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133.逃れられない現状、進む為の交渉

山斬は腕時計兼情報端末で、調べていた。




-----------------

毒名:ピロトケレシー

半数致死量:0.2g/kg

採取方法:銀河遠方地域の恒星系の惑星に生息するケミドロドクトカゲの複合毒の一つ

またその周辺にある植物に微量含まれている。

また科学反応で作り出す事も出来て、

添加物の一つとして使われている。

-----------------




(貴重かつ致死量も他の猛毒と比べれば多い。こんな毒を持ち込む、いや作り出すというべきだろうか?それが出来るのは、体から毒を生成出来るアノしかいない。)


山斬はアプシュルノを強く疑った。


疑うしか無かった。


レーダーの情報を隠す癖。

それは、自分が敵である事を誤魔化す為。

散歩組である事で、矛盾が一つ生まれているが、一つくらい何かのトリックでなんとかなるだろう。

考えれば考える程疑ってしまう。


「違う!ワティフェィはアノを疑いたいんじゃない!守りたいのだ!アノは....アノは!」


アプシュルノに対する思いを持つ自分に問い直したが、何も変わらない。

何故か彼女の事を気にいっているが、最近出会ったばっかりだ。

アプシュルノの事を何でも知っている気がするが、何も知らない。

アプシュルノが圭吾を殺した犯人で、敵であるのが妥当だという現状に、山斬はどうにも擁護出来なかった。



敵であれば、倒さなければいけない。



(いや、アノの為に死ぬ事も出来る。)



現状と気持ちの板挟みが、イカれた答えとなって頭をよぎった。



「ダメだ....そんな事...ワティフェィは...しない...しては...いけない。」

山斬は自分の気持ちを問い正した。


欲しかった犯人への手掛かりは、重りのように山斬の思考を制限して縛りつけた。




ただ、何もせず逃げる事は考えもしなかった。



今夜、村は襲われる。

敵の行動が何も変わった様子がないから、その筈だ。


晩飯の時刻になる。

2人足りない寂しい食卓。


目の前にアプシュルノがいて、

哲也とビザリとレイジーは生憎別テーブル。

どうやら交渉は1on1だ。



ダメ押しでアプシュルノが敵かどうか知りたい為、レーダーを持って散歩組について行きたい。


だがレイジーに前言われた通り、もし敵であれば、過度な刺激は厳禁。

そのような事は自殺行為である。

慎重に交渉をしなければならない。


「ア..アノよ、今日の散歩の事なのだが...」

恐る恐る言葉を放つ。


「何?山斬。散歩がどうしたの?」

愛想のいい可愛らしい少女は、山斬に質問を返す。

この少女が危険とは考えれない。

それを気を抜く理由にしてはいけないが。


「実は、今夜はワティフェィもついて行きたいのだ。もう後が無い、しっかり手掛かりを掴みたいと思っている。」

力が入り過ぎて、真面目に話し過ぎてしまったが問題は無いだろう。


「山斬来てくれるの?ありがとう。ウプイちゃんが居なくなって寂しくなると思ってたの。レーダーを使う時刻はいつにする?」


あっさりとクリア。

やはり、アプシュルノは敵では無いかもしれない。

そう思えてきた。

そうであって欲しい。が、油断は禁物だ。


「7:00でいい。周りを見張る事に集中したいからな。」

これでok。と思ったその時。




「そうだ、圭吾くんの死因。分かった?」

油断したらすぐコレだ。危ない危ない。




しかし、山斬には模範解答レベルの完璧な答えを事前に考えていた。


「臓器を調べたら、腸が痛んでいた。そこからバイ菌が入って死んだ、と考える事が出来ると思うぞ。」

奇跡的に別の死因だと推測されている。



...と思って貰えれば、警戒されずに調べる事が出来るだろう。

「....そう..案外人って簡単に死んでしまうのね。知らなかったわ。それより山斬、行きましょう。」

後は調べるだけ。

(仲間であってくれ、アノ...)





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