない。


まったく。


ない。


平坦。


のっぺりと。


静か。


まるで。


凪いだ、水面のように。


何を、言われても。


何を、聞いても。


心が。


……動かない。



これは。


……こわい。



嘘を、つく、奴は。


揺れる。


隠しごとの、ある、奴も。


揺れる。


でも。


この、男は。


揺れ、ない。


それは。


二つの、意味の。


どちらか、だ。


一つ。


本当に。


何も、隠して、いない。


純粋な。


無。


もう、一つ。


――隠しごとを。


隠しごととも。


思わないほど。


冷静で。


心を。


完全に。


制御して、いる。



……たぶん。


後者。



私は。


目隠しの、奥で。


ぞくり、と。


した。


心の、メモに。


一番、大きな、字で。


書き込む。


――無口の、男。


一番。


危険。


(仮に。


「X」と。


呼んで、おこう。


なんか。


それっぽくて。


かっこいいし)



◇



……ふう。



会話は。


続いて、いる。


でも。


だいたい。


見えて、きた。


私は。


目隠しの、闇の、中で。


一人。


得意げに。


総括した。



ドワーフ。


温厚を、装う、危険人物。


少年。


気弱を、装う、保留枠。星印。


エルフ。


饒舌すぎる、要注意(※ただ、うるさいだけかも)。


X。


心を、読ませない、最大の、危険。


……その他。


数名。


まだ。


決め手に、欠ける。



そして。


――協力者。


フードの、彼女。


彼女だけは。


会話に。


ほとんど。


加わらない。


短く。


相槌を、打つ、程度。


その、感情も。


……あまり。


揺れない。


X、ほどでは、ないけれど。


落ち着いて、いる。


(……ま。


この人は。


いい。


読む、必要が、ない。


……いえ。


一度は。


癖で。


読もうと、した。


でも。


すぐ。


やめた。


なんとなく。


この、協力者を。


探るのは。


気が、進まなかった。


……それに。


味方の、腹を。


わざわざ、探るのは。


野暮、というものだ。


うん。


そういう、ことに、しておく)



◇



私は。


目隠しの、奥で。


満足げに。


微笑んだ。



見なさい。


この、私を。


縛られて。


目隠しされて。


傍から、見れば。


惨めな、捕虜。


でも。


その、実。


私は。


座って、いる、だけで。


この、部屋の。


全員の、腹の底を。


読み切った。


誰が。


危険で。


誰が。


嘘つきで。


誰を。


泳がせ。


誰を。


潰すべきか。


……すべて。


私の。


手のひらの上。



(――もっとも。


この、情報収集の、舞台、そのものを。


お膳立てしたのが。


隣の、協力者だ、ということは。


相変わらず。


きれいに。


忘れて、いる)



さあ。


材料は。


揃った。


あとは。


この、駒たちを。


どう。


動かして。


どう。


潰し合わせるか。


……ふふ。


楽しく、なってきた。


私の。


ゲームが。


ここから。


本当に。


始まる。



――そう。


思って、いた、矢先に。



その、夜。


最初の、事件が。


起きた。



(第5話 了)



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 【 湊ミライの ゲーム攻略メモ 】

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・私の能力:感情の揺れがわかる(嘘・隠し事)。中身は不明。

・私の役割:……なんか地味。よく読んでない。

〔今回の見立て・要人物メモ〕

・ドワーフ … 出身は正直。だが「傷つけない」で揺れた。

 =温厚を装う危険人物。要警戒。

・少年 … 「何もわからない」で微かに揺れた。保留(星印)。

 見た目ほど単純ではないかも。

・エルフ … 饒舌すぎる。隠し事の可能性(or ただ煩い)。

・無口の男(=仮称「X」)… 感情がまるで揺れない。

 =心を完全に制御。最大の危険。

・協力者 … 味方。読むのはためらった(理由は不明)。

・材料は揃った。あとは潰し合わせるだけ(と思っている)。

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