短編04 ユウトくんの一番は私です!(ミーナ視点)
お待たせしました。
今回はミーナ視点の短編です。
少し短くて物足りないかもしれませんが、
どうぞお読みくださいませ。
皆さんこんにちは。
ラルフ村、村長の娘ミーナです!
――あっ! ち、違った……
ユウトくんの『一番の恋人(自称)』ミーナです!
現在は、ユウトくんの『側近候補』として、勉強に武芸に精を出す毎日を送っています。正直、どちらも得意ではないけれど、ユウトくんと一緒にいられるためなら……ということで、“恋する乙女”は日々頑張っているのです!!
さて、私とユウトくんは同じ歳、近々お互い11歳になります。
大陸中央にあるエメラダ神聖国の学校へは、数え歳で13歳から入学可能なので、試験に合格すれば再来年から一緒に留学することになります。
もちろん、先に待ち受けているザナッシュ公爵との戦争に勝利することが大前提ですが、ユウトくんと一緒に素敵な学校生活を送る未来のために突き進むのみです!
……でも、つい先日『死神の巣』から5人の女の子が、私と同じようにユウトくんに仕えるようになりました。彼女達もゆくゆくは『闇属性』であることを隠して私達と一緒に留学する予定とのことです。
私とユウトくん、そしてレアの三人については、1年生からの入学ということで、試験も比較的簡単なものになると聞いています。そのため今の調子で基礎学力を高めていけば問題無いと思いますが、その他の4人は2年生以上への途中入学となり、その試験は非常に難しくなると聞いています。途中入学の試験難度は学校への“献金額しだい”という悪い噂も聞きますが、ぜひ4人には頑張って『試験に落ちて』欲しいと願っています。
……え? だって、ライバルは少ないほうが良いでしょう?
ユウトくんの恋人として一番ふさわしいのは、私以外考えられませんが、念には念を入れるのです。レイシア様以下『近衛騎士』の方々同様、『死神の巣』から来た女の子5人も警戒対象です。ユウトくんの姉ミユ様からも『極秘任務』(第32話を参照)を拝命していますしね……。
まず、『おっぱい魔人』リーシャと、『銀髪“天然”美少女』アイカの二人ですが……彼女達はユウトくんより4歳も年上だし、リーシャは戦闘狂、アイカは天然なところがあるので強敵というほどではありません。しかし、時々ユウト君が彼女達を目で追っているような気がするのです……。
私だって成長すれば胸も大きくなるし、『可愛い少女』から『美しい女性』になるはずなので、それまでの間、彼が誘惑に負けないように対策を練らなければなりません。
ちなみに、彼女達にユウトくんについてどう思うか聞いてみましたが……
<リーシャ>
「ユウト様についてですか? そうですね……誠心誠意お仕えしたい“主”であることは間違いないです。立派な『魔王』となれるようにソアラお嬢様達と一緒に頑張りたいと思っています。……それに先日、西側領界の砦でユウト様の魔力を身体の中にいただいてからというもの………い、いえ、何でもありません!」
<アイカ>
「魔王様のこと? あっ! いけない……ユウト様のことですか?
う~ん……こう言ったら失礼かもしれないけれど、今は『可愛い弟が出来た』って感じかなぁ……。そう言えば若様から、私達の任務はユウト様の側近・護衛候補として訓練と勉強を頑張ることと、将来は『夜の仕事』も頑張るようにと言われているのよね。『夜の仕事』って何かなぁ……ミーナちゃんわかる?」
……と何となく油断ならない二人だということがよくわかりました。
そして、『魔法馬鹿のメリッサ』と『妄想騎士ゼナ』は“女性らしさ”という点では、今でも私に分があるはずです。しかし、二人ともユウトくんと話をしている時は、“魔法”や“物語”の話で盛り上がっているので、こちらも油断をしてはいけないと思っています。
一応、この二人にもユウト様のことを聞いてみましたが……
<メリッサ>
「ユウト様……謎のベールに覆われた素敵な“主”ですね。ユウト様のお力の秘密と魔属性魔法の研究が私のライフワークになるかもしれません……。私と一緒にミーナもユウト様を丸裸にしてみませんか? ち、違いますよ……そういう“いやらしい”意味ではありませんから! そ、そうです! 先日、ユウト様の口添えで憧れのマリク・カダイン伯爵様に直接魔法を教えていただけることになったのです♪ このご恩は忘れません」
<ゼナ>
「ユウト様は、私の全忠誠を捧げる絶対君主ですよ! みんな私が“将来騎士になりたい”と言うと、『闇属性所持者』は不可能だと言って笑っていましたが、ユウト様だけは真剣に聞いてくれたのです。そして、来月ユウト様がアストリア侯爵家の正式な養子になったら、私をユウト様の騎士に採りたててくれると約束してくれたのです。こんなに嬉しいことはありませんよ」
と言う感じで、とりあえず恋愛感情は無いようなので安心できるでしょうか。
最後に……私が一番警戒している同学年の『レアお嬢様』です。
ピンク色の髪をした『お人形さん』のように可愛い子……。
料理が大好きで、最近はメイド服を着用し、リアナさんやカレンさんの手伝いをしていることが多い彼女ですが……ドレスを着れば『お嬢様』、ナイフを持てば『暗殺者』に可憐に変身してしまうのです。
ユウトくんがそんな彼女に“ギャップ萌え”してしまうのでは……と心配です。
ちなみにレアは……
<レア>
「ユ、ユウト様!? ど、どうしてそんなことを聞くの? ミ、ミーナはユウト様のこと……どう思っているの?」
……と、頬を真っ赤に染めながら答えをはぐらかすのです。
恋のライバルとしては、やはり一番の要注意人物になるかと思います。
そんなわけで、これからもユウトくんに仕える女性が増えるであろうことを考えると、『一番の座』を維持するのは大変なのですが、私の魅力をユウトくんに理解してもらえれば問題ありません。そうすれば、きっと……いえ、確実にユウトくんは私がいないと生きていけなくなるはずですから……。
えっ? 私の魅力は何かって?
(・・・・・・・・・・・・・・・・)
そ、そうです!
せっかくの機会なので、皆さんに私がユウトくんと初めて出会った時の話を聞かせてあげましょう。と、特別ですよ!
えっ? 別に聞きたくないって………そ、そんな……
す、少しだけでも……ねっ!
◇◇◇◇◇◇
―――あれは4月――――
まだラルフ村にピンクや黄色の淡い花々が咲き誇っていた頃のことです。
私は、父から『ミーナは将来、貴族と結婚して玉の輿に乗るんだぞ!』と毎日のように言い聞かされていて、そのことに嫌気がさしていました。
エメラダ神聖国の学校へ留学するための試験勉強から逃げ、村の友達と一緒に遊んで過ごしていたのです。
(はぁ……何か面白いことは無いかしら……)
親に決められた将来の道……。
友達と遊んでいても、満たされることのない心……。
変化が無く、特別なことなど何も起こらない退屈な村……。
日々、荒んでいく私の心など、誰も知る人はいませんでした。
そんな毎日が続いていたある日―――――
村人と村長である父との会話が私の耳に入ってきました。
「先の政争の亡命貴族が領主に保護されたらしい」
「明日、この村に来て領主様所有の“狩猟小屋”へ住むことになったらしい」
「亡命貴族と言っても、子供二人だそうだ」
村に子供が二人やってくる……ただそれだけ。
その時は全く感情を揺さぶられることはありませんでした。
しかし翌日――――――――
(な、な、何なのよ! 何なのよ、“あの子”は―――――――――!!!)
村にやって来た幌付き馬車から出てきた一人の男の子。
その容姿が私の瞳に焼き付いた瞬間、私の心が大きく弾け飛びました!
(あの子は何? 本当に人間なの? 天使じゃないわよね……。)
(彼の名前は? 何歳なの? どこの国から来たのかしら?)
(好きなものは? いつまでこの村に?)
次から次へ、彼について知りたいことが溢れ出てきます。
でもそれは、彼や彼の周囲にいる人間に直接聞かなければわからないことばかりでした。
(どうすれば……、どうすれば……)
今まで使おうとしなかった頭をフル回転させて、“彼とお近づきになるにはどうすればよいか”を考えました。
そして……あとは皆さんが知っている通りです。(第13話を参照)
私はユウトくんと勉強を一緒にするようになり、そして徐々に相思相愛となり……ついには彼と裸の付き合い(お湯浴び)をするようになって、一番の恋人となったのです。
◇◇◇◇◇◇
……えっ? そんな『相思相愛』とか『恋人』になった事実はない?
も、問題ないでしょ! 数年後には、すぐに事実になるんだから!!
(そう、数年後……私が大人になったら正式に恋人になって……先日の砦の夜みたいな気持ちいいことを二人きりで……二人きりで……)
「そこで何してるのミーナ?」
「キャアッ!?」
私が年齢に不相応な妄想にふけっていると、たまたま通りかかったレアに声をかけられました。
「どうしたの? 身体をモジモジさせて……」
「ち、違うの! 別にユウトくんと私のイケナイ妄想を膨らませていたわけじゃないんだからね!! ホントよ! ホントなんだから!!」
私はレアに見られたことが恥ずかしくて、慌ててその場から走って逃げました。
「……化粧部屋なら向こうだよって教えてあげようとしただけなんだけど……」
レアのその言葉は私には届かないのでした。
ミーナ―――――これでも将来、魔王軍で名を馳せる騎士になる女の子
本当はユウトの出会いの最初の部分だけでなく、
ユウト達が村から出て行ってからのミーナのことも書きたかったのですが……
次回から久しぶりにミユ視点となります。どうぞお楽しみに♪
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