97.加速する絶望 遡る希望
「とにかく!貴方と私がここで道草食ってるのが本当に無駄なの!このままじゃレイジーさんに相当な無茶をさせる事になる.....そしたら..............」
ソフィーは思い詰めた顔をして、そのボロボロの体で走ろうとした。
日陰から出て3mぐらい走った時、
「うううううううううう!!!!!!!!」
ソフィーは地面に踞って、赤子を産むのかのような雄叫びをあげる。
「ソフィーさん!無茶をしないで下さい!」
山斬はソフィーに駆け寄る。
「うううおおおおおおおおううううううう!!!!!!
!!!!!」
更に雄叫びをあげるソフィー!
この2度の雄叫びに山斬は違和感を感じた。
(なぜだろう、これは本当に傷が開く事によって痛めているのか?それにしては体を動かす事が出来ている。)
このソフィーには不可解な点があった。
走ったり、踞ったりする体力があるのに、傷の痛みで苦しんでいる。普通なら、走り切れるか、元から動けないかの二極のはずなのだがソフィーは少し様子がおかしい。
山斬は異常な状態のソフィーを見て、とてつもない不穏な雰囲気を感じて、ソフィーに対して、村の方へ後ろ足になりながら距離を取る。
「ああああああああああ!!!!!!!!イタイダイイダイイダイ!!!!!」
怪我が原因じゃない別の何かだ。
異常な苦しみを見せるソフィーに山斬は確信した。
その時!
「デュシュアアアアア!!!!!!」
「アアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
ソフィーの悲鳴と共に、ソフィーの背中の傷口から口のある大きな白い花が生えてきたのだ!
助けようがないと確信させるほどに花の生えた所から血飛沫が飛び出している!
体の全ての血が出てくるのかという程の勢いで、血が吹き出していた!
一輪が大きくなると、更にもう一輪、もう一輪と生えてくる!
「ヒハフフハヒフフハヒプフウウイイイフヒヒヒ!!!
!!」
「アアアアア!!!山斬!タスケ...テ........」
「あ......ああ.....ソ..ソフィーさ...」
「ブッシュアアアアア!!!!!!!!」
花達は大きくなり、気味の悪い声を出して、ソフィーのほとんどを覆い隠す!
ソフィーは悲鳴をあげる体力を徐々に失っていく。
山斬はそのソフィーの体の花に対する恐怖とソフィー失う恐怖の二つを同時に得た。
ソフィーは涙を流しながら、山斬に助けを求めてぐらいで、目のハイライトが消えた。
そして次の瞬間にトドメを刺すように血飛沫が出て、
花達に覆い隠された。
「あああ.....ああ.....れ..レイジーさんだ!レイジーさんに言わなきゃ!」
何とか山斬は持ち直して、レイジーに助けを求めに村の中心に走って向かう。
「ああ!!ああ!あああああああ!!!」
山斬は恐怖でおかしくなりながら走っていたその時!
「た!助けてくれえええ!!!」
村人の20代ぐらいの男が胸ぐらを掴みながら山斬に助けを求めてきた。
「こ..こっちだって助けが欲しいんだ!」
「助けてくれよ!俺の妻と娘がアアアアア!!!!」
泣きながら言う男の指差した先を見ると...
「キュキュキュキュキュキュキュ!!!!!!!!」
あの目玉ラズベリーが、人を襲っていた!
そしてそこには、恐らく彼の妻と娘らしき人が倒れている。
身体全身の皮膚が爛れていて、動く様子もなく、赤い肉の塊と化していた。
「っ!!!」
山斬は絶句し、固まってしまった。
「キュキュキュキュキュ!!」
そうこうしていると、周りは目玉ラズベリー達に囲まれていた。
「アア!助からなかった!!俺たちもここで死んじまうよおお!!」
村人は狂乱を起こしている中、
山斬は使命を感じていた。
自分の時を戻す能力は、この時の為だったという事を...
全てはこのどこか古臭いようなこの村を..
賑やかな仲間を..
仲良くしてくれたあの族長の家族を救う為にあるという事を!
「生き残ってやる...」
「んあ...」
「助けてやる...」
「んひ?」
「救い出してやる!」
「何を言っているんだお前!もう....全部失ったんだヨオオオ!!!」
「いや、俺なら出来る!救う事が出来るんだ!」
「い......今何を救えるって言うんだよ......」
「お前を、仲間を、この村にいる全員丸々救ってやる!」
「キュキュキュキュキュキュ!!!!!!!!」
そう言った瞬間!2人を囲んでいた目玉ラズベリー達が飛び上がった!
山斬は時の鱗を取り出して
こう叫んだ!
「山斬秘技その1!!!!!!!!!」
田んぼの方へ飛び込み!田んぼの中を泳ぎながら更にこう叫ぶ!
「時を遡り鯛!!!!!!!!!」




