137.人殺し豆の包囲網
「圭吾よ、ワティフェィに言いたい事とか言い残した事とか無いか?」
「ん?無いが。どうしたのだ急に。」
山斬は今度は圭吾の部屋にて圭吾のダイイングメッセージの解読をしようとしていた。
「そうだな...犯人はなんとかなんとか..で、このなんとかには五文字で母音は順にお、あ、い、い、うになるような言葉とか思いついたりとかしていないか?」
「....やけに具体的だな...すまないが我には全くの心辺りすらない。」
思いつきすらしていないようだ。
何かの条件があるのだろうか?
ともかくこれ以上聞く事に意味は無いだろう。
「そうか、何か思い出したらワティフェィに言ってくれ。じゃな。」
山斬は宿を出て、少年達への忠告に行く。
毎回するのは面倒だが、死ぬのを見逃す訳には行かない。
少年達を見つけると、歩きながら話しかける。
「そこにいる少年達!アカイヨという動物がこの森の奥で発見されたのだ!ここで遊ぶのは危険だから、向こうで遊んで欲しい!」
前回と同じ嘘を使う。相手に話される前に先制攻撃をかます事で早く話を終わらせようとする。
それに対して子供達は肩を組み円になって話を始めた。
「なんだあの魚の奴、知ってるか?」
「知らなーい。ロケットで来た人じゃない〜?」
「ねーねー怖いから、早く別の場所で遊ぼう。」
「...行こう..」
ダダ漏れな声で秘密会議をして、そのまま別の場所へ遊びに行った。
(怖がられたかもしれないが、彼らが無事ならそれでいいだろう。ツラヌキマメの餌食にならなくて済むならな...)
ツラヌキマメ、それは山斬の身体を貫いた豆で、レイジーから貰った本からは共通するものを覚えていた。
その名の通り、触れた物を貫く豆だ。
少年達が去った後、山斬は森に入る。状況を明確に知る為だ。生憎足元を見れば大丈夫だろう。
村から森に入って100m位歩いた所で、青い光る豆が大量に落ちている。
時折、小動物や虫が残酷に貫かれて死んでいるのがわかる。
「少しばらつきがある...やはり人の手で撒かれているか....」
調べると、村は北側の山と、北西の森奥の花畑以外は完全に豆で包囲されている。
そして花畑は、ソフィーを殺した花が植えられているだろう。
敵はどうやら村人一人すら逃がす気が無いらしい。
用意周到な準備から村を丸々虐殺する意思を感じる。
「...みんなにも忠告しなければな...」
山斬はそう言って宿に帰った。




