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134.最悪の結果と残された逃亡経路

夜中になった。

山斬は、棘の生えた可愛げな少女の後ろ姿を見つめながらついて行く。

彼女が敵かどうか判別する為に。



2人は、食事を終わらせた後、族長家に行った。

家の前にはボラバンが待ち構えていた。

何故か、メメイは居ない。


「こんばんは、ボラバンさん。今日も散歩、行きましょう。」


「嬢ちゃん、人を引き連れて散歩について行こうとしてくれるのはありがたいが.....今日はこの少し筋肉質な老ぼれしかいないぞ?メメイはウプイがいないとついて行かないのじゃ。それとも、ウプイを葬いに来てくれたのか?」


「....それもあるけど、私、夜の景色が好きなの。色んな星々を見て、あそこに誰か住んでるのかなって思うと、ワクワクしちゃうの。そんな気持ちを、何故かだけど、山斬と一緒に味わいたいって思ったの。ボラバンさん。一緒について行っていいですか?」


「嬢ちゃんがそう言うならいいのだが..」

ボラバンは驚きながらも、承諾をしてくれた。






そして、ボラバン、アプシュルノ、山斬の3人で散歩を始める。

次第に村人は集まってきて、散歩をしている3人を取り囲んでいく。

時間を随時チェックしながら散歩について行く。



「ねえ、山斬!ここの夜の星空はとても綺麗なのよ!ほら!月が綺麗でしょ!」

「ああ、まあ田舎だから綺麗なのは当たり前なのだがな。」

アプシュルノは、はしゃいで山斬に話しかけていた。


山斬は空を見上げると、満月から少し過ぎた月がこちらを照らしてくれていた。

空には溢れて落ちてきそうなほどの星空が、

輝きに満ちていた。


アプシュルノの疑いが晴れた後、じっくりと楽しもう。

「3日前は満月だったけど、山斬来てくれなかったでしょ?私、満月を山斬と一緒に見たかったなあ。」

「.......すまないな」

アプシュルノは甘え口調で、山斬に言いよる。



何というか、ただ幸せだ。

嵐が去った後のホッと落ち着くような気持ちを感じる。

しばらくして、7:00になった。

山斬はレーダーを取り出し、レーダーのボタンを押す。


(アノ、信じているぞ。)

ここまでの少女らしいアプシュルノを見ていると、とても村を丸々虐殺するような奴には思えない。

圭吾の死因も手違いだろう。


そうなるとふりだしに戻ってしまうが、アプシュルノの笑顔を守れる為なら、頑張れる気がした。

また時を戻して、一から頑張ろう。

山斬はそう心に決めた。

レーダーは鈍く、時間をかけて反応する。



すると突然、

「ピピピン!ピピピン!」

強い反応があった!この反応の強さは至近距離にいるという事。山斬は、即座にレーダーを見て、敵の方角を調べる!

レーダーが示した位置は...











目の前を指していた。

そして目の前にいたのは、アプシュルノ。


レーダーの音に驚いて村人はみんな避けていったので、曖昧な結果じゃ無い。



山斬は強く戦慄した。


「..............おい、アノ。これは....お前は....!!どういう事だ!?」

山斬は、レーダーの結果をアプシュルノに見せつける。



「えっ!!?..............嘘....違う!私じゃない!私じゃ.....ないの!ねえ、みんな!」

アプシュルノは辺りを見渡すが、周囲の村人は、アプシュルノから恐る恐る遠ざかっていく。



「アノ....!!何故村を襲うのだ!?何故圭吾を殺した!?」

山斬は強く問い詰める!

右手に時の鱗を握りしめ、アプシュルノから攻撃を受けた時に時を戻せるように万全の準備を取っている!


「違う....違う..違う違う違う違う違う違う!!!!私は...!!そんな事!!しないわ!する訳ない!」

アプシュルノは首を横に振って、血相を変え反論をする!



「じゃあ、これは何だ!そして圭吾の死因、調べた結果は、毒殺だったのだ!お前以外の誰がこれらを出来るって言うのだ!?」


「まあまあ、2人共!喧嘩する必要はないだろう!?」

山斬は証拠を突き付けて、アプシュルノを追い詰める!

ボラバンは宥めようとしてくれるが、関係なく喋る。



「違う!そんなの!何かの手違いよ....私をこんなに、犯人に仕立て上げて何になるのよ!山斬だって、何で........何で!泣いてまで私を庇ってくれないの!?違う!!!私じゃ!ない!!!」


山斬はアプシュルノの言葉を聞いて頬に手を当てると、大粒の涙が流れていた。


アプシュルノが、敵で、村を守る為に倒さなければいけない。そう思う度に、涙が流れて止まらなかった。


折角仲良くなった彼女と戦うなんて出来ない。


「ワティフェィだって.......言いたくない!こんな事!でもこれらの証拠は!お前が犯人って言っているようなものじゃないか!?違うなら...違う証拠を出してくれ!」



「違う.......ぐすん...違う!.....ぐすん....違う!殺してない.....殺さない.....私は...違う!!何で....みんな.......」

アプシュルノは泣き崩れ、座り込む。



アプシュルノは、思い出したくない思い出を思い出していた。



-----------------




同年代の少年少女達が離れてこちらを見つめている。




そしてその内の1人の少年が、

「お前!何をしようとしてたんだよ!!!母さんを殺す気だったのか!!?」


「違う.....私は......」


「違わない....お前が母さんを病院送りにしたんだろう!?身体のその毒で.....」


「違う.....違う違う違う!」


そしてその少年に乗じて、他の少年少女も言い始める。

「そうだよ!何する気だったんだよ!?」


「言いなさいよ!」


「..............ハグ......」


「はあ!?」


「......ハグ....して..............欲しかった....」


「てめえ!マジで何考えてるんだよ......!!!!自分の身体で出来ない事ぐらい考えろよ!」


「それともコイツ.....本気で母さん殺そうとしてたんじゃねえのか?」


「そうかもねー」


「違う...違う!違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!!!!!」







-----------------





「違う...違う!違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!!!!!」


記憶と情景が重なり、アプシュルノの精神の崩壊は加速する!

身体中の棘は、大きくなって、その危険性を増していく!

そして、その感情と共に、爆発する!



「違うって言ってるでしょ!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!」



「ビュヒュー!ヒュヒュヒュヒュー!」

棘は全方位に飛び散った!



「ジュシ!ジュシ!」



「キャアアア!!!」

「ウワアアアアア!!!」

周囲の村人達や、山斬に刺さる!

棘の刺さって村人達は、毒で倒れていく!

山斬は鱗に刺さって、毒は流れなかった。



(やばい!時を戻さなければ.......水は....水は何処だ!?)

山斬は見渡すと、周囲に田んぼは見当たらない。



(...逃げる...逃げなければ!!!)

山斬は振り返り、全力で逃げた!



東の森の奥へ全速力で走って逃げる!

「ハァ...!ハァ...!ハァ...!」

森の奥。水どころか、次第に暗くなり辺りが見えなくなってくる。

「ここまで....追いかけてこないだろう.....ハァ...」

暗闇の中、森の中を歩いていく。



「水は......何処だ...?」




「ブシャア!!」

突然、右足に激痛が走る。

見下ろすとそこには、棘のような低木が、山斬の足を貫通していた。



「う....うああああああああ!!!!!!!!」

山斬は、のけぞる反動で、左足を下ろすと、

「ブシャア!!!」

「ああああああああ!!!!!!!!い...イダイッ........あああああ!!!!」

山斬は両足ともに謎の植物に刺されて、身動きが取れなくなってしまった!



山斬がもがくと辺りには、青い小さく光る豆のようなものが、無数にある。

その豆のようなものは集まって山斬の方へやってくる!



「あああ!!来るなあ!来るなあああああ!!!!」

青い豆は、身動きの取れない山斬に向けて棘状に急成長しそして...



「ブシャアアアアア!!!!」



山斬の心臓を突き刺した!



「ウエアアアアッ!!」



山斬の血飛沫が盛大に飛び散り、血反吐を吐き、

山斬は断末魔のような声をあげて、苦しむ!


(頭ぼーっとする...やばい...水は........何処に......)


山斬は手を見ると、自分の血でびしょびしょになっていた。


(.......そうだ!)


山斬は最後の力を振り絞り、

無理矢理身体を動かして自分の飛ばした血を泳ぎ

こう叫ぶ!



「時を遡り鯛.......!!!!」





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