135.命懸けの賭けっぽい別の何か
8月10日 午後7:10 3回目、1日目
「アアアアアッ!!!..............ハァ....ハァ.....」
時が戻り、足の激痛も心臓もある状態に戻った。
「あ......ある。心臓が、足があるぞ.........うぅ.....ああ.....」
山斬は自分の足を触ったり、胸を触ったりして身体を確かめる。
山斬の身体に異常は無い。
だが精神には死の寸前までの痛みを味わい、とても正常では居られなかった。
「大丈夫?山斬急にどうしたの?」
聞き覚えのある少女の声。
「..............!!!!!!!!」
山斬は恐る恐る声の方を向くと...
「アプシュルノ......アプシュルノ.......アア!.....ア..アア!!!」
恐怖のあまり、アノとすら呼ばなくなる。
恐怖を隠せてない自覚が更に恐怖を掻き立て、
恐怖は死に近い身体を貫かれる痛みを思い出す。
「アアアア!!!.....アアアアア!!!」
「や.....山斬!?大丈夫!?山斬!!!ねえ山斬!!」
「おじちゃん?大丈夫う?」
「ワン?」
「兄ちゃん大丈夫か!?」
周りにいたボラバン、ウプイ、メメイも心配の声を上げる。
「アアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
山斬の精神への負荷は遂に限界値に達して、
気絶してしまった。
8月11日 午前11:00 3回目、2日目
ぼんやりと見える景色。
天井の光源が眩しく目がこれ以上に開ける事が出来ない。
「山斬、起きた?...ねえ」
山斬はその声を聞いてぼやっとした状態から目が覚めた。
「アプシュルノ!!?何故ここに!?ワティフェィに何をした!?何がしたいんだ!?」
「は!?本当に大丈夫、山斬!?」
「......どういう事だ?」
自分の部屋でベットに寝ていたようだ。
だが、アプシュルノが横で椅子に座っている。
いまいち状況が読めない。夢を見ていたのか?夢だったら何処から何処までが夢だ?
「そっか、起きたばっかりじゃこの状況分からないよね。山斬、貴方気絶したの。散歩している時に急にね?....何故か私の名前を言ってたけど、叫んで可笑しくなって貴方は倒れたの。」
「そうか.....って、なら何故ワティフェィは無事なのだ?」
「そんなの、私が一生懸命看病してあげたからよ?少しは感謝しても....いいと思うわよ?」
「はあ?えっ?........余計に分からないぞ?」
敵がアプシュルノと判明して、その警戒する様子をアプシュルノに見られた、死んでも可笑しくは無い状況だ。
何ならここで周りに突然死だったと嘘をついて殺した方が良い選択だろう。
そんな状況の山斬に殺さなかった挙句、看病したと言っている。
「何が分からないの?」
山斬の独り言に律儀に反応してくれている。
「ん?いや何でもないぞ。」
前に、敵は話が通じない様な奴だという趣旨の事をソフィーが言っていたが、アプシュルノとは話し合える気がした。
(.....試してみるか........)
山斬は考え事を終えると、ベットから飛び出して部屋を出た。
「あ!山斬!?どうしちゃったの?」
アプシュルノは急な山斬の行動に、かなり心配そうな声を出す。
山斬はしばらくすると帰ってきた。
帰って来た山斬は左手に水筒を持ち、右手に時の鱗を握りしめていた。
「話がある!村を襲うのを辞めてくれ!」
山斬はドアより内側に入ろうとせずに、やや遠い所からアプシュルノに対して対話を持ちかけた。




