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136.灰色の原点回帰

山斬が思い付いた解決法。

それは、和解だ。


山斬の人としての志は、村を守る為に行動すべきだと示している。


しかし、アプシュルノと戦うには、準備と覚悟と行動が必要になる。


準備はともかく、山斬には覚悟も行動もそこまでの決意が足りない。


よって2つが共存する可能性に賭けるしか無い。


「....えっとー....何かしら?山斬。ごめんだけどどういう冗談の趣旨か全く分からないわ。」


「もう....(とぼ)けなくていい。アノ、君が数日後にこの村を滅ぼすのはお見通しなんだ。ワティフェィは時を遡ってきたのだからな。」


山斬はカッコつけて言い放つが、アプシュルノは全く察する様子を見せない。

本気で敵では無いと言い張るつもりなのだろうか?


「時を.....遡る....?あ!朝レイジーさんが言ってた事もそんな事を言ってた気がするわ!でも待って..?余計に分からない。」


「何が分からないのだ?」

(とぼ)けるアプシュルノに苛立つ山斬。


「...だって、それじゃあまるで、山斬が私の事を犯人だって言ってるみたいだから.....」


「そお言ってるんだああああ!!!!!!!!」

テンポの悪さに山斬はキレた。

急に叫んだから、アプシュルノは驚いてまだビクついている。


「え!?....山斬...可笑しくなっちゃったの?会社のストレス?....私でよければ話聞くわよ?ごめんね、気づいてあげられなくて....」


「そんな同情要らん!前ワティフェィが勤めてた会社は定時退社残業ほぼ無し有給消化率100%のバリバリホワイトじゃい!それより、どこまで(とぼけるつもりだ?嘘つきは泥棒の始まりだぞ?まあ泥棒の前に計画的集団殺戮犯なのだが。」


(とぼ)けても嘘もついていないわよ!それとも、それ程私だという証拠はあるの!?」

アプシュルノは両頬を膨らませて怒っている。


(可愛い。だが、警戒を解除は出来ない。)

「あるだとも!いいだろう!アノ。君が犯人である確定的な証拠が2つある!反論出来るものならいいたまえ!」

「分かったわ!なんでもいいなさいよ!」

山斬は自分のペースに持っていけたことで、テンションが上がってきた。


「まず、一つ目だ!時を遡る前の時、圭吾が殺された。その死因は毒殺。しかもその毒はマニアックな化学物質だ。つまり.......」



「つまり、証拠からして私が毒で圭吾を口封じに殺したという訳ね。」


山斬はカッコよく最後の文を言い放とうとして、貯めたタイミングでアプシュルノに言われてしまった。


「....えっと..ワティフェィのセリフを奪わないでくれないか?」



「少しぐらいいいでしょ?ちょっと鬱陶し」

「ウットオシ‼︎」

「かったから奪ってあげたわ。」


鬱陶しいという言葉に山斬は少し傷つき、声が出てしまった。


「...それより、毒殺ってだけで私を犯人にしたの?」


「ああそうだが?」


「なら、証拠にはならないわ。」


「何だと?」


「私のこの毒棘ね」

そういうと、アプシュルノは自分の毒棘の一つを掴んで...


「スポン」

「取れるの。」

毒棘を引き抜いた。



「ええええっ!!?」


「しかも、棘の先に毒があるから、誰でも毒を使う事が出来るわ。勿論、私の意思に反して他人が抜き取る事だって出来るわ。試したいならして貰ってもいいけど...疑ってるから近づいてこないでしょうけどね。」


アプシュルノの棘は身体と完全にくっついていなかった事は、流石に予想外だった。


「じゃあ....2つ目だ!前回の4日目の夜。散歩中にワティフェィがレーダーで調べると、レーダーが目の前を刺した。そしてその方角にいたのはアノのみだった。どうだ!これは反論出来ないだろう!」

これには予想外など存在し得ないだろう。


「....んー...透明な誰かが私の近くに居たとか?それとも、私の上下で土の中に潜ってたり、空を飛んでたりしてたとかかしら?それにレーダーが正確かも分からないし。これじゃダメかしら?そもそも、そんな状況になる前に私だったらそれこそ毒で殺そうとするんじゃない?」

前半の飛んだ発想はともかく、最後の一文は最もだ。

決定的な証拠が生まれる前に殺すのが妥当だ。

その上散歩について行く事の許可を取った相手は、アプシュルノだったので、余計に矛盾が際立った。



「.....なるほどそうか..犯人を断定するには早かったのか...?犯人じゃないと言い切れる理由とかあるか?」


「そんなのある訳無いじゃない。まだ起きてもない事件のアリバイなんて無いわよ。逆に聞くけど、時を戻る前の私って全くアリバイが無かったの?」


「..............」

山斬は固まる。

「山斬?どうしたの?あったの?」


言い寄られた山斬は目を逸らし

「........一つあった....」

とボソボソと小声で言った。


「あるの!?なんで疑ったのよ!?」

「一つのアリバイぐらいなんとかなるかなって思ったのだ!刑事ドラマとかでもあるだろ?アリバイが推理で崩れるみたいな。あんなイメージでアリバイを無視したのだ...」

そのアリバイとはアプシュルノは、前回の2日目、7:30地帯の時間では村の南に居るが、レーダーが反応した方向は、北方向だった。しかも、その情報はソフィーとアプシュルノが共同で提出した情報だ。

信憑性も申し分ない。



「とりあえず、私からは何も言えないけど、疑いに対しては、そのアリバイと状況証拠を信じて貰うしかなさそうね。」

「そうか........」

完全に白か黒か定まらないという状況になってしまった。

敵である可能性がまだ残っている分面倒な状況だ。

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