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異世界でも、お姉ちゃんに任せなさい!  作者: 佐々木 みこと
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第40話 山賊退治と魔王との出会い(前編)(リーシャ視点)

ついに第40話に到達しました。


前編・後編を『死神の巣』のリーシャ視点でお送りします。

ユウトとの出会いまでになります。

私の名前は『リーシャ』といいます。

現在14歳。まだ世間一般では『子供』と呼ばれる年齢ですが、これでも『死神の巣』に所属する暗殺者集団の端くれです。


私の家は代々『死神の巣』のおさを支える“幹部”の家系で、諜報・暗殺においては組織の中でも一目置かれる存在です。祖父母も両親も、そして親族全員が優秀な暗殺者としての実績を持っています。


そんな家庭環境の中で育った私は、幼い頃から諜報・暗殺についての英才教育を施され、努力の甲斐もあって12歳の時に史上最年少で『死神の巣』の正式な暗殺者として『認定』を受けました。


しかし、『暗殺者認定』は始まりに過ぎません。

これから数多くの任務をこなし、早く一人前になるために“実績”を積み上げていかなければなりません。………と思っていた私ですが、世の中はそんなに甘くありませんでした。


……まだ幼い私に任せられる諜報や暗殺の任務は“皆無”なのです。


そのため、私は大人達に交じって様々な訓練を受けながら、まだ『認定』を受けていない幼い子達の面倒をみるという毎日を過ごし、気が付けば約2年が経過していました。


(闇の神様……私も早く一人前になりたいです……)


そんな私の祈りが通じたのでしょうか、今回『死神の巣』の最重要任務に派遣される人員として選抜され、『ある御方』の元に向かうよう命令が下ったのです!


組織の幹部としてある程度“その事情”を知っている父は、私が選ばれたことに涙を流して喜び、私の旅立ち前夜には、大勢の親族も集まる盛大な送別会を催してくれました。


私以外に選抜された4人の少女はこの任務について、『ある御方』に仕えるとしか、まだ聞かされていないみたいですが、父は私に『ある御方』が『魔王様』であると、密かに教えてくれました。他のみんなが知ったら間違いなく驚きますね……。


(魔王様……いったいどんな方なのでしょう……)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇



そして今――――――――――――――


私と同じ任務を受けた4人の少女と、護衛として同行している若様(グレイ様)、ギルスさん、デルガドさんの計8名は、『魔王様』のもとへと向かう旅の途中です。


故郷を出発して南にあるエメラダ神聖国へ入り、そこでしばらく滞在しました。そして南東へと進路をとり8月上旬にエルフィン王国へ入国。そして東へと数日旅を続け、カダイン伯爵領に入り、伯爵領の西側領界にある砦で一泊しました。


そして今朝、砦を出立すると街道を外れて少し南東に歩き、美しい川にぶつかった所で休憩をとることになりました。最初はなぜ街道を外れて移動するのか全くわかりませんでしたが、きっと若様達はこの“美しい川”に私達を連れて来たかったに違いありません。


故郷を出てから、久しぶりに“透き通った川”を目の当たりにした私達は、当然のように衣服を脱ぎ棄て、水浴びをするために川に向かって駆け出しました。


「まだまだ子供だな……」

「まったく……」

「まぁまぁ、たまには良いのでは…」


そんな若様達の呆れた声が聞こえてきますが、ここ何日もまともに身体を洗うことが出来なかった“女性陣”にとっては些細なことです。また“恥じらい”も18歳を迎えて成人するまでは『死神の巣』の仲間同士では関係ありません。成人となるまでは、まだまだ『子供』として、大人から保護の対象とされているからです。


……と言っても、大人達から受ける日々の訓練に手加減は感じませんが……



バシャバシャ!


ザバ――――――――――ッ!


皆が思い思いに川の中で髪や身体を洗い流します。

私と最年少10歳のレア、そして『死神の巣』では珍しい“魔法使い志望”のメリッサ(12歳)は少し髪が長いので、お互い協力して髪を洗いっこしました。


そして………


「アイカ……そろそろ私の胸から手を放して欲しいのですが……」


「えぇ~! もう少しいいよね? だって羨ましいくらい大きいし……柔らかくて気持ちいいし~~♪」


何故か、私はさっきからアイカに胸を揉まれています……。

……揉まれています………ぅ…んっ……。


アイカは私と同じ14歳ですが、少し小柄で明るい子です。天然なところがあるので、暗殺者としては少し不安に思うこともありますが、美しく光輝く銀色の髪は本当に羨ましく、きっとドレスを着れば『お姫様』に見られること間違いなしです。


「む、胸のことは……言わないで……」


「どうして? 大きいのは良いことだよ~。ねぇ、メリッサ!」


「うん。確かに……羨ましいです。胸が大きくなる魔法があれば良いのに…」


二人の言葉に私達から少し離れたところで、ゼナとレアも頷いています。


レアはもちろんですが、11歳のゼナの胸もまだ膨らみはじめたばかりです。

アイカとメリッサは手の平に収まるくらいなので、私のように14歳ですでに手の平では収まらないサイズになっているのは規格外なのかもしれません。


私としては、胸が大きいと戦闘の際に邪魔になることがあるので、本当に困っているのです。


(せめて、乳首がお母様のように内側に引っ込んでいたら……激しい動きをしても擦れることがなくて良かったのだけど……)


ふと、そんなことを考えながら皆の胸を眺めていると、


「リーシャ! いやらしい目で見るのは禁止ですよ!」

「大人しそうな顔をして、実は“むっつり”なのね…」


……と、不本意なことを言われてしまいました。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「さて、せっかく水浴びをして身体を綺麗にしたところに申し訳ないが、任務を一つこなしてみないか?」


水浴び後の着替えも終わり、再び出発できる態勢になった私達に、若様が話しかけてきました。


(こんなところで何の任務でしょう?)


今いる場所は、カダイン伯爵領の西側領界にある砦から少し離れ、山の自然が美しいほかは何も無いところです。“任務”と言われて、すぐに思い浮かぶものがなく、他の皆と顔を見合わせてしまいました。


「昨日、砦で得た情報だが、最近あの山に山賊が住み着くようになったらしい。数は20名前後、被害は砦と近隣の町や村を行き来している行商人とのことだ」


(えっ!? ……20名前後の山賊?)


明らかに不自然な情報を聞いて、不覚にもそれが顔に出てしまいました。

若様が私のほうを見てニヤリと笑みを浮かべます。


「リーシャ、どうした? 何か気が付いたようだな」


若様は私を試すかのように声を掛けます。

それを受け、私は頭の中で少し考えをまとめてから回答しました。


「は、はい…。あの…まず『最近20名もの山賊が住み着いた』という情報が不自然です。このカダイン伯爵領の領民は、現在の統治にとても満足していて盗賊や山賊が生まれやすい環境にありません。……数が多すぎます。次に、被害が行商人を中心としているとのことですが、山賊が20名もの集団であれば、近隣の村や町を直接襲うほうが成果が上がるのでは……と思います。つまり、その山賊の存在が本当であるのなら、それは“何かの目的”のために、意図的に送られた“工作員”なのでは……と」


「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」


私の発言にアイカ達4人は“ポカ~ン”と口を開けて呆気に取られています。

若様達は感心した様子で頷いています。


「す、すごいよリーシャ! いつも無口で大人しいから、喋るのは苦手な子なんだと思っていたけれど、違ったんだね!」


(し、失礼な……)


無邪気に発せられたアイカの言葉に少し口を尖らせてしまいました。


「リーシャの言う通りだ。おそらく山賊達はザナッシュ公爵……いや、その家臣であるキリング将軍あたりの命を受けて派遣された部隊だろう……。そこで、皆には実戦訓練ということで、彼らの排除任務を与えようと考えたのだが……どうだ?」


私達5人を一人一人見渡しながら、若様が問いかけます。

私の中では、もちろん返事は「了解致しました!」なのですが、他の4人の暗殺訓練の進度を把握していないので、返答をためらってしまいました。


すると……


「若様! ありがとうございます!」

「私の魔法の出番ですね♪」

「悪の存在は見逃せません!」

「えっと、私……頑張ります」


アイカをはじめ、メリッサ、ゼナ、レア…みんな嬉々として任務を了解していきます。まだ返事をしていない私に皆の視線が降り注ぎました。


「も、もちろん私も大丈夫です。……でも、ゼナとレアの二人は『死追訓練しついくんれん』は終わっているのですか?」



……『死追訓練しついくんれん』とは、正式名称を『死刑囚追跡殺害訓練』といいます。私達『死神の巣』では、暗殺者育成訓練の一環として、12歳未満の幼い子には魔獣を討伐させることで腕を磨かせ、12歳を過ぎた子には不定期に近隣の国から安く買い取った『死刑囚』に武器を持たせて山の中に解き放ち、それを追跡して“狩る”という実戦形式の訓練を行っているのです。


他国から眉をひそめられ、非難されることもあるこの訓練ですが、諜報・暗殺を生業とする私達にとっては貴重な訓練です。各国の死刑囚も有限ですから、12歳を過ぎてもすぐに受けることが出来ないこともあり、私達にとっては志願倍率が非常に高い人気訓練となっています。


「大丈夫です! 今回の任務が決定した時におさから特別に許可が下り、出立前に実践させてもらいました」


(えっ?)


「私も……です。最初は怖かったけれど……何とか無事にこなせました」


(ええっ!!)


「私も魔法の実戦経験のために参加させてもらいました。ゼナとレアのために獲物を残さなければいけないので、私の獲物は2名までと制限をつけられましたが……それでも良い経験になりました」


「ちょっ…ちょっと待ってよ!! 何で私には声がかからなかったの~!」


アイカが3人の発言に驚いて憤慨していますが、私も同じ気持ちです。

そんな特別実施された『死追訓練』を、なぜ私が知らなかったのでしょうか?

おかしいです……幹部である父は絶対に知っていたはずです。


「メ、メリッサは……制限をつけられて2名……ということは……貴方達は?」


「私は5名成敗しました」

「すみません……3名です」


(!!!!!!!!!!!!)

(!!!!!!!!!!!!)



「ズルくない? ズルいよね!!」


アイカが頬を膨らませて怒り始めましたが、無理もありません。

通常の『死追訓練』では一人当たりの討伐数は1~2名です。死刑囚が足りないときは三人で1人ということもあるくらいです。

正直、アイカが怒っていなければ、私が熱くなって感情を爆発させてしまったかもしれません。



「アイカ、それくらいにしておけ……。今回の山賊退治で不満を払拭すれば良いだろう。準備が出来ているなら出発するぞ!」


若様の言葉にアイカも渋々了解し、武器の点検を始めました。



「……メリッサ達は今回3名までだからね!!」


という、子供みたいな捨て台詞を残して―――――



次回は後編。山賊退治とユウトとの出会いです。


読者の皆様、応援ありがとうございます。

ブックマーク、評価もいつも感謝しております。<(_ _)>

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