67.デリケートなプライベート
「あのーワティフェィ達はどうすればよいのだ?」
山斬は喧嘩に割り入って質問をした。
良くも悪くも彼の特徴とも言える。
「ああ!ごめんね!そうだ会議中だったね!」
「最初から気づきなさいよ。」
ソフィーは火に油をかけるように言うが、レイジーはムッと堪えて、会議を続けた。
「アノちゃん、哲也くん、昨日のレーダーの結果を教えて欲しいな!」
「えっ!......はい..............」
アプシュルノは急に呼ばれて驚いていた。しかしそれにしても変な様子だ。
「えっと..............えっとですね......えっとー......」
「何よ。早く言いなさい!」
ソフィーは鬱陶しくなってキレた。
「こらソフィー!アノちゃん大丈夫だよ。言ってごらん。」
レイジーはアプシュルノの心のケアに徹するが、アプシュルノは余計に言いにくそうにしている。
「...僕から言います..............昨日......い....いませんでした......」
哲也が喋った内容に、皆んなの視線が集まった。
「レーダーが.....反応しませんでした.......っていうかいや....なんというか.....反応が鈍いっていうか..............」
段々と言うのが弱く言い訳のようになる哲也。
「.....私もです.......反応..しませんでした..」
便乗するようにアプシュルノも喋った。
「んーそうか...なるほど!相手に怪しまれちゃったのかな?あはは!」
「じゃあ何でそんな言いにくそうにしてたのかしら?」
アプシュルノの様子についてスルーしようと思ったレイジーだったが、核心を突いてしまうソフィー。
しばらく沈黙が続き、
「ソフィーさん。我はアプシュルノはただ黒罪なる感情に支配されているだけだと思うぞ!我が思うにアプシュルノ自身は悪くない!」
圭吾はよく分からない厨二単語を並べたが、アプシュルノを庇おうとした事は分かった。
皆んながアプシュルノを庇う様子をみてソフィーは、
「もういいわ。どうせたわいもない理由で悩んでたんでしょ。」
「よし!会議解散!」
ソフィーの許しが出た瞬間レイジーは早口になって会議を終了させた。
そして会議が終了して、レイジー、ビザリ、ソフィーが去っていくと
「......ちょっと2人で話さない?」
アプシュルノは哲也に言った。
哲也が嘘をついていた事はなんとなく雰囲気で察したが、アプシュルノは哲也に対して怒っているのか、それとも感謝しているのか分からないトーンで喋った。
圭吾と山斬がいる中で喋っているが、アプシュルノは恐らく信用してくれたのだろう。
山斬は変に突っかかってアプシュルノを傷つけたくなかったので、口出しはしなかった。圭吾も恐らくそのような理由でスルーしているのだろう。
それよりも山斬はウプイやウブジーにアカイヨという変な動物について聞きたかった。
族長の家の中をしばらく探すとウプイを見つけた。
ウブジーらへんに聞きたかったが、しょうがない。
「ウプイよ..少しいいか?アカイヨという動物について話せるか?」
「いいよぅ」
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫....じゃないけど頑張るよ。」
「じゃあ聞くぞ。アカイヨについて具体的な習性とか何か情報は無いのか?」
時を戻した後に、役立つかもしれないと踏んで聞いた。
「んー..昔話の動物だから...」
「じゃあその昔話でもいい。聞かせて欲しい。」
「昔ね、アカイヨとコーサム村の人は仲良しだったの。でもね、アカイヨの牛の頭達は喧嘩を始めて、その八つ当たりをコーサム村にしたの。それからコーサム村はアカイヨと仲が悪くなって、コーサム村はアカイヨを追い払おうとしたの。そうしたら、アカイヨは怒って、5人もの子供.....?を食べて満足して逃げて、今もなお森に住んでいるかもしれない。っていう話。」
「一方的にアカイヨが悪いじゃないか。」
「んん...まあそうかもしれないけど...とりあえずこういうお話。」
山斬の感想に混乱するウプイ。
「ありがとう!そしてもう一つなんだが...ウブジーはどこなのだ?」
「ウブジー兄ちゃんはね...」
〜昨日の散歩後の族長の家にて〜
「なんだって!村の子供達が...誰がそんな事..」
驚くウブジーと同時にボラバンは椅子に座り込み、頭を抱え込んだ。
「...アカイヨじゃよ..」
「アカイヨ!何を言っているんだ父さん!そんなのただの作り話だって姉さんが...今からでも遅くない!助けに...」
焦るように喋って、ウブジーは動揺を隠し切れていなかった。
「ウブジー!!実際にこのように起きたんじゃ!今更あの馬鹿娘が言った事を信用して現実逃避しろっていうのか!?」
ボラバンは反論し、ウブジーは黙りこくってしまう。
「.........それにしてもヒニー遅いな...もしかして...」
ボラバンがふと言った言葉にウブジーは青ざめた。
「....信じないよ....信じない...」
「..ウブジー兄ちゃん...」
「たまたまだ...偶然だよ....嘘だ.....」
ウブジーは頭を抱えてどんどん絶望していく..
「ウブジー、もしかしてだ!決まった訳じゃない!」
「そうだよ......姉さんは完璧なんだ......その論理的な思考で正しく判断したって言ってたんだ...だから僕は姉さんが好きになったんだよ....姉さんを信じなきゃ..............姉さん.....姉さん.....姉さん...姉さん..」
ウブジーは姉を信じる気持ちと守りたいという気持ちが葛藤する。
「部屋に.......戻るよ..............ごめん..なんか..」
「ああ..身体を大事にするんじゃぞ..............」
ウブジーは姉を信じると言ったが、見た感じは信じれていなかった。
「という事があって..朝になったらウブジー兄ちゃんは飛び出して行っちゃった。」
顔は笑顔に近い表情をしているが、恐らく作っているのだろう。この年で心遣いが出来るとは大した少女だ。
「......ありがとう..デリケートな事をわざわざすまなかった。じゃあワティフェィはここでおさらばする。ウプイよ本当にありがとう。」
「うん..あとアノ姉ちゃんにまた来てって言っといて。」
「承知したぞ!じゃあな!」
そして山斬は族長の家を出て行った。




