愛と宝石
ギリギリギリギリギリギリ
耳が痛くなるほどの音で目が覚めた。
父が小学生の頃に作ったという目覚まし時計。
古いせいか音が古びていて耳障りだけど、なぜかこれで起きている。
ぼーっとした私はのっそりとベッドから起き上がり、洗面所の方向へ向かった。
トイレを済ませ、洗面所で水を出し手を洗った後に、水をひとすくいすると、顔に撫でる様に2回かけた。タオルを取り、顔を拭くと、目の前にある鏡に目をやった。
ようやく起きた私の顔にここで、ご対面をする。
「…ぁひゃーっ!わあっ!!」
あまりの怖さに声が出なかった。
鏡に私以外の顔がうつったのだ。
私の後ろに人がたっている。
後ろを振り返っても誰もいない!
でも恐る恐る鏡を見ればやっぱり人がいる!
どうしたらいいのか、あまりの怖さに腰が抜けてしまった。
人は怖いとき、ぎゃーー!となるものだと思っていたけれど、そうでないことがわかった。
洗面所の床に、倒れる様に座り込んだ私は、とにかく這って自分の部屋に向かった。
怖い!
どうしよう!!
自分の部屋に入ってから鍵をかけた。
「どうしよう。どうしよう。」
部屋の扉に両手を合わせたまま、まるで扉を抱き抱えるかのようにしゃがみ込んだまま、わたしはパニックになっていた。
頭の中が、こんがらがっているなかで、今度は扉を背に、向きを変えた。
正面には机がある。
その机の正面も窓になっている。カーテンから微かにさす光の中に少しだけ紫色が入る。
あれ?
と不思議に思い目線を右にずらすと、机の上にある宝石箱から赤紫色の光が漏れていたのである。
私は宝石箱のところにすぐさま行き、箱を手に取ると、そっとその箱を開けて見た。
すると、大きく光る宝石から大量の光があふれんばかりに出て来て、私の後方でその光が弧を描くと、光は集中しはじめた。
そして赤紫色の光が上から下に波をうちはじめたとき美しい女性が光の中に現れた。
「姫美。あなたが私を見ているということは、貴女は16歳になったのね。私はこうして貴女に会うのをずっと、楽しみにしていました。不思議に思うかも知れませんが、貴女は私の生まれ変わりです。私は、ある事で不思議な命を貰いましたが、その命に限りがないことを知り、人として命を後世に繋げたくなり、死を選びました。ただ1つ心残りがあり、それだけはどうしても、貴女に伝えておかなければならず、貴女が転生し、生まれる時に私の記憶を持つ魂を少し貰い これを大切な宝石に記憶させてから私はまた貴女の中に戻りました。
貴女の母には大変感謝しています。彼女は貴女を宿す前に私と心の中で幾度となく会っています。貴女になる私の事を理解してくれて、こうして私でもある貴女を産んでくれました。生きている貴女の母に会えなかったのはとても残念です。これから話すことは貴女に起きることで、それを、貴女に理解をして欲しいのです。それは16歳の貴女には受け止める事自体が、とても大変かも知れませんが、愛あってのことなのです。
生まれ変わってまでも迷惑をかけてしまうことになってしまったのは、私の(特別な命)と話したところに関係があるのです」
私はずっと見入っていた。光の中で話す彼女はとても美しく、異世界の人ではある格好ではあったが、存在が実態としてあるように私はそう見て、思って、聞いていた。
彼女は思いつめたように、生い立ちから話し始めた。




