73.黒に包みから出る決断
帰ってくると、宿ではビザリがトマトでサラダとスープを作っていた。
仕事から少しの間解き放たれると思ったが、
「..............皆んな、話があるんだ。」
レイジーが仕事の話を始めた。
どうやら仕事からは逃げれないようだ。
「実はついさっき!上から危険な内容である事を理解して貰った上で!森の奥に入る事が許可されたんだ!」
「それは本当か!」
「.........されてしまいましたか....」
レイジーの言葉に対して素直に喜んでいるのは山斬だけだった。
「レイジーさん。私は嫌だからね!ただでさえ仕事と関係無いのに、化け物に食われるリスクも増えるってたまったもんじゃないわ!」
「我もあの森からは嫌な気がするのです。」
圭吾は我という単語を使いながら敬語を使って気持ち悪い文を作った。
ビザリは全く話について来れなくて、パスタを貪っている。
アプシュルノは、朝の事を気にしているのか黙りこくった状態だ。
「ソフィー。これは子供達を助ける意味ではなく、森の奥に潜んでいる厭魂の持ち主を見つけ出すためだよ!それに皆んなリスクリスクって言うけど、この任務は本当はもっとリスキーなミッションのはずなんだ!何故かこのような奇妙な事が起きているけど。とにかく森に入って捜索を手伝って貰いたいんだ!勿論!強制はしない!森の奥に入るのは自己責任になるから皆んな考えて欲しい!言っておくが、どんな罠や敵がいるかは分からない!だから慎重に考えて欲しい!」
そうレイジーに言われた皆んなはしばらく考えた末、
真っ先に声を挙げたのはソフィーだった。
「分かった、行くわ。仕事に関わるなら、否定する気はないわ。」
「..............いいんですか?....危険があるかもしれないのに..............」
「我も哲也に付け加えて言わせて貰います。あの森には危険な気配がするのです。」
ソフィーの決断に水を挿すように哲也と圭吾が喋る。
「..だが、レイジーさんの言う通り、リスクを負わなければ何も救えない!我はレイジーさんと一緒に行きます!」
圭吾はなんと、一緒に行く派だった。
「..............ぼ..僕はやめておきます....あと......夜、村に入ってくるんですよね?.....ならそこを狙えばいいんじゃ無いですか?...」
「そうだ!その件なんだが、相手は擬態する能力の持ち主だと思うんだ!...まあ正直、部下や族長さん達を疑いたくないだけなんだけどね!とりあえず、夜の捜索では恐らく埒があかないと思うんだ!そこで深夜、レーダーで帰る最中の敵を一網打尽にしたいんだ!」
「.....相手の思うツボかもしれないですよ?..............」
哲也は怯えるように言った。ビビっているのだろう。
そんな中、山斬は考えた。
(皆んなは命懸けだが、ワティフェィは時を戻す事が出来る...!これワティフェィ行き得なのでは!?)
「ワティフェィも行きます!」
「そうか!じゃあ僕とソフィーと圭吾くんと山斬くんの4人でいいかな!?」
「......本当に大丈夫ですか....」
「ナンノ話デスカ?」
ビザリはパスタを食い終わって返事をした。
アプシュルノは首を小さく縦に振った。
「よし!じゃあ今日は準備するとして、明日の深夜、森の奥に行こう!」
「オオオーーー!!!」
森に入る4人は大声で声を出して、拳を挙げた。
すると急に、
「あの..............ちょっといい....ですか?」
アプシュルノが小さな声で言った。
「なんだい?」
優しくレイジーは声を掛ける。
「関係ない話ですけど..............き、今日の朝の事です...実はレーダーの反応が....あの....あの時..とても近くに反応して怖かったんです..............だから言い出せなくて.....哲也さんにも手伝って貰って.....ほんと皆さんすみませんでした!」
「知ってるよ。なんとなく察しがついていたよ。でもこうやってちゃんとアノちゃんの口から言ってくれたから皆んなアノちゃんの事を許してくれると思うよ!だから気にしないで!」
「あ...ありがとうございます....」
何故か心なしかアプシュルノの気分が更に悪くなった気がした。




