12(なんか).新たな筋道
8月9日 午前7:00 2回目、3日目
「ウブジイイイイイイイ!!!!」
張り上げた声でボラバンがウブジーの名前を叫んでいる。
外で騒ぎが起きている中、山斬は一旦頭の中を整理していた。
(ウブジーは結局山に行ってしまったのだろう。姉の事があれほど好きなのであれば、それほど変な事ではないな。子供達の失踪はトリガーではなく、元々発生するものだったようらしいな。
ボラバンは一見可哀想だが、前回悲しみがカンストして部屋で寝込んでしまった状況に比べれば叫べるくらい元気だと考えておこう。
そして子供達はワティフェィの言う事を聞いてくれたようだ。代わりの犠牲とかは出ていないのだろうか?おいおい聞く事にしておこう。
問題はヒニーだ。ヒニーに対して忠告したにも関わらず、帰りが遅いという事。なぜ忠告したのに結果が変わらない?これも誰かに聞いておかなければならないなあ。)
山斬はじっくり考えていると...
「山斬くん!大丈夫かい!?」
レイジーが扉から出て来た。
「大丈夫だが?」
レイジーは左手をグーにして右手を叩き、
「あ...そうか!この事を知っていたんだね!」
と納得した。
「知らなかったですが?」
「なら.....なぜ?」
「考え事をしていたのです。」
「呑気だね...とりあえず僕は行ってくる。出来るだけ早くやって来てね!」
山斬は、レイジーが去ってから、ゆっくりついていった。
族長の家に行くと、また紙切れを机に置かれていて、今度はウブジーがいなくなっていた。
紙切れの内容は、少し遠目で見えにくいが、
“ヒニー姉ちゃん”と、“また助け”が読めて、
文の構成は内容3行に名前。
これだけで山斬は内容をなんとなく理解した。
ボラバンはいなくて、レイジーが帰ってきた事から部屋へ連れて行った事が分かった。
皆んなは集まっていて、山斬は待たれていたようだ。
「山斬くん。実はウブジーくんが...」
「山に行ったんですよね?」
山斬は先に答える。
「うん。そして昨日調べた事をまた話して欲しいんだ。
って、外に出ないとロボット達に聞けないんだったっけ。」
と言ってレイジーは外に出ようとすると...
「いや、ここで聞けますよ。」
「え?」
「ふふん!昨日帰り道に出来るようにプログラムしました!」
山斬はそう言うと腕時計に向かってこう言った。
「情報開示、対象:昨日のソラミネルの調査した内容、全て。」
「ピピ!村の周り、住民、森の様子共に異変はございませんでした。」
「やはり、収穫無しか...」
山斬はなんとなく分かっていたが、落ち込んだ。
「じゃあ、私達の番かしら?」
ソフィーがそう言った。
「昨日、ボラバンさん達の散歩で、ボラバンが小屋に入って、丁度村のあの変な音が鳴っていた時刻に、アプシュルノさんがレーダーを使うと.....えっと....どっちだっけ?」
ソフィーは、頭を抱えて、アプシュルノの方に助けを求めた。そしてアプシュルノがそれに応え、
「北よ、北を指していたわ。」
その言葉にレイジーと山斬は驚いた。
「....という事は!ソフィー!」
「そう...散歩組も容疑者から除外出来るわ...。」
ソフィーはふらふらと体勢を倒し始めた。
「ソフィー、大丈夫かい?」
「2日連続誰かさんが大声で起こしたせいで、ちょっと体の調子が悪いのかも。」
「じ......じゃあ..誰が.....敵になるんですか?」
哲也が心配そうに聞いてきた。
「多分、村の住民の誰か、ね。今の所怪しいのは、えっと.....2人ぐらいかしら?確か...ヒニーちゃんに似た髪の短い女の子と、あの.....何か.....おっさんよ。」
ソフィーは更にふらふらしてきた。
「ソフィー!ありがとう。もう休むといい。」
レイジーは優しくソフィーに言った。
(それにしても、まさか村人だったか。まあ、アノは違うな、気のせいだったのだ。............正直ホッとした。)
「っばあ!」
唐突に地面から音が鳴った!
と思った山斬はすかさず視線を下に向けると..
「なんだ、ウプイちゃんではないか。」
「そうだよぅ。メメイしらない?昨日の散歩みたいに飛び出してどっか行っちゃったんだあ。」
「んー生憎知らないぞ、すまないな。」
「そっかぁー、あれ?いた!」
そう言うとウプイは椅子の下に隠れているメメイを見つけた。
「ワン!」
「よかったあ!どっか行っちゃダメだよメメイ。」
「ワン!」
山斬はウプイの様子を見届けると、宿に向かった。




